エキセントリックなタイム感覚と正確無比なテクニックを武器に、ジャンル横断的な活動をして現在最高のドラマーのひとりと評されるヴィニー・カリウタが94年に発表した現在まで唯一のソロ・アルバム。カリウタは80年代前半あたりに、フランク・ザッパ、スティングのバンドあたりで一気に名前を上げ、その後、やたらといろいろなところで見かけるようになった記憶があるものの、私はザッパやスティングにそもそもあまり縁がなかったのに加え、たまたま聴くことの出来たカリウタ参加作もどういう訳か地味めのものが多く、個人的には「凄そうだけど、よくわかんない」という人だった。
カリウタに対する認識を変えたのは、チック・コリア・アコースティック・バンド の「ライヴ・フロム・ザ・ブルーノート」だったかな。ともかく、あの時のカリウタは確かデイブ・ウェクルのピンチ・ヒッターとしてこのライブに参加したようなのだが、曲もフォーマットもほぼ従来通りなハズなのに、ドラムがカリウタのハードボイルドで辛口なドラミングに変わっただけで、良くも悪しく優等生トリオといった感じだった彼らの音楽が、アグレッシブで攻撃的なモダンなピアノ・トリオに変わってしまっていたのは驚いたものだった。このアルバムは彼のそうした辛口でシリアスな、場合によっては実験的ともいえるドラミングが多数フィーチャーされていて、彼のドラムの全貌を知るのには格好のアルバムである。
なにしろ1曲目が大々的なスリップビートなのである。スリップビートってのは16ビートのアクセントを妙な位置(主に裏)にズラして、リスナーをギクっとさせるようなトリッキーな効果なのだけど、これを更に順繰りにズラしていくというような凝ったことをやっているようで、まるでレコードの針が飛んだように聴こえる。しかも、それをヘビー・メタル的なギターのリフにのっているところもなかなかおもしろいところだ。3曲目なんかもその部類かな。ともあれ、他の曲もおしなべてロック、ヒップホップ、4ピート・ジャズ、フリー、フュージョン、ワールドミュージックといった要素がぐちゃぐちゃにコラージュされたエグいNYフュージョン風なサウンドで、発売後ほぽ10年経った今聴いてもかなり先鋭的に聴こえる。
ちなみにこの人のタイコは超がつくくらいジャストなノリで、例えば、コンピューターのリズムと生ドラムのリズムを交互に配置するような場面もあったりするだけれど、そういうところでも全く違和感なくつながってしまうのは凄い....というか、私のようなオッサンが考えるドラマーの名技性とは明らかに違うベクトルを持っている人なんじゃないかと思う。なんてーか、生の肉体でどのくらい非人間的なビートをたたき出せるか....みたいなところに命をかけてるような、良くも悪しくもそんな異様な潔さを感じたりもするのだ。ってーか、今やこういうのも今風なテクニックのひとつとして、ヘビメタあたりにすっかり吸収されてしまったのかもしれないけれど(笑)。
カリウタに対する認識を変えたのは、チック・コリア・アコースティック・バンド の「ライヴ・フロム・ザ・ブルーノート」だったかな。ともかく、あの時のカリウタは確かデイブ・ウェクルのピンチ・ヒッターとしてこのライブに参加したようなのだが、曲もフォーマットもほぼ従来通りなハズなのに、ドラムがカリウタのハードボイルドで辛口なドラミングに変わっただけで、良くも悪しく優等生トリオといった感じだった彼らの音楽が、アグレッシブで攻撃的なモダンなピアノ・トリオに変わってしまっていたのは驚いたものだった。このアルバムは彼のそうした辛口でシリアスな、場合によっては実験的ともいえるドラミングが多数フィーチャーされていて、彼のドラムの全貌を知るのには格好のアルバムである。
なにしろ1曲目が大々的なスリップビートなのである。スリップビートってのは16ビートのアクセントを妙な位置(主に裏)にズラして、リスナーをギクっとさせるようなトリッキーな効果なのだけど、これを更に順繰りにズラしていくというような凝ったことをやっているようで、まるでレコードの針が飛んだように聴こえる。しかも、それをヘビー・メタル的なギターのリフにのっているところもなかなかおもしろいところだ。3曲目なんかもその部類かな。ともあれ、他の曲もおしなべてロック、ヒップホップ、4ピート・ジャズ、フリー、フュージョン、ワールドミュージックといった要素がぐちゃぐちゃにコラージュされたエグいNYフュージョン風なサウンドで、発売後ほぽ10年経った今聴いてもかなり先鋭的に聴こえる。
ちなみにこの人のタイコは超がつくくらいジャストなノリで、例えば、コンピューターのリズムと生ドラムのリズムを交互に配置するような場面もあったりするだけれど、そういうところでも全く違和感なくつながってしまうのは凄い....というか、私のようなオッサンが考えるドラマーの名技性とは明らかに違うベクトルを持っている人なんじゃないかと思う。なんてーか、生の肉体でどのくらい非人間的なビートをたたき出せるか....みたいなところに命をかけてるような、良くも悪しくもそんな異様な潔さを感じたりもするのだ。ってーか、今やこういうのも今風なテクニックのひとつとして、ヘビメタあたりにすっかり吸収されてしまったのかもしれないけれど(笑)。
