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さぶりんブログ

音楽が大好きなさぶりんが、自作イラストや怪しい楽器、本や映画の感想、花と電車の追っかけ記録などをランダムに載せています。

【怪しい楽器・大集合】ラバーバ(エジプト)

2006-08-07 22:24:07 | 鳴るほど・ザ・楽器遍歴
前稿でバイオリンの先祖楽器の話が出たところで、とっておきのエジプトの思い出を一つ。(イラストおよび写真は当然土産物用のレプリカである。)

バイオリンの直接の先祖は、アラブから伝わったレベックという楽器であると言われているが、さらにそこに連なる前身の楽器として、中央アジア~中近東一帯に、ラバーブ、ラワープ、ルバーブ、ルボップなどと、よく似た名前(RBBと総称される)で呼ばれる擦弦楽器群が分布している。ざっくり言えば西へ渡ったのがバイオリンに、東へ渡ったのが胡弓になったとも考えられる。(同じようなことがリュートと琵琶の関係にも当てはまる。いずれも源流は中東にある。欧米社会も我々も、バイオリンや琵琶の先祖の国々と上手くやれていないというのは悲しいことだね。)

私がエジプトに行った11年前はバイオリンも胡弓もやっていなかったわけだが、このラバーブ等RBB群の楽器には猛烈に興味を持っており、アスワンのイシス神殿の船着場で子供達が売っているニセモノ楽器の名前が「ラバーバ」と聞いて、思わず血が沸騰した。名前からして「RBB」の兄弟楽器だな! 思わず飛びついて子供達から買った値段が15エジプトポンド。私が買った後、子供達は他のツアーメンバーにも売ろうとしてどんどん値を下げていったので、私はいい笑いものになった。「ほら、8ポンドだって言っているよ~!」 

私の経験上、こういう事を言って笑う人は、絶対自分では買わないものである。多分3ポンドだと言われても買わないだろう。当時のエジプトポンドは1ポンド30円。450円と240円にどれほどの違いがあろうか。ただ、このとき馬鹿にされながら買った450円のラバーバがあったからこそ今の私があるのである。(とか言いつつ実際にバイオリンを始めるのはかなり後のことになる。最後に背中を押してくれたものが何だったのかについては、またいずれ書くことになるだろう。)


さて、この楽器はどうやって弾くのかというと、弓は図のように逆手に持って弾く。バイオリンというよりも中国胡弓に似た弾き方だ。アスワンからルクソールに渡る国内線に乗る際、私はラバーバをスーツケースに入れると壊れるのではないかと思い、わざと手に持って飛行機に乗った。ところが隣のアメリカ人女性もラバーバ(私のより高そうな奴)を手にしているではないか! 一瞬嫌な予感がしたが、案の定、彼女が私のラバーバを見て、親しげに"Can you play?"と聞いてきた。そういうシッチュエーションになった時のために、私は前の晩、ホテルでひそかに「禁じられた遊び」を練習していたのであった。ちょっと遠慮がちな顔をしつつ、自信を持って披露したところ、我々のツアーだけでなく、周囲のアメリカ人達が大いに沸いてくれた。

ということで、演奏会で活躍した楽器シリーズからはちょっと外れるが、これも飛行機の中で演奏するという、普通は出来ない経験を私に与えてくれた楽器なのである。
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