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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

ヴィニー・カリウタ/Vinnie Colaiuta

2007年03月06日 00時18分17秒 | JAZZ-Fusion
 エキセントリックなタイム感覚と正確無比なテクニックを武器に、ジャンル横断的な活動をして現在最高のドラマーのひとりと評されるヴィニー・カリウタが94年に発表した現在まで唯一のソロ・アルバム。カリウタは80年代前半あたりに、フランク・ザッパ、スティングのバンドあたりで一気に名前を上げ、その後、やたらといろいろなところで見かけるようになった記憶があるものの、私はザッパやスティングにそもそもあまり縁がなかったのに加え、たまたま聴くことの出来たカリウタ参加作もどういう訳か地味めのものが多く、個人的には「凄そうだけど、よくわかんない」という人だった。

 カリウタに対する認識を変えたのは、チック・コリア・アコースティック・バンド の「ライヴ・フロム・ザ・ブルーノート」だったかな。ともかく、あの時のカリウタは確かデイブ・ウェクルのピンチ・ヒッターとしてこのライブに参加したようなのだが、曲もフォーマットもほぼ従来通りなハズなのに、ドラムがカリウタのハードボイルドで辛口なドラミングに変わっただけで、良くも悪しく優等生トリオといった感じだった彼らの音楽が、アグレッシブで攻撃的なモダンなピアノ・トリオに変わってしまっていたのは驚いたものだった。このアルバムは彼のそうした辛口でシリアスな、場合によっては実験的ともいえるドラミングが多数フィーチャーされていて、彼のドラムの全貌を知るのには格好のアルバムである。

 なにしろ1曲目が大々的なスリップビートなのである。スリップビートってのは16ビートのアクセントを妙な位置(主に裏)にズラして、リスナーをギクっとさせるようなトリッキーな効果なのだけど、これを更に順繰りにズラしていくというような凝ったことをやっているようで、まるでレコードの針が飛んだように聴こえる。しかも、それをヘビー・メタル的なギターのリフにのっているところもなかなかおもしろいところだ。3曲目なんかもその部類かな。ともあれ、他の曲もおしなべてロック、ヒップホップ、4ピート・ジャズ、フリー、フュージョン、ワールドミュージックといった要素がぐちゃぐちゃにコラージュされたエグいNYフュージョン風なサウンドで、発売後ほぽ10年経った今聴いてもかなり先鋭的に聴こえる。

 ちなみにこの人のタイコは超がつくくらいジャストなノリで、例えば、コンピューターのリズムと生ドラムのリズムを交互に配置するような場面もあったりするだけれど、そういうところでも全く違和感なくつながってしまうのは凄い....というか、私のようなオッサンが考えるドラマーの名技性とは明らかに違うベクトルを持っている人なんじゃないかと思う。なんてーか、生の肉体でどのくらい非人間的なビートをたたき出せるか....みたいなところに命をかけてるような、良くも悪しくもそんな異様な潔さを感じたりもするのだ。ってーか、今やこういうのも今風なテクニックのひとつとして、ヘビメタあたりにすっかり吸収されてしまったのかもしれないけれど(笑)。 
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Mahavishnu

2007年02月12日 12時44分45秒 | JAZZ-Fusion
 84年の作品、久方ぶりにマハビシュヌの名を冠したエレクトリック作品。メンツはドラムにビリー・コブハム、ベースにヨナス・エルボーグ、キーボードにミッチェル・フォアマン、サックスにビル・エヴァンスという今となって非常に豪華な面々です。私は今回初めてこの作品を聴きましたが、なかなか楽しめました。なにしろマハビシュヌという名前が入っているので、「火の鳥」とかああいった音楽を期待してがっくりしたというのはもっともですが、すくなくともアルバム前半の音楽的クウォリティはなかなかのものだと思いました。

