さぶりんブログ

音楽が大好きなさぶりんが、自作イラストや怪しい楽器、本や映画の感想、花と電車の追っかけ記録などをランダムに載せています。

【読書録】地図帳の深読み

2020-04-01 00:17:01 | 読書録
今尾恵介 著/帝国書院

この本は相当に盛り沢山。とりあえず1回通読したが、折を見てまた開いて見たい・・。

小学生の頃、私は結構地図帳とお友達だった。小学校3年生では横浜市、4年生では神奈川県の地理を学び、白地図を使って等高線に応じて色別に塗りつぶしたり、人口密度の高い順に色分けしたり、鉄道の路線を描いてみたり、という作業が猛烈に好きだったのを覚えている。神奈川県というのは小さい県だが、山も川も海も湖もある。同じ海でも砂浜もあれば岩場もある。平野も半島も岬も島もある。盆地も丘陵もある。温泉もある。ほんと地図に盛り込まれるいろんな要素を備えてるよな。

で、この著者も地図帳を見ながら等高線や分水界、川の流れや流域をたどっていくのがお好きだったようで・・・なんか同じ匂いを感じるなぁ・・と思っていたら、なんと横浜生まれの方であった。しかも、通っておられた中学校が実家の近くだ。わ~。でなきゃ、武蔵と相模の話にこだわるわけがないのだ。横浜は相模の国と思っている人が多いのではないだろうか・・でもほとんどが武蔵なのだ・・・そうそう、私も大人になってそれを知って相模鉄道に裏切られた感がものすごくあるのだが、そんな話、横浜以外の人にとっては多分どうでもいい話だよね。でも言わずにはいられない・・・それが横浜だから。ま、日本の5人に1人は武蔵の人・・・という話には鼻高々な思いがしたけど。

この本には書いてないけれど、著者が地形図マニアになったのは、神奈川県生まれだから・・・と推測してるんだけど、違うかな。

話を戻すと、小さい頃地図帳が好きだったのに、大人になるにつれて、だんだん見なくなってきた。でも最近無性に見たくなる時があるのよ。インターネットで簡単に地図が出せる時代なのに、なんか全体感をつかみづらかったり、ちょうどよい地図を出せないことが多い。で、確か一昨年、地図帳を買ったのよ。。。でも、本棚に入りっぱなしだぁ。。。

ちなみにこの本は新旧、和洋。。いろんな地図をふんだんに取り入れているが、文章部分だけを読んでいっても相当楽しめる。地図は結構細かいので、メガネを外さないと見えないところも多いんだけど、新旧の地図を並べて、意外に変わっていること(山の名前を現地語にしているとか)があるのが楽しめた。

私を一番悠久の情にいざなったのは、八郎潟の干拓の話ですわ。そもそも干拓という字を知らなくて、「かんたく」とか書いてあった問題集のページを思い出したよ。八郎潟は私が小学生の頃には、ほとんど水辺がないような感じになっていたが、干拓前は琵琶湖に次いで2位。琵琶湖の3分の1だが、現在2位の霞ケ浦の1.3倍。それを考えるとすごい干拓事業だったんだな。私が小学校6年生の頃にはすでに米が余っていて、当初から米の増産を目的としていた八郎潟の干拓は、時代の要求に沿わないものになっていたのであるが、そもそも「八郎潟」という名前を聞いたのが何十年ぶりのような気がして、ついつい昔のことを思い出してしまう私であった。

最初の方にある山越えする川(吉野川、江の川)の話も面白かったな。川が流れていたところが持ち上がって山になる場合、山の持ち上がる量よりも川の削る量が勝っていれば、山はひたすら削られ、川は根性で元の流れを維持するというメカニズム・・・面白いと思った。

地図帳が語るのは地理だけではない。人口、産業、言語、宗教、歴史・・・。この本を教科書に、あらためて地図帳を眺めて楽しむ日々を取り戻したい。
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