さぶりんブログ

音楽が大好きなさぶりんが、自作イラストや怪しい楽器、本や映画の感想、花と電車の追っかけ記録などをランダムに載せています。

【読書録】JIN-仁- 第9巻~第10巻

2011-09-19 08:36:24 | 読書録
どんどん書かなくちゃ。

■9巻目のポイントは、伝馬町牢屋敷での大牢の様子かな。皇女和宮に毒をもった疑いを持たれた南方仁は伝馬町牢屋敷に入れられてしまう。医師であれば本来は下級の御家人や僧侶などと同じく揚り屋(あがりや)に入れられるはずなのだが、彼は陰謀により大牢に入れられてしまう。

時代劇などでよく見るように、「牢名主(お頭)」は畳10枚程を積み上げた上に座っている。時代劇での描写はだいたいそのくらいだが、JIN-仁-にはもっと細かく描写されている。「添役(頭)」という二番役、金庫番の「穴の隠居」、囚人の出入りに気をつける「隅の隠居」、トイレの見張りの「詰の(本)番」、食事の世話をする「五番口」等々。その他、様々な係とその助手やら客分やら20名近くがそれぞれ畳一枚に何人で座るか等で細かく区分されている。平囚人は一枚の畳に8人程がすし詰め状態で寝起きし、横になることも、空いている板の間に座ったり寝たりすることも出来なかったそうだ。

こうした平囚人の人口密度を減らすために人を間引く・・つまり「作造り」と称する殺人が行われていたのだ。殺された人達は病死として処理されたのだ。南方仁は、もうちょっとで殺されるところだった。

■10巻目のポイントは鉛中毒の話。昔のおしろいには鉛が入っていたが、一般の女性達と違って役者はほぼ全身におしろいを塗っていたという。重度の鉛中毒になった役者が出てくるが、幽霊のように垂れ下がった手、手足の指の組織は壊死し、知的機能の低下、顔面蒼白、歯ぐきに鉛の線が現れ、便もよく出ずに激しい腹痛に襲われる(鉛疝痛)など、見るに耐えられない状態であった。

あまりに重度すぎて、南方仁にも、壊死した手足指の感染症を防ぐためのペニシリン投与や、塩化カルシウム溶液の注射による症状の緩和、ビタミンCやカルシウムの多い食事のアドバイスぐらいしか出来なかった。鉛を体外に排出させるキレート剤は、江戸時代ではどうがんばっても入手できなかったからである。

鉛中毒って、こうだったのか・・・とあらためて知った。上方の上等の白粉の方が、鉛が多く入っていたというのは皮肉だね。
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3 コメント

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江戸時代の牢屋 (いんでぃ)
2011-09-19 21:08:52
「風雲児たち」にも出てくるんで、ある程度牢屋のイメージは出来ておられると思いますが、いろいろ本を読んでると、それ以外の情報も入ってきまして(^^;)
新入りは牢名主になんぼか払うというしきたりも確か出てきましたが、その額によって場所が与えられたり、全く無いと半殺しの目に遭ったりするそうで。その他、たぶん衛生環境によるものでしょうが、牢屋だけで流行る病ってのもあったらしいです。

http://www.kumokiri.net/koudan/koudanT3.html

これがどこまで事実なのかは調べが付かないですが(上記のサイト、種本は高木彬光です)、もしこの病気にかかったとしたら、いかに南方医師でも助からなかったかも…ですね。


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絵巻物で (リンデ)
2011-09-20 00:06:27
実際の感触をだすために、鉛入りの白粉をぬった絵巻物というのがあります。
年月がたって、鉛が変質して真っ黒になってしまっているのですけどね。
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Unknown (さぶりん)
2011-09-21 01:59:18
いんでぃさん、こんばんは!

そうそ、ぞっとしたのは、平囚人達が座っている姿。上位の者達は胡坐をかいているのに、平囚人達は正座しているではありませんか。しかも横になることも許されないなんて。

足を完全に曲げることが出来ない私だったら、それだけで死んでしまいますだ。

リンデさん、こんばんは!

>年月がたって、鉛が変質して真っ黒になってしまっているのですけどね。

わぁ、それはもったいのうございますね。レオナルド・ダ・ヴィンチが、新素材の絵の具を試したせいで、絵の具がはがれてしまっている絵がある・・なんて話は聞きますが、日本でも同様のことがあるのですね。
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