 なにしろ1曲目「Radio-Activity」では不気味な胎動を思わせる導入から、近年のザ・ハート・オブ・シングスに遜色ないプレイが展開されていて(コブハムのタイコがデニチェンに聴こえる-笑)、モダンなカッコ良さ満開ですし、3曲目では「Nightriders」ではファンキーなリズムに乗って、ロック風なフレーズのつるべうちでマハビシュヌっぽくてこれもまたななかなか。4曲目「East Side West Side」もインド風なテーマを込み入ったリズムでアレンジし、それをさっそうとノリ切っていくバンドのテクニックを堪能できる曲だったりしますから、十分満足できます。
 一方、後半はウェザー・リポート風なパースペクティブをとりいれたシンセ・サウンドを中心になっていて、こちらはやや趣味に走ったかなという印象。なにしろここでマクラフリンが使っているのは、かのシンクラヴィアという80年代の中頃に一世を風靡したオール・イン・ワン・シンセで、あまりに高性能、あまりに超高額ということで、日本にすら何台もなかったという代物で、それを扱うのがよほどうれしかったのか、後半はそのデモみたいになっちゃってるんですよね(笑)。

 ちなみに、キーボードのフォアマンは一聴してヤマハのDX系とわかる堅いエレピ系の音色を多用しています。ヤマハのDXというシンセはシンクラヴィアと同じ頃、シンクラヴィア以上に音楽の世界を席巻したシンセですが、この音を聴くとあの時期ろくに弾けもしないのに沢山のキーボード買い込んで、打ち込みをやったりしていた自分を思い出し、独特に感慨がひたってしまったりします。
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BOB JAMES & EARL KRUGH / One On One

2007年01月23日 14時11分39秒 | JAZZ-Fusion
 「Touch Down」での共演に端をはっしたと思われるアール・クルーのコラボレーションです。79年の発表で収録時期としては「Lucky Seven」と「H」の間にあたると思われますが、なにしろ時期が時期だけに、ボブ・ジェームスの音楽的アクティビティー全開で、いろいろな見方はあろうかと思いますが、個人的にはほとんど文句のつけようのない「ボブ・ジェームス作品」という気がします。なにしろ、ボブ・ジェームスはCTIで他の人のアルバムのアレンジをやっていた人ですから、共演であれなんであれ、ここまで彼のトーンに染めぬいてしまうのはさすがです。

 内容的には、ミディアム・テンポ主体のゆったりとした作品が並んでいます。主としてクルーのアコギとエレピの絡みで進んでいくアコスティック色の強い仕上がりですが、そのくせ、ストリングスやブラスなども背後にしっかり鳴ってりしていて、音楽的情報量はかなりのもの。濃厚だが舌触りがあっさりとしたクリーム・ティーのような感触とでもいったらいいかもしれません。何度も書くようですが、「Touch Down」の後半にフィーチャーされた、ボブ・ジェームス・アラ・カリプソみたいなサウンドは、あまりうまくいったとはいえずややダレ気味で、それを察したのかその後彼のアルバムからは、隠し味として使う以外はほとんど消えてしまう訳ですけど、見方を変えればそり路線はこのアルバムでもって、音楽的成果を結実させたといったところからなのかもしれませんね。
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BOB JAMES / H

2007年01月20日 14時09分24秒 | JAZZ-Fusion
 「Touch Down」から本作までの三作は、ボブ・ジェームスがもっともボブ・ジェームスらしかった、いってしまうえまば黄金時代の三部作といっていいようなもので、どれも甲乙つけがたい作品だと思いますが、個人的にはこの作品が一番好きですね。冒頭を飾る「Snowbird Fantasy」は、恐らくボブ・ジェースの最高傑作で、アコスティックでトラディショナルな旋律からシンセ・サウンドとアコピによるテーマ演奏を経て、ブラス隊が加わりラテン風味も交えつつ、ちっょと哀愁っぽいムードを大きく展開していく訳ですが、こう書けばわかる通り、この曲、この時期の彼のほとんど全ての要素が網羅されているといってもよく、その意味は、まさに「ボブ・ジェームス・サウンドの完成」と呼ぶに相応しい出来といえましょう。まぁ、完成度云々はともかくとして、こうしたジャズ・フュージョンの世界から、こうした映像的というか、ある種のドラマを感じさせる風景を見せてくれたというだけでも、なかなか凄いものがあります。

