YS Journal アメリカからの雑感

政治、経済、手当たり次第、そしてゴルフ

テロ未遂 in デトロイト

2009-12-30 11:17:30 | アメリカ政治
クリスマスに、オランダ発デトロイト着ノースウエスト機で、着陸直前に爆破テロ未遂がありました。犯人は、アルカイダと関係のあると思われる23歳のナイジェリア人(英国籍でもあり、アメリカのビザ有り)です。

幸い、爆発には至らず、デトロイト空港に緊急着陸(本来の到着地ではありますが、滑走路をクリアーして急降下で着陸)して事なきを得ました。もし、成功していれば飛行機だけで無く、アプローチの航路からしてデトロイト郊外の市街地に墜落して、大惨事になっていたと思います。

アメリカのテロ対策の問題点が浮き彫りになってきており、オバマ政権の今後の対応次第では、思いがけない躓きになりそうです。

まず、Secretary of Homeland Security (国土安全保障省長官)のジャネット・ナアポリターノ(Janet Napolitano)の能力不足が露呈しました。事件直後のTVインタビューで、"The system worked."(テロ未遂発生直後に飛行中の旅客機に瞬時に警報が出た事を自慢(?)して)との発言があり,非難囂々の末,発言取り消しがありました。この長官は、就任直後にテロの事を"'man-caused' disasters"(人が起こした災害?)と呼ばしてみたり、イスラム原理主義のテロリストより引退アメリカ軍人のテロを心配しているとか、メキシコ国境よりカナダ国境の方が危険が多いとか、とんでもない発言を懲りずにしておりました。テロの危険認識に疑問符がありましたが、今回のテロ未遂の一連のインタビューや対応で決定的になりました。

容疑者は、要注意人物リストに載っていたそうですが、オランダ出発時に特別検査等はされておりません。尚,アメリカ行きの国際線は最終的にアメリカが出発許可を与えるのですが、何のチェックもなく離陸しております。容疑者は、ナイジェリアからオランダ経由デトロイト行きの片道航空券をキャッシュで購入し、預け荷物も無しだったとの事で、簡単なクロスチェックで特別検査は確実に出来たと考えられております。

決定的なのは、容疑者の父親は、ナイジェリアの有力な銀行家で、息子がイスラム原理主義に傾倒しておりテロを起こす可能性をナイジェリアのアメリカ大使館に数ヶ月前に連絡している事が情報として活用されなかった事です。大使館を管轄する国務省の責任問題も出てきそうです。

デトロイトで拘束されたのですが、戦争犯罪者ではなく通常の犯罪者扱いしたため、直後の尋問が出来ず、既に弁護士がついており、今後のテロに関して需要な情報を取得する機会が失われた可能性が高いと思われます。(911を計画した容疑者と同じ扱いなので驚く事ではないのですが。)

オバマもハワイで休暇中でしたが、さすがに3日後にはコメントを出し、今日もフォローアップのコメントを出しておりました。

オバマ政権の閣僚で最初に辞める(辞めさせられる)のは、ガイトナー財務長官(景気回復の遅れ)かヒラリー国務長官(個人的な軋轢)と思っておりましたが、どうもナアポリターノ国土安全保障省長官(能力不足)になりそうな気配です。

ぼくらの頭脳の鍛え方:立花隆、佐藤優

2009-12-30 00:41:32 | 書評
ぼくらの頭脳の鍛え方をシカゴの本屋(三省堂)で立ち読みしてきました。

紹介されている本が400冊、今更読めるわけも無いので対談の内容からこれらの本を読んだ気になり,そのエッセンスを2人がどのように活用しているかを楽しむ本です。(高校生や大学生なら制覇を志しても面白いかも。)

土井たか子、勝間和代、湯浅誠の本質を見抜いている所は、鋭い。(簡単に納得し過ぎか?)

佐藤優は、文芸春秋で連載されていたインテリジェンス交渉術の後半の一部を読んだだけですが、経歴からしても気骨のある人のようです。神学を勉強してソ連専門の外交官というのも、ツボに入っております。文章は劇画調なのが少し胡散臭い感じがあります。

立花隆は、臨死体験まではほとんど読んでいると思います。どの分野の本も楽しく読めたので、興味の方向が自分と似ているのだと感じておりました。自分がガンになった事で、ガン研究、治療に力を入れられているようです。

NHKで取材ドキュメンタリーを観ましたが、英語が下手なのにビックリしました。アメリカが題材の著作は、膨大な文書を読み込んで、インタビューの部分は、結構自分勝手な解釈が入っているのではかと思います。

立花隆は、年齢的にも寿命を悟った感じがあり、なぜか自分の読書遍歴(知的冒険、散策?)を商売にしております。非常に歪んだ自己顕示欲の発露ではないでしょうか?そう考えると膨大な情報に支えられたいろんな分野で結構専門的にも深いと思われる著作に、そこはかとなく漂う胡散臭さも納得出来ます。

良くも悪くも頭脳が鍛えられた私には、面白いだけで役立ちそうにはありません。買って損は無いですが(新書で987円、買う気がなかったのでアメリカでの値段はテェックし忘れてました)、立ち読みで充分です。