正体不明のアーティスト、バンクシーという人がいる。彼が(あるいは彼女かもしれないが)ロンドンの地下鉄に落書きした。しかし、私はこの落書きを二度見た。二度目はバンクシーらしい風刺のきいたネズミの絵であった。ネズミがくしゃみをしてコロナをばらまいているものである。だが、最初の絵はバンクシーらしからぬ、ただ単に、落書きとしか思えないものであった。地下鉄という公共の乗り物に勝手に落書きをしても良いものか。バンクシーならば、名作で、私が描けば公共の敵となるのは不合理ではないかと思ったのである。もちろん、私の絵には後世に残せるような文化的な香りはない。バンクシーにはあるかもしれないが、それにしても不合理だ。だいたい正体不明なのだから、誰も彼、彼女が絵を描いているところを見ていないはずである。それが不思議である。地下鉄を運営する会社、乗客、テレビ局、すべてがグルになって、何かの宣伝をために行っているとしか思えないのである。鉄道会社がバンクシーにお金を払って製作してもらい、宣伝効果を狙ったしか思えないのである。(くちなし亭、2020.07.20)
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