 2曲目の「Shepherd's Song」は、アコスティック・キダーとアコピの絡みで進んでいく、やはりトラッドっぽい曲で、従来の感覚でいえば、これも完全にジャズの領域を逸脱したサウンドで、もう少し後に出てくるニュー・エイジ・サウンド的な淡い色調なのがなかなか先駆的な音です。4曲目の「The Walkman」は「Touch Down」路線の軽快かつダイナミックな曲ですが、よりシンセをフィーチャーしているがその後の変化を予見しているといえるかもしれません。5曲目の「Throughbred」は「Snowbird Fantasy」的な哀愁+ダイナミック・サウンドといった感じの曲ですが、こちらはよりホットで途中スパニッシュ調になるあたりなかなかどうしてジャズ的感興が盛り上がります。4,6曲目はどちらもしっとりとソフトなニュー・エイジ路線で、どちらはもグロバー・ワシントンJrのサックスをフィーチャーしています。あっ、そうそう、このアルバムでボブ・ジェームスは自分の弾くキーボードの比重をエレピからアコピに移し替えてます。アコスティックな雰囲気が強いのはそのせいもあるかもしれませんね。
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BOB JAMES / Lucky Seven

2007年01月19日 14時08分20秒 | JAZZ-Fusion
 ジャケのデザインからも分かるとおり、前作のノリの良いポップなフュージョン路線を更に推し進めた79年の作品。サウンド的にはCTI時代からのトレード・マークであるブラスやストリングスなどは相変わらず多用しているものの、基本的な編成は更に縮小傾向で、その分エレピを中心にしたバンドスタイルのフュージョン・サウンド+αになっているのが特徴でしょう。前作はトロピカル風味の後半がややダレ気味でしたが、今回は最初から最後までタイトにまとまっているのがポイントが高いですし、ポップでキャッチーなリフも満載、まさにフュージョンの黄金時代のボブ・ジェームスを堪能できる一枚です。

 収録曲は、前作のタイトル・トラックの続編みたいな「Rush Hour」は、まずそのポップさドライブするノリ良さ等、ボブ・ジェームスのマスターピースとして忘れることのできない一曲。2曲目の「Blue Lick」は当時のスティーリー・ダンあたりとも共通するような極上のAORサウンドで、ミッドナイトなムードが実にいい感じ。3曲目の「Look-Alike」はボブ・ジェームス流のレゲエ・サウンド。ただし、スリトングスなども含め、完全にボブ・ジェームス風に料理していているので、前作の後半のような「まんま」みたいなところがないのがいいです。「Rush Hour」路線の4曲目「Big Stone City」。ボーカル作品「Friends」は典型的なAOR作品。ラストの「Fly Away」はあえていえば、ボサノバ風なサウンドですが、これまた完全にボブ・ジェームス・サウンドになっているあたりがミソで、独特な浮遊感が実に心地よい仕上がりです。
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BOB JAMES / Touchdown

2007年01月18日 14時07分03秒 | JAZZ-Fusion
 78年に発表したボブ・ジェームスの出世作。いや、ボブ・ジェームスといえば、CTI時代から才能もあり、自ら看板でアルバムを出せるアレンジャーとして知名度も高かった訳ですけど、当時勃興したフュージョン・ブームにのって、従来型のジャズ/クロスオーバーとは一線を画したポップでメロウなフュージョン・サウンドの立役者としてこのアルバムは、ある意味プームを象徴していた作品といえるでしょう。私はこのアルバムをNHKFMかなにかでオンエアしたものを録音して聴いたはずなのですが、とにかくそれまでのイメージしていた音楽主義的ジャズとは、あまりに違うポップでメロディック、そしてスムースな感触が、カラフルなジャケットの印象と相まって、「これもジャズなの?」と思いつつもとても新鮮だったのを良く覚えています。

 それを代表するのが、1曲目の「Angela」でしょうか。まずなんといってもリコーダが奏でるトラッドで可愛らしい旋律が印象的で、それをエレピを中心にフルートなどもからめて徐々にジャジーな展開にしていくあたりのセンスは抜群です。また、CTI時代がどちらかといえばブラスを多用してビッグバンド的な音楽をベースにしたのに比べ、このアルバム以降はより小編成なコンポ・スタイルを指向していくようなる訳ですが、この曲などそうした小編成故のインティメートな良さが良くでているともいえますね。
 一方、2曲目のタイトル・トラックは、CTI時代から流れをくんだ初期型ボブ・ジェームス・サウンドですが、よりポップでノリが良いあたりに、なにやら吹っ切れたボブ・ジェームスを感じさせます。旧B面の2曲はゆったりとしたトロピカルでサウンドで、これはこれで当時は非常にセンスの良い、南洋フュージョンという感じでやはり新機軸であったに違いありません。まぁ、現在聴くとややダレ気味なところもありますが....。
 という訳で、このアルバム、ボブ・ジェームスのディスコグラフィ中でも、もっとも印象的な一枚ではあります。
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Kieth Foley / Music For Christmas

