Blogout

音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

ワルター・ワンダレイ/バトゥカーダ

2009年07月15日 23時54分19秒 | Jobim+Bossa
 1967年に発表されたワルター・ワンダレーのヴァーブ・レーベル第3作。ワンダレーといえば、私の認識では彼のトレードマークともいえる「サマー・サンバ」をフィーチャーした第1作のみが圧倒的に有名で、それ以降の作品となると、第2作の「シェガンサ」はもちろん、この作品なども知名度としてはけっこう低いのではないか?。私など恥ずかしながら、CDで購入するまでジャケットすら観たことのない状態であった。このアルバムなどご覧のとおり、まずはデザインだけでも、思わず目をひく仕上がりであり、一度見たらけっこう印象に焼き付きそうなものだが、こういうものに比較的アンテナの高い私にしてからジャケット写真すら覚えていないということは、きっと70年代以降、ほとんど話題にならなかったアルバムだったんだろうと思う。
 そりゃ、そうである。もう何度も書いているとおり、70年代から20年くらいだろうか、この手の音楽はやはりどうしようもなく「古くさい音楽」になってしまい、「お洒落な音楽」として復権してしたのは、音楽資源が枯渇したことが周知となった1990年代中頃くらいだったはずだからだ。

 さて、本アルバムだが、前作がトリオで固めたシンプルな作品だったとすると、本作はトリオにギター、パーカス、コーラスなどが加わって、かなり華やいだ作品になっているのが特徴か。アコスティック・ギターを弾いているのはマルコス・ヴァーリで、レヴェル、バランス的にもそんなにフィーチャーされている訳でもないが、その歯切れ良いギター加わったのせいで、ヴァーリ自身の作なる3曲目の名作「バトゥカーダ」を筆頭に、彼のギターが絡んでいる作品は正統派ボサノバに近づいた仕上がりという言い方もできるかもしれない。またコーラスをフィーチャーした6曲目「ミーニャ・サウダージ」、9曲目「ウェイブ」、11曲目「彼女はカリオカ」はその後のワンダレーの音楽を考えると、その良し悪しは別として変化の兆しを感じさせる仕上がりとなっている。
 一方、ワンダレーらしい従来路線の作品としては、冒頭から快調に飛ばす1曲目「オン・ザ・サウス・サイド・オブ・シカゴ」、その独特なオルガンの遠近感がいかにもワンダレーな2曲目「小舟」や4曲目「イッツ・ハーツ・トゥ・セイ・グッドバイ」、オルガンとピアノをバランス良く配置して、快適そのものな「イッツ・タイム・トゥ・シング」あたりが彼らしさを楽しめるところだろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする