昨年出た目下の最新作....と書こうかと思っていたら、ピアノ・トリオ・スタイルによる「デサフィナード」という作品が先週でたそうですが、ともかく2008年の作品。日本タイトルは「私のボサノヴァ」ということからも分かるとおり、大半の曲にゴージャスなオーケストラを起用し、全編に渡ってゆったりとボサ・ノヴァを歌い上げた非常にポップなアルバム....つまり、4年前「ドリーマー」のまんま続編のような仕上がりになっています。バックを務める面々も、O.カストロ・ネヴィス(ギター)、M.ジョンソン(ベース)、P.ブラーガ(パーカス)、R.マティス(編曲)とほぼ同一といってもいいもので、これで1曲目が「イパネマの娘」で、2曲目が「ノー・モア・ブルース」ですからね。あとは推して知るべし....という感じ、「ドリーマー」よりポップなくらいです。
まぁ、そういう内容ですから、夏物としては安心して聴ける極上の作品といえます。私など1曲目の「イパネマの娘」で、冒頭、オガーマンばりのストリングスが聴こえてきた瞬間から、「こりゃイケる」と思いましたから....。実際、ロブ・マティスによるオケのアレンジは、オガーマンに比べると、すこしばかり重心が低めで、シンフォニック過ぎるところはありますが、かなりオガーマンに迫ったところがあり、特にこの曲ではジョビンのオリジナル演奏を念頭においたオマージュみたいなアレンジと相まって、聴いていて心地良いことこの上なしといえます。5曲の「ディサフィナード」もだいたいジョビンのオリジナル・スタイルをベースにちょいとばかり早めのテンポで、クールなストリングスが絡んでいい出来。
ちなみに、このアルバム、こうしたオケがついたゴージャスなものと、ピアノ・トリオ+アコギというシンプルなアンサンブルで収録されたものと、ほぼ交互に出てくるような構成をとっていますが、ここ数年のさまざま試みやその他で、ボーカルに対して吹っ切れた心境を物語っているのか、後者のパターンによる演奏も、基本的には10年前の「Eliane Elias Sings Jobim」あたりに比べても、声そのものが遙かに充実した表情をみせているのは、けだし聴き物でしょう。4曲目の「They Can't Take That Away from Me」など、ガーシュウィン作のスタンダードで、元はボサ・ノヴァではない作品ですが、これを見事にサロン風に粋なボサ・ノヴァに仕立てていて、こちらもなかなかのものです。
という訳で、コンテンポラリーなサウンドを追求した彼女も悪くないですが、イリアーヌといったらピアノ・トリオか、こうした作品の方がぴったりきますね。これもこれから長いこと夏の定番として活躍しそうです。
最後にこの作品、レーベルがブルーノートに戻っています。クレジットをみると日本名が多く、ジャケのセンスなど、まるで日本人好みの仕上がりですし、ひょっとするとサムシング・エルス・レーベル時代のように日本側の企画で進んだアルバムなのかもしれません(私は輸入盤で買いましたから、ワールドワイドで発売はされているんでしょうが....)。ビジネス的にはブルーノートに出戻った....ということになるんでしょうかね(まだ未聴ですが、前作にあたる「Something for you」もブルーノートでした)。
まぁ、そういう内容ですから、夏物としては安心して聴ける極上の作品といえます。私など1曲目の「イパネマの娘」で、冒頭、オガーマンばりのストリングスが聴こえてきた瞬間から、「こりゃイケる」と思いましたから....。実際、ロブ・マティスによるオケのアレンジは、オガーマンに比べると、すこしばかり重心が低めで、シンフォニック過ぎるところはありますが、かなりオガーマンに迫ったところがあり、特にこの曲ではジョビンのオリジナル演奏を念頭においたオマージュみたいなアレンジと相まって、聴いていて心地良いことこの上なしといえます。5曲の「ディサフィナード」もだいたいジョビンのオリジナル・スタイルをベースにちょいとばかり早めのテンポで、クールなストリングスが絡んでいい出来。
ちなみに、このアルバム、こうしたオケがついたゴージャスなものと、ピアノ・トリオ+アコギというシンプルなアンサンブルで収録されたものと、ほぼ交互に出てくるような構成をとっていますが、ここ数年のさまざま試みやその他で、ボーカルに対して吹っ切れた心境を物語っているのか、後者のパターンによる演奏も、基本的には10年前の「Eliane Elias Sings Jobim」あたりに比べても、声そのものが遙かに充実した表情をみせているのは、けだし聴き物でしょう。4曲目の「They Can't Take That Away from Me」など、ガーシュウィン作のスタンダードで、元はボサ・ノヴァではない作品ですが、これを見事にサロン風に粋なボサ・ノヴァに仕立てていて、こちらもなかなかのものです。
という訳で、コンテンポラリーなサウンドを追求した彼女も悪くないですが、イリアーヌといったらピアノ・トリオか、こうした作品の方がぴったりきますね。これもこれから長いこと夏の定番として活躍しそうです。
最後にこの作品、レーベルがブルーノートに戻っています。クレジットをみると日本名が多く、ジャケのセンスなど、まるで日本人好みの仕上がりですし、ひょっとするとサムシング・エルス・レーベル時代のように日本側の企画で進んだアルバムなのかもしれません(私は輸入盤で買いましたから、ワールドワイドで発売はされているんでしょうが....)。ビジネス的にはブルーノートに出戻った....ということになるんでしょうかね(まだ未聴ですが、前作にあたる「Something for you」もブルーノートでした)。