2006年12月12日 21時49分28秒 | JAZZ-Fusion
 80年代の一世を風靡したシンセサイザーにヤマハのDX-7というものがあった。それまでのアナログで音作りをするのではなく、デジタルで合成や処理を行うという原理がまず画期的だったし、サウンドもやや軽目のキラキラした明るい音がが特徴だったと思う。僕はその頃、ろくに弾けもしないシンセをけっこう買い込んで、主に打ち込み用途で使ったりもしていたのだが、その頃はそれこそ「猫も杓子もDX-7」という感じで、ポップ系やフュージョン系ではもううんざりするかの楽器の音が蔓延していた。

 このアルバムはそのDX-7系の音をメインにすえ、ドラム・マシーンやシーケンス・パターンなどを用いないで、各種シンセサイザーの音のみを積み重ねて作ったクリスマス・アルバムだ。選曲されたのは主に聖歌系のクリスマスで、5つの組曲と16に単独曲の計21曲で構成されていて、この手のクリスマス・ミュージックに限っていえば、有名どころはほとんど網羅されているんじゃないかと思うほど沢山の曲が入っている。超有名どころを集めた5つの組曲あたりならともかく、単独曲となると正直いって私など知らない曲も多く、むしろこのアルバムで曲に馴染んだようなものもけっこうあったりするのだが、デジタル・シンセ特有のクリアで明るい、キラキラした音とクリスマス・ミュージックは妙に会っているし、ドラム系の音を全く使っていないことから、妙にデモっぽい手作り感のようなものが漂っていて、これがまた逆にいいムードを醸し出している。「現代に蘇ったディケンズ的クリスマスの風景」などというと褒めすぎだけれど、個人的には好きなアルバムだ。
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FOURPLAY / Snowbound

2006年12月09日 20時29分57秒 | JAZZ-Fusion
フォープレイのクリスマス・アルバム。1999年の作品ですから、未だリー・リトナーが居た頃の作品ですね(ちなみに最後は2000年の「Yes, Please! 」です)。クリスマス・ミュージックとはいっても、妙に媚びたり、浮かれる訳でもなく、いつもの常なるペースで淡々と演奏しているところはいかにもフォープレイ。そうしたストイックさの中から、なんともいえないゴージャスさや極上の肌触りをにじませるあたりは、まさに「酸いも甘いも....なんとやらの貫禄」というものでしょう。また、アルバム・タイトルにもなっているドナルド・フェイゲンの「スノウバウンド」を取り上げているあたりは、裏狙いも忘れないフォープレイの面目躍如といったところでしょうか(この曲クリスマス・ソングだったんですねぃ)。

 曲目的には、アルバム・タイトルにもなっている前述の「スノウバウンド」がフェイゲンの作った気持ち良いリズムとコーラスをそのまま拝借して、リー・リトナーとボブ・ジェームスの掛け合いで進んでいくあたり実に快適なアレンジになってます。私の好きな「ザ・クリスマス・ソング」はエリック・ベネット(R&B系の人らしい)をフィーチャーした、今時なソウルを感じさせる仕上がり、「ハブ・ユアセルフ・ア・メリー・リトル・クリスマス」と「ザ・クリスマス・ソング」の次くらいに好きなクリスマス・ソング「クリスマス・タイム・イズ・ヒア」は、リトナーのアコギをフィーチャーしたちょいとトロピカルなアレンジ。「サンタが町にやってくる」はビッグ・バンドをフィーチャーして、ゴスペル風なアレンジで手あかのついたこの曲を彼ららしくひっくりかえしてみせます。

 あと、このアルバムは一種のアレンジ物、アダプテイション物ということで、当然といえば当然ですが、全般にボブ・ジェームス色が強い仕上がりとなってます。そのあたりを良く出しているのが、「もみの木変奏曲」といったところですか。ついでにアルバム全体を通じて、ラリー・カールトンがすっかりフォープレイに馴染んでしまった今聴くと、ウェス風なオクターブ奏法を時折だすリトナーのプレイが妙に懐かしいです。

※ 今読み返したみたら、どでかい間違い、ギターはリー・リトナーじゃなく、ラリー・カールトンですね。あぁ、恥ずかしい(笑)。そのうち書き換えます。
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JOE SAMPLE / The Pecan Tree

