暘州通信

日本の山車

◆30601 山車の起源 二〇

2011年01月05日 | 日本の山車
 ◆30601 山車の起源 二〇
 富山県高岡市の二上山南麓に、延喜式神名帳に起債される古社・射水神社がある。フタガミノカミ(二上神)が祭神として祀られてきた。鳥居をくぐると参道左側に祭壇が設えられる。祭壇の四隅には仏教守護の四天王である、持国天、増長天、広目天、多聞天の幟が立ち、中央には高い柱が立てられる。この祭壇を【築山(つきやま)】とよぶ。祭がたけなわになると白丁姿の神官六名が、ふたり一組になって三艘の舟の前後に立ち、舟を携えて社殿を出て、そのまま参道を下る。前の二艘は鳥居の外に出るが最後尾の一艘は鳥居を出ず、前の二艘が戻るのを鳥居の内の境内で待ち、ふたたび二艘の舟が鳥居の内に戻ってくると、待ちうけた一艘は、二艘の舟の間に割り込み二番目になる。三艘の舟はそのまま社殿に向かうが、途中で築山に立ち寄り、ここで天降るられた神をお迎えし、紙が舟に乗って社殿にお入りになる。
 古式を今に伝えるきわめて示唆に富んだ象徴的な神事である。
 高岡市内にはこれも創祀の古い関野神社があり、工芸藝の粋を尽くした【御車山(みくるまやま)】とよぶ山車が曳かれる。御車山は中央に柱が立ち、上部には【鉾留】と、花笠が取り付けられる。豪華華麗な御車山を引く高岡祭は北陸三大祭のひとつに数えられる。
 射水神社の【築山】は、神の乗って移動する【移動神坐】に対し【固定神坐】とよばれる。富山県内にはほかにも、射水市(旧新湊市)、小矢部市に伝わるが、小矢部市のほうは惜しくも現在は行われていない。岐阜県西濃の池田町には【置山(おきやま)】とよぶ固定神坐があり【市山人形(いちやまにんぎょう)】 とよばれるからくり人形戯が上演される。栃木県の鹿沼市には【天棚(てんだな)】が設えられる。これも広義の【固定神坐】といえるかもしれない。

 

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