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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

フランシス・レイのすべて

2007年07月19日 22時24分05秒 | サウンドトラック
 先月取り上げたフランシス・レイのベスト盤が海賊盤まがいの代物だったので、もっときちんとしたアルバムを....ということで購入してきた2枚組のベスト盤。一応、フランシス・レイ名義だし、オリジナル演奏でないものはそうクレジットされているから、てっきりサントラをメインにしたアルバムかと思ったら、ここ10年くらいにフランシス・レイ自身が制作したとおぼしき再録音もかなり含まれてるので、ちょっと拍子抜けしてしまった。「男と女」「さらば夏の日」は女声ボーカルとレイ自身のボーカルをフィーチャーしたものだし、「雨の訪問者」も女声ボーカルが聴こえてくる。また、「パリのめぐり逢い」ではデジタル・シンセと打ち込みのリズムが大きくフィーチャーされているといった具合だ(ちなみに仕上がりは悪くない)。もちろん、サントラを使用している曲も沢山あるのだが、これに加えて日本のスタジオ・オケで録音されたものも入っているため、名曲は一応網羅されてはいるものの、中途半端なチャンポン感はぬぐえない。

 とはいえ、ジュヌビエーブ・ビジョルドとジェームス・カーンが主演した舞台を西部に移した「続・男と女(`77)」や、本当の「続・男と女」である「男と女II(`86)」の音楽が聴けたのは収穫だった。前者は映画自体は大したことなかったが、当時僕はジュヌビエーブ・ビジョルドが大好きだったので、けっこう印象の残っている映画だったし、後者はまだ観ていないのだが、あの名作に後にどういう音楽をつけているのか、かねてから興味があったからだ。もっと実際聴いてみるとどちらも音楽的にはそれほどでもないが....。
 ちなみにフランシス・レイという作曲家は、70年代後半から音楽的にはフランスの伝統音楽へ先祖返りしているような傾向が強く、60年代のモダンで垢抜けた閃きにみちた音楽に比べると、音楽的な霊感がかなり後退しているのではないかと常々感じていたのだが、今回のような全活動を包含したベスト盤だと、かえってそれが明らかになっているようで、「やっぱりな」とちょっとがっかりしているところでもある。まぁ、こういう渋いフランシス・レイというのも、ひとつの趣がもしれないけれど....。
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DIMITRI TIOMKIN / Lost Horizon

2007年07月15日 23時27分52秒 | サウンドトラック
 ディミトリ・ティオムキンはいうまでもなく黄金時代のハリウッドの巨匠のひとりだが、個人的には「白昼の決闘」「アラモ」といった「名作西部劇の音楽を書いた人」というイメージがあるせいか、どうもこれまであまり縁がなかったのだが、さっき調べてみたら、もちろんのそうしたものだけではなくて、そもそも映画の中のバレー音楽を作ってデビューして、直後にキャプラ組んで名を上げている訳だし、有名な「ナバロンの要塞」、いわずもがなのヒッチコックとのコラポレーションと結構多彩なキャリアがある人ということが分かった。私がティオムキンを知ったのはもちろんヒッチコックのサントラ関連でだが、「疑惑の影」「見知らぬ乗客」「私は告白する」「ダイヤルMを廻せ!」といった作品の音楽は、「ややダークで重厚なサウンドだな」というくらいでほとんど印象の残らなかったのである。

 さて、このアルバムは私が持っている数少ないティオムキンのアルバムのひとつだ。収録曲は、23分にも及ぶ「失われた地平線」の組曲をメインに、「ナバロンの要塞」や「友情ある説得」など計5作品、全10曲となっている。今回久々に聴いて感じたことは、やはりこの人ロシアの人だな....という印象である。彼はそもそもリムスキー=コルサコフの孫弟子としてロシアに学び、ピアニストとしてはホロヴィッツと兄弟弟子となるなどかなりクラシックの方向では俊英だったようだから、その音楽にはリムスキー・コルサコフ的なまばゆいオーケストレーション、ボロディンのようなエキゾチックな民族風味、スクリャービン的な陶酔感、原始主義的な荒々しさなどなどが随所に感じられるのである。組曲として収録された「失はれた地平線」では、合唱団がフィーチャーされエキゾチックなダイナミズムを醸し出しているけれど、これが妙に「だったん人の踊りと合唱」風だったりするからおもしろい。
 まぁ、このいかにも重厚なサウンドに、いわば上物としていかにもアメリカ的で素朴で人懐っこい旋律だとかジャズ的センス、あとオペレッタ経由の甘美な雰囲気やコルンゴールド的な金管