2006年07月12日 23時11分04秒 | JAZZ-Fusion
 確か4年くらい前に出たジョー・サンプルのアルバム。この時期のサンプルはレイラ・ハザウェイをフィーチャーした作品だとか、セルフ・カバー・アルバムとかを出していて、なんていうか、ある意味過渡期を感じさせた時期だったように思うんだけど、このアルバムもそうした流れで、R&B畑のハワード・ヒュイットやリズ・ライト(どちらも詳しくは知らず)を迎え、ヴォーカル曲が4つも収録されていたあたりが、話題になっていたように思う。

 個人的に、ジョー・サンプルというと洗練されたピアノのフレージングが好きだったし、音楽はなんでも聴く方ではあるが、R&Bというのはあまり積極的に聴きたいジャンルでもないので、結局レイラ・ハザウェイとのアルバムは聴かずじまいだったし、このアルバムもけっこう「濃い」ヴォーカルが随所にきこえてくるので、ジョー・サンプルのアルバムとしてはあまり楽しめなかったような記憶がある。じゃぁ、なんでそんなアルバムを聴いていのかというと、気まぐれというより、友人がやる(らしい)和食料理の店でのBGMを頼まれたからなのである。キーワードは「スムース・ジャズ」なんだそうな。それであれこれ思いめぐらせたいたところで、思いついた音楽のひとつがこれ....という訳なのである。

 ちなみに私の感覚するとこのアルバムは、前述のとおりジョー・サンプルにしてはR&B色が強すぎて、少々泥臭すぎて「らしくない」ところがあると思う。個人的にはおしゃれなところで飯を食うなら、音楽は「スペルバウンド」とか「インビテーション」あたりが鳴っていてほしい。しかし、今の感覚するとわたしが少々泥臭いたと感じた、こういうセンスこそが、むしろおしゃれでモダンな和食料理店にはあったりするのではないか?などと考えたという次第なのだが、どうだろうか、やっぱセンス悪いかな。
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An evening with C.Corea & H.Hancock in Concert

2006年06月14日 22時50分09秒 | JAZZ-Fusion
 これはハンコックと組んだピアノ・デュオ作品だ。昨夜は78年コリアは非常に多作だったと書いたけれど、こういうアルバムも出している訳だ。しかも、この共演、ハンコックが所属するCBSと、コリアのポリドールで似たような内容のアルバム(しかもどちらもアナログ2枚組)をほぼ同時期に出している訳で、当時のチック・コリア・ファンは関連作品をいくら買っても買っても追いつかない状況だったんだじゃないだろうか。ちなみにこのアルバムはCBS側から出た方になる。

 私はピアノという楽器は、様々な楽器の中で一番好きといっていいくらいだし、ピアノ・ソロ、ピアノ・トリオ、ピアノ協奏曲などなど大抵は有り難く聴けてしまうクチなのだが、ピアノ・デュオとか連弾、2台のピアノのための作品とかになると、どういう訳かあまり楽しめなくなってしまう。どうしてなんだろうといつも考えてみるのだが、よくわからないものの、なんとなく4本の手で同じ楽器の音が錯綜して聴こえてきてしまうあたりに、どうも混濁したイメージを抱いてしまうらしい。

 このアルバムも名手ふたりの共演ということで、両者の個性の違いは明らかだし、ライブらしく丁々発止とやりあったり、阿吽の呼吸で絶妙な調和を見せたりする部分などにはこと欠かない訳だけれど、やっぱり心底楽しめるとは、お世辞にもいえないのは、我ながら残念だ。オーラスの「ラ・フィエスタ」なんざ、火が出るように高潮して、ライブの感興ここに極まりって感じなんだけどなぁ。
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CHICK COREA / Friends

2006年06月13日 23時42分20秒 | JAZZ-Fusion
 76年に続いて78年もチック・コリアは非常に多作だった。RTFの最終作にして総決算ライブ、「妖精」の続編のようなコンセプトで作った「マッド・ハッター」、オールスター・セッション的な「シークレット・エージェント」、ハンコックとのデュオなど、ほとんど乱発といってもいいような状態だったようだ。このアルバムもそうした78年に発表された1枚だが、比較的以前からCD化されていたことからも分かるとおり、この時期のアルバム群の中でも、頭一つ抜けた知名度と仕上がりをもった作品として、認知されていたということなのだろう。もちろん、私も大好きな作品である。

