まだ5話までしか見ていないけれど、新鮮な感動を忘れないうちに、書いておこう。(「朱蒙(チュモン)」については、現在出ている最新巻まで見てしまったので、一休みして別のDVDを見ているわけである。)
この1976年に放映された「風と雲と虹と」は私にとって極めて思い出深いものだ。なぜなら、猛烈に見たかったにもかかわらず「子供の見るもんじゃありません」と言われて見せてもらえなかったからである。オープニングのテーマ音楽は素晴らしく耳に残る音楽で、毎週日曜日8時になるたびに、この音楽が下の居間で鳴っているのを聴きながら、泣いていたのである。
放映が始まったのは、私が小学校5年生のおしまいのころ。ちょうど国語の授業で「三春駒(坂上田村麻呂の蝦夷征伐にちなんだ故事)」の話が出てきた時、先生が放映が始まったばかりの「風と雲と虹と」を引き合いに出したのである。「この前の日曜日には、ちょうど平将門が父親と一緒に陸奥に出かけるところをやっていたね。」と。
歴史の授業は正式には小学校6年生からだったが、既に参考書や本で歴史をかじっていた私はコレに飛びついた。すかさず家に帰って「風と雲と虹と」を見たいとせがんだのだが、子供の見るもんじゃないと言われたわけである。この後、何回も見たいとせがんだのだが、「歴史を見る力(史実とそうでない部分を見分ける力)がつくまで見てはいけない」と固く禁じられてしまった。
でも同年代の友達はみんなこの番組を見ていたのである。学校の先生が薦める番組を何故見てはいけないのか、と私は長年残念に思ってきた。
☆ ☆ ☆
そんな前歴があるので、先日このDVDセットをTSUTAYAの一角で見つけた時は狂喜した。もう見ることは出来ないとあきらめかけていたのに、積年の願いが叶えられる日がやってくるとは。脳髄に染みこむほどに覚えぬいたテーマ音楽がDVDから流れ出したとき、私はまるで夢を見ているかのようだった。
第一話目からやたらレベルが高い。「風と雲と虹と」は今まで大河ドラマが扱ってきた時代の中で一番古いものだから、当時の時代背景を説明する解説がやたら長い。また役者のしゃべる言葉の中にも古い言い回しがポンポン出てくる。おおこれは確かに子供にはちょっと難しいかもしれないぞ。
強烈なのは第二話目で、筑波山麓の祭りの日のカガイ〈刊歌〉の話。私は「歌垣」という言葉は知っていたが、「カガイ」という言葉はこの歳になるまで知らんかったぞ。古典で育ったような人間なのに。で、そのカガイとは祭りの夜に公然と行われる乱交のこと。私が「見たい」と言ったのは、ちょうど二話目の放映後であったから、「子供の見るもんじゃありません」と言われた理由も分からないではない。30年前のNHKだから、そこは極めて芸術的に表現されていたが、もし当時の私が見たら、訳分からないまでも、何やら怪しい雰囲気に「ゾクゾク」はしたであろうと思われる。
あぁそれにしても、俳優さんたちの若いこと。もう亡くなられたかたもおられるが、ああアノ人がこんなところに・・・という発見が多くて楽しい。草刈正雄が滝沢クン以上の美形なのにビックリ。ずっと韓国ドラマを見ていたから、長身の人が多い、韓国のスタイルのいい俳優さんたちを見慣れたあとに見ると、日本の昔の俳優さんたちって、妙に頭でっかちで短足に見える。だが、草刈正雄だけは超かっこよいのであった。
あと、カメラワークや言葉遣いの古さ。乗馬シーンなどは、ゆっくり馬を歩ませている時は、俳優さんの顔と馬全体が写るように撮影されているが、馬を疾走させるシーンになると、俳優さんの顔のド・アップか、遠目から見たシーンの二種類しかない。多分疾走させているのは代役だろう・・・などと勘ぐってしまう。当時はCGも無いわけだから、それでもさまざまな工夫をして撮っていたのだろう。自分が物心ついたころの映像がこんなに古く見えるとは・・寄る年波に勝てないはずだなぁ~。だがそんな古さは見ているうちにだんだん目が慣れてきて、気にならなくなってきた。ということで、完全に慣れてしまう前に、本稿を書いているわけだが、そういう技術的なことはさておき、内容は一級品。長年の大河ドラマの中でも名作中の名作だと思う。昔のNHKの番組のフィルムは残っていないことが多いが、本DVDが刊行されたことを本当に感謝する。
