米国防総省が17日発表したところによると、リビアの反政府勢力が支配する同国東部の港で原油を積み込んだ、北朝鮮国旗を掲げたタンカーモーニング・グローリー号に米海軍特殊部隊「シールズ(SEALs)」が乗り込み、制圧したという。そこはアメリカでも、北朝鮮の沖合でもない。地中海、それもアフリカのリビアである。アメリカ政府もリビアの正当政府の了解も取り付けたうえでの行動でもあり、さらに言えば、北朝鮮も、先週、早々に白旗を掲げ、その船は自国船籍ではないと表明しているので、国際法上はなんらの問題も発生しないのであろうが、何かおかしくはないか。昔は、と言っても、数十年ほど前までの、米ソ冷戦時代には、必ず、この種の制圧には、軍事顧問団と言うような隠れ蓑を使っていた。表向きは現地の警察なり、軍隊なりが必ず立っていたように思う。実際の軍事活動は裏の軍事顧問団であってもである。しかし、最近はそのような歯どめが無くなった。アメリカ軍が単独で、他国の領土内で、軍事活動をするようになった。パキスタン領内の無人機攻撃もそうだが、圧倒的な軍事力に地元の政府が太刀打ちできないことをあざ笑うかのようである。過去の時代も、軍事力では地元政府軍は太刀打ちできなかった。しかし、そこに、国家の自主権尊重を守るという暗黙の了解があったはずである。しかし、今や、テロ組織という国家の枠組みを外れた存在がアメリカと言う国家に挑戦を始めて以来、世界は国境など無いかのように、お互いに殺戮を始めているようである。
Y-FP Office Japan
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