 さて、この「フレンズ」というアルバムだが、その良さを一口でいうとすると、やはり「口当たりが良い」ということに尽きるのではないか。チック・コリア人のひとつの側面として、技術偏重指向みたいなものがあって、時にそうした面が行き過ぎてしまい、オーバー・トリッキーな曲芸大会みたいになってしまうところがなきにしもあらずなのだが、このアルバムでは当時勃興していたポップなフュージョンに歩調を合わせたのか、単なる気まぐれだったのかはわからないが、アルバム全体がリラックスしており、かつポップなメロディーに満ちているのである。アルバム冒頭を飾る「ジ・ワン・ステップ」など、一聴するとボブ・ジェームスと勘違いするほどだ。

 メンツはリズム・セクションにスティーブ・ガッドとエディ・ゴメスという当代随一のテクニシャンを揃えているが、これまでも何曲かこの二人とは共演済みだったのは周知の通りだが、フルアルバムを作ったのはおそらくこれが初めてだと思う。これがその後マイケル・ブレッカーを迎えての「フォア・カルテット」などに発展していく訳だが、このアルバムでは前述のとおり、比較的穏やかなトーンで統一されているので、前述の「フォア・カルテット」の予告編ともいえる「サンバ・ソング」が比較的フルパワーでテクニックを全開している以外は、ご両人ともあまり派手な活躍はしていない。

 むしろ、このアルバムでは初期のRTFでの盟友ジョー・ファレルの清涼感あるフルート・プレイが全体のトーンを決めているように思える。ファレルらしいちょいとエキゾチックでモノトーンなフレージングとコリアのエレピのか絡みがなんともいえない浮遊感を醸成するのは、RTFで実証済みだが、「シシリー」など、さながら「スペイン」のご両人のプレイを思い出しているかのような仕上がりであり、実に楽しめる仕上がりとなってる。
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FOURPLAY / 4

2006年05月28日 23時55分35秒 | JAZZ-Fusion
 フォープレイといば、メンバーのひとりでるリトナーは自身のレーベルでの活動が忙しくなってきたもんで、てっきりバンドこど消滅したんだとばかり思ってましたが....、なんとギターをラリー・カールトンへとバトンタッチしての新作が出ました。早速聴いているところですが、3作続いた完全無菌状態な極上スカスカ・サウンドが多少ワン・パターンに感じてきたというか、多少手の内読めちゃいましたみたいなところがあったので、今回はけっこう新鮮。、

 以前のフォープレイにあったツルとしたストレートさみたいなところが、割とひっこんでけっこうジグザグしている感じの曲が多いです。もちろん、これは健康的なリトナーとブルージーなカールトンのキャラクターの違いがもたらしたものなんでしょうが、それに刺激されて他のメンバーのプレイもこれまでの整然とした佇まいから、微妙にホットな色合いを出しているのも見逃せません(ハービー・メイソン!)。
  ついでに書くと、リトナー在籍時代は調度夜10時くらいに聴くとぴったりした感じの音楽でしたが、今回のは時刻でいったら午前1時くらいって感じがします。「ミッドナイト・ギター」的アーシーな雰囲気と、なんか70年代後半のAORの雰囲気を現代にリファインした趣が絶妙な作品というべきでょうか。(1998年)
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野獣王国/野獣王国 

2006年05月26日 23時36分15秒 | JAZZ-Fusion
 是方、鳴瀬、難波、東原という日本のフュージョンとロック・シーンの狭間を行き交う名うてのミュージシャンで1998年に結成されたセッション風なバンド。昔でいえばスーパー・バンドといったところだが、これはその第1作だった。なにしろこのバンド名だからして、オールド・ロック的な野放図なエネルギー感だとか、精鋭らしい徹底した技術至上主義みたいなところを期待して購入したんだけれど、1曲目の「ジャングル」あたりにはそうした野性味みたいなものがあって、その後の展開を期待させたのだけれど、全体にロック的なボキャブラリーこそ随所に取り入れてはいるものの、基本的には口当たりのいいポップなフュージョン・サウンドという感じで、やや肩透かしを喰った感もなくはなかった。

