エチゼンマル(越前丸)という船の名前であるが、れっきとしたアルゼンチン籍の漁船である。元々は日水の持ち船であったが、アルゼンチンの会社に売却され、そのまま名前が引き継がれたようだ。さて、このエチゼンマルで、新型コロナの集団感染が発生した。しかし、奇妙なのである。幽霊のような話なのである。乗員は出向前、全員が検査を受けて、陰性であることを確認した。しかも、2週間ホテルで隔離生活をして、いわば、万全な態勢で、出港したのである。船員たちは1か月余り、洋上で生活し、なんの異変も感じられなかったのだが、7月11日になって、突然、新型コロナの感染者が現れ、あれよ、あれよという間に、乗組員61人中、57人が感染してしまったのである。しかも、そのうちの二人は重症である。港に戻った船は隔離されているが、船関係者だけでなく、誰もが首をひねるようなことが起こったのだ。新型コロナウイルスは空気伝染どころか、大空を漂い、獲物の人間を求めて、地球上を幽霊、妖怪のように徘徊しているのかもしれない。(くちなし亭、2020.07.16)
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