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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

Antonio Carlos Jobim

2009年07月01日 23時38分39秒 | Jobim+Bossa
 このアルバム、確か1990年に購入したものなんだけど、なんともよく素性の分からないアルバムだ。1990年といえばCDが普及し始めた頃だったけど、そんな時期、坂本龍一が作ったMIDIというレーベルからリイシュー(なんだろうな、多分)出たものだった。坂本龍一を始めとするYMOの一派は、YMO時代に多少手を染めたけれど、あまり本格的に手がけなかったことのひとつに「フランス流のボサノヴァをテクノ的翻案する」みたいなことものがあったことをいろいろなところで云ったり書いたりしていたから、これなどそのルーツをリスナーに啓蒙するみたいな意味で出したのかもしれないけれど、驚くのはその収録曲だ。全28曲なのだが、前半の12曲はオガーマンとの共演による「イパネマの娘」が丸ごと収められているのだ。

 Verveレーベルに版権があるに違いないこの音源をどうして、日本の新興マイナーレーベルで、こうした形で出せるのか釈然としなかったが、アルバムの後半に収録されたいくつかの曲は、ワーナーから出した「Love, Strings and Jobim」からのものだったりしたことが判明して、ますます分からなくなってしまった。このアルバムの発売元はブラジルのエレンコというボサノバ系の老舗レーベルだが、そこから推察できるのは、おそらく米国とは別にこれらの音源の版権を所持していたということで、アメリカからブラジルからも遠く離れた、極東ニッポンではVerveとElencoというふたつのルートをたどって同一音源が2種類発売可能になったということなのかもしれない。ともあれ、若き日のジョビンのモノクロ写真がお洒落にレイアウトされたジャケのこのアルバムは、格調高い前半12曲に対し、後半はやや泥臭いいかにも「お国物」的な仕上がりの音楽で、当時はその音楽的落差にもけっこう驚いたりもしたが、今になってみればそれはそれでおもしろかったりする。

 ちなみに「イパネマの娘」と同一音源と書いたが、どうも本国から送り込まれたマスターの条件がよくなかったせいなのか、このアルバムに相当する部分の音質はどうも芳しくない。ことあるごとにリマスターされ鮮度の高い音質にリファインされいいるVerveの方との音質の差は開くばかりだが、寝ぼけたような音質で聴くオガーマンのストリングスはかえって、60年代の電蓄で音楽聴いていた頃をなんだか思い起こさせたりするし、それ故に後半との音楽的落差も多少なりとも埋めているような気がしないでもない。ともあれ、またぞろジョビンが出てきたということは、当ブログもそろそろ夏モードに突入である。
コメント
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