 おそらくライブではかなり弾きまくり大会をやっていたはずで、この作品の前作にあたる「野獣王国Live」ではそういった、ベテラン勢の高カロリーな手数みたいなものを味わえたんじゃないかと思うのだけど、本作では東原の「淡泊なデスス・チェンバース」みたいな手数タイコに 片鱗が感じられるくらいで、良い意味では悪い意味でもスタジオ・ミュージシャン的なバランス感覚が出てしまい、少々手堅くまとめ過ぎたという感じがなくもない。この種のバンドとしては、渡辺香津美が仕切ったレゾナンスボックスなんかも同類だったような気がするけれど、あれほどには「凄ぇ」とは思えなかったのが、ちと残念だったかな。
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BOB JAMES / Playin` Hooky

2006年05月08日 10時01分03秒 | JAZZ-Fusion
 ボブ・ジェームスの新作です。前作はピアノ・トリオでしたが、今回はいつものフォーマットに戻ってのアルバムです。このところ彼の作品は、フォープレイも含めて、かなりアコピを重視したプレイだった訳ですが、そのあたりも一区切りついたと判断したのでしょう。

 今回の作品でまず気がつくのは、まるでCTIやCBS時代に戻ったかのようなフェンダー・ローズのプレイが随所に聴かれること、冒頭の曲などこれまた実に久しぶりのクラシック・アダプテイション(ショパンの「別れの曲」、これがセンスいいんだよなぁ)をやらかしている点です。要するにけっこう先祖帰りしているということなのですが、これが近年のハイテク打ち込み指向と非常にうまくブレンドされていて、とても気持ちよい仕上がりになっています。

 前々作あたりだと、「この曲はアシッド・ジャズ、こっちはアンビエント、んでこれはいつもの黄金路線」って感じで、どことなく総花的なバラツキ(バラティに富んでいるともいえる訳ですが....)が感じられたりもした訳ですが、今回はそれらがボブ・ジエームスの個性のもとに統一、再編されてきているようで、アルバム全体がとてもスムースに進行して気持ち良いです(ちょっとサラサラしすぎているキライもあるが....)。

 ボブ・ジェームスの「さりげなさ」もここまできたか!と思わす作品ですね。ホント、リラックスできます。ちなみに最後の曲でのチャック・ローブのギターのさりげなさもなんとも良いです。この人最近はどんな活動してるんだろ???。(97/11/16)
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チック・コリア/マイ・スパニッシュ・ハート

2006年04月21日 23時15分43秒 | JAZZ-Fusion
ちょっと順番は前後しましたが、「妖精」「浪漫の騎士」と同じ76年の作品。いかに即興演奏主体のジャズとはいえ年3作はさすがに凄いです。おまけにこの作品はアナログ2枚組の大作で、「ラ・フィエスタ」だとか、「スペイン」などで開陳してきたスペイン趣味を全面に押し出した作品ということで、話題性という点ではやはりこれが一番高かったのではないでしょうか。実は私は高校の頃、このアルバムの大半の部分をFMでエア・チェックしてかなり聴きこんでいたような記憶があるのですが、逆に言えば、そういうオンエアでアルバムごとかかるくらい話題性があったということかもしれません。

 さて音楽の内容についてちょっと書いておくと、前述のとおりスペイン趣味満開であるのはもちろんなのですが、個人的な印象としては一番ポップというか、ある意味聴きやすいアルバムだと思います。チック・コリアという人は良い意味でも悪い意味でも、音楽的な指向が大きく振れ過ぎるところがあるのですが、このアルバムの場合、絵はがき的などといったら怒られそうですが、割と「万人向けのスペイン趣味」が程よま音楽的な枷となっていて、過剰にテクニカルだったり、妙なファンタジー趣味みたいなところに耽溺することなく、割と平明な音楽になっている点がポイントですね。
旧CD面に収録された2曲の組曲などは、前後するいくつかの作品に共通するような要素もふんだんに出てくる訳ですが、まとまりという点では一頭地をぬけた仕上がりだと思います。

 ただ、残念なのはこのアルバム、「ラ・フィエスタ」や「スペイン」と並ぶような決定打がなかった点ですかね。「ラブ・キャッスル」や「アルマンドのルンバ」なんかは名曲といってもいい曲だとは思いますけど、さすがに先の2曲のようなスタンダードとまではいってないと思いますから....。それにしても、僕が高校の時、頻繁に聴きまくっていたのは、どの辺の曲だったのだろうか....うーん、さっぱり覚えていないな。
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