ディケンズ/池 央耿 訳/光文社古典新訳文庫
とても興味深く読んだ。
フランス革命の醜い側面・・暴徒と化した市民たち・・・ろくな裁判も受けられずに貴族・・あるいは貴族に同情的というだけでギロチン送り・・ギロチンは女性名刺かしてラ・ギヨテーヌと呼ばれ、そこで流される血はワインと形容され・・人格も何もあったもんじゃない。フランス革命前後で主語と目的語が入れ替わっただけで動詞は変わらない。
先日のパリオリンピックの開会式でのコンシェルジュリー前の血生臭い演出を見る限り、大部分のフランス人は今もそれを誇りと思っているであろうことは想像に難くない。ディケンズがそうではない革命の裏側を描けるのは彼がフランス人ではないからかもしれないね。
しかしまぁ、自分と瓜二つの恋敵のために命を賭けることができる人なんて、実際いるのかね・・と思ってしまうが、ディケンズは実際そのような恋をし、自分の芝居の中でそういう演技をしてきた人だから表現できるんだろうね。ディケンズは芝居にも熱を入れており、そういう意味で映画化しやすい作品だったのだろう。
ストーリーも面白いが、色々考えさせられる作品でもある。