鈴木裕子/産業編集センター
この本の著者である鈴木さんとは、一度食事会にご一緒したことがあり、その後はfacebookで繋がっていたが、いつもとても興味深い投稿をされる方だと思っていたところ、公邸料理人としてモンゴルに渡られ、ご活躍の様子はfacebookで拝見していた。
そのご経験を活かして最近この本を出版され、日経新聞などでも採り上げられていたが、私も早速入手して読んでみた。
とても素晴らしい本で、私がここでコソコソ細かく書くべきではなく、ぜひみなさま買って読んでみてください、、と宣伝させていただきたい気持ちでいっぱいである。
モンゴルには昔から興味があり、馬頭琴も持ってるし、日本国内のモンゴル料理店もいくつか出入りした経験のある私でさえ、いかに何も知らなかったかと驚かされる。
日本ではいろんな国のものを食べれてしまうから、気づかないのだけれど、それぞれの地域でなぜそういうものが食べられ、こういうものが食べられないのか・・については全て理由があることなのだ。
モンゴルでは水は貴重品。だから水を多量に使う料理はなく、大事に使うから、そもそも流し場がない。大きな草木は育たないから野菜がない。豚や鶏も食べない(そもそも入手困難だし)。その代わり、羊、牛、ヤギ肉に囲まれ、乳製品が豊富。(ラクダはあまり美味しくないそうだけれど。)
肉と小麦と乳さえあれば生きていける。でも塩だけの味付けでものすごく美味しいものが出来上がる。移動を常とするシンプルライフ。家屋に欠かせないフェルトは風を通し熱を逃さない、この地に欠かせないもの。メモを取らずに頭に書く人々だから言語能力も優秀。ちょうど母と「モンゴルから来たお相撲さん達ってなんでこんなに日本語が上手いのかしら」と話していたところだったから、なるほどそんな背景が・・と思った。
厳しい自然の中で蓄積されてきた知恵の素晴らしさ。この本を読んだ後が、とても自分がちっぽけでひ弱な人間に思えてくる。