放射能測定値の報道でみなさん不安になっていらっしゃるようです。全てを公表する、という前提のもと、ただ数値が提示され「ただちに健康への影響はない」というひと言の説明のみが付け加えられているためでしょうか。「マイクロシーベルト/時」という単位は普通の生活からはかけ離れた概念のものですし、「ただちに」という意味も普通の生活者にはほとんど「意味不明」なものであるためでしょう。忙しい行政の方々はそこまで気をまわすことができないのかもしれません。
少し計算して「CT撮影の100ミリシーベルト/回、放射線業務従事者の上限、50ミリシーベルト/年」などを考え合わせながら、今公表されている数値を考えてみます。公表されている「マイクロシーベルト/時」の環境中でずっと生活するということはどういうことなのでしょう。例えば宇都宮市の20日の値は0.153マイクロシーベルト/時でした。この環境で生活しますと一年間に1.34ミリシーベルト被爆することになります。つまりかなり低い値であって問題ない、ということになります。逆に放射線業務従事者の上限、50ミリシーベルト/年に匹敵する値とは5.7マイクロシーベルト/時です。この値を超えたら一時的に避難するのがいいかもしれません。
ところで、ほうれん草や牛乳の線量、ベクレル(Bq)値をどう考えるか?です。暫定規制値はヨウ素131が2000Bq/kg、セシウム134, 136, 137は500Bq/kgですが、この暫定規制値とは通常の規制値よりは高いが健康には影響のない程度に規制を緩めたものでしょう。ほうれん草の場合、露地物でしかも洗わない状態で測定されているそうなので、よく洗浄すれば10分の1にはなるでしょう。最高では15000Bq/kgあったということですが、洗えば1500Bq/kg、ゆでて灰汁抜きしますとそれでまた減りますから数回食すのはなんとも思いません。ハウス栽培ではさらに低いはずです。またヨウ素は半減期8日という短命な放射性物質です。放射線量は1ヶ月しますと10分の1以下、2ヶ月では200分の1以下になります。結局ヨウ素を十分取っていればなんということはありません。
ちなみに、人体にはおよそ6,000-7,000Bqの放射能があります。これは人体に含まれるカリウム40という放射性物質によるもので、さらに宇宙から飛来する様々な放射能、自然界に存在する放射性物質がいろいろあります。放射能泉(ラドン温泉とか)は大体100Bq/kg以上の放射能レベルをもつものです。皆さん健康によいということで利用されていますよね。さらに放射能は感染しません。放射能はこの世に満ち満ちている物です。毒物も同じですが、「絶対に安全」なものなどこの世にはありません。ですが、人々は「この基準であれば絶対に安全である」というものを求めます。その結果、極端に低い規制値を設定することになっています。そのあたりのことを頭に入れて頂いて報道される値を眺めていて頂きたいとおもいます。