さぶりんブログ

音楽が大好きなさぶりんが、自作イラストや怪しい楽器、本や映画の感想、花と電車の追っかけ記録などをランダムに載せています。

【怪しい楽器・大集合】尺八

2006-10-25 21:59:55 | 鳴るほど・ザ・楽器遍歴
先日、南米のケーナのことを書いたが、ケーナと尺八の構造が同じであることを聞き知った私は、「首振り3年」と言われる尺八でも、私なら一発で音を出してやるんだ~! という野望に燃え始めたのであった。

だが本物の尺八に触れられる機会なんて、そう多いものではない。たまたま入社3年目で独身寮に入れてもらったとき、寮の管理人が通信講座で尺八を練習していることを知り、拝み倒して吹かせてもらったのである。ケーナより吹き口が大きいのでちょっと難しかったが、一応一発で音は出せた! 寮のおじさんが目を丸くして「素質あるねぇ」と言って、通信講座のテキストやテープを全部貸してくださったのだ。私はそれを全部コピーしてお返しした。

そして、出たばかりの夏のボーナスを持って、楽器屋さんに尺八を買いに行ったのだが、本物の竹の尺八だと、ちゃんと調律された管で10万円以上はすると言われ、入社3年目の身ではちょっと買う勇気がなかった。だからといってプラスチック管っていうのもやだったので、紅葉の木製のものを買った。これなら1万5千円。ついでに言うと、標準の一尺八寸の管が品切れだったので、ちょっと短い一尺七寸の管を買った。だから私が持っている楽器は正確には「尺七」なのだ。

右の写真は、専用袋に入った尺八を撮ったもの。袋もゴージャス! まるで大名家のお姫様の守り刀みたいでしょ!

ところで、尺八は前に指穴4つ、後ろに穴1つしかない。4つの穴を左右の人差指と薬指で押さえる。一尺八寸の標準管ならば全部押さえた状態でDの音。これをカタカナの「ロ」で表す。下から順番に穴を開けていくとすると、

開いてる穴の数:0 1 2 3 4 5
楽譜上の表記 :ロ ツ レ チ リ ロ  (琴古流の場合)
実音(標準管) :D F G A C D

という関係になっている。つまり全部穴が開いている状態だと、全部閉じている状態の1オクターブ上なのである。(一尺七寸管の場合は全体的に半音ずつ上。一尺六寸管の場合はさらに半音上・・という風に高くなっていく。)

指の形と合わせて想像してみてください。尺八はきわめてリコーダーに近い感覚で音を出すことが出来るのである。だから「春の小川」程度の曲は誰でも一日目でクリアできると思う。

だが、課題はカタカナ表記の楽譜の読み方に慣れること。また穴が少ないので間の音は指穴に指を斜めにかざす等の方法で出さなきゃいけないめんどくささがある。それから、同じ指の押さえ方でも、息を吹き込む角度によって、実音が半音くらい変化する。低められた音を「メリ音」、 高められた音を「カリ音」。乱暴に言うと、頭を前のめりにする感じで吹けばメリ音、あごを突き出すようにして吹けばカリ音になる。(実際にはこんな吹き方じゃいけないのだが。)メリ音とカリ音がでてきたところで、だんだん難しくなってくるのだ。

ちなみにこのメリ・カリが語源となり、メリハリという言葉が出来たのだという。組合アンケートなどで「個人の実績に応じて給与にもっとメリハリをつけた方が言いと思いますか?」などという設問を見るたびに、「これは尺八用語なんだよ」とウンチクを周囲に語りたくなる衝動をいつも抑え込んでいる。
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