この1976年に放映された「風と雲と虹と」は私にとって極めて思い出深いものだ。なぜなら、猛烈に見たかったにもかかわらず「子供の見るもんじゃありません」と言われて見せてもらえなかったからである。オープニングのテーマ音楽は素晴らしく耳に残る音楽で、毎週日曜日8時になるたびに、この音楽が下の居間で鳴っているのを聴きながら、泣いていたのである。
放映が始まったのは、私が小学校5年生のおしまいのころ。ちょうど国語の授業で「三春駒(坂上田村麻呂の蝦夷征伐にちなんだ故事)」の話が出てきた時、先生が放映が始まったばかりの「風と雲と虹と」を引き合いに出したのである。「この前の日曜日には、ちょうど平将門が父親と一緒に陸奥に出かけるところをやっていたね。」と。
歴史の授業は正式には小学校6年生からだったが、既に参考書や本で歴史をかじっていた私はコレに飛びついた。すかさず家に帰って「風と雲と虹と」を見たいとせがんだのだが、子供の見るもんじゃないと言われたわけである。この後、何回も見たいとせがんだのだが、「歴史を見る力(史実とそうでない部分を見分ける力)がつくまで見てはいけない」と固く禁じられてしまった。
でも同年代の友達はみんなこの番組を見ていたのである。学校の先生が薦める番組を何故見てはいけないのか、と私は長年残念に思ってきた。
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そんな前歴があるので、先日このDVDセットをTSUTAYAの一角で見つけた時は狂喜した。もう見ることは出来ないとあきらめかけていたのに、積年の願いが叶えられる日がやってくるとは。脳髄に染みこむほどに覚えぬいたテーマ音楽がDVDから流れ出したとき、私はまるで夢を見ているかのようだった。
第一話目からやたらレベルが高い。「風と雲と虹と」は今まで大河ドラマが扱ってきた時代の中で一番古いものだから、当時の時代背景を説明する解説がやたら長い。また役者のしゃべる言葉の中にも古い言い回しがポンポン出てくる。おおこれは確かに子供にはちょっと難しいかもしれないぞ。
強烈なのは第二話目で、筑波山麓の祭りの日のカガイ〈刊歌〉の話。私は「歌垣」という言葉は知っていたが、「カガイ」という言葉はこの歳になるまで知らんかったぞ。古典で育ったような人間なのに。で、そのカガイとは祭りの夜に公然と行われる乱交のこと。私が「見たい」と言ったのは、ちょうど二話目の放映後であったから、「子供の見るもんじゃありません」と言われた理由も分からないではない。30年前のNHKだから、そこは極めて芸術的に表現されていたが、もし当時の私が見たら、訳分からないまでも、何やら怪しい雰囲気に「ゾクゾク」はしたであろうと思われる。
あぁそれにしても、俳優さんたちの若いこと。もう亡くなられたかたもおられるが、ああアノ人がこんなところに・・・という発見が多くて楽しい。草刈正雄が滝沢クン以上の美形なのにビックリ。ずっと韓国ドラマを見ていたから、長身の人が多い、韓国のスタイルのいい俳優さんたちを見慣れたあとに見ると、日本の昔の俳優さんたちって、妙に頭でっかちで短足に見える。だが、草刈正雄だけは超かっこよいのであった。
あと、カメラワークや言葉遣いの古さ。乗馬シーンなどは、ゆっくり馬を歩ませている時は、俳優さんの顔と馬全体が写るように撮影されているが、馬を疾走させるシーンになると、俳優さんの顔のド・アップか、遠目から見たシーンの二種類しかない。多分疾走させているのは代役だろう・・・などと勘ぐってしまう。当時はCGも無いわけだから、それでもさまざまな工夫をして撮っていたのだろう。自分が物心ついたころの映像がこんなに古く見えるとは・・寄る年波に勝てないはずだなぁ~。だがそんな古さは見ているうちにだんだん目が慣れてきて、気にならなくなってきた。ということで、完全に慣れてしまう前に、本稿を書いているわけだが、そういう技術的なことはさておき、内容は一級品。長年の大河ドラマの中でも名作中の名作だと思う。昔のNHKの番組のフィルムは残っていないことが多いが、本DVDが刊行されたことを本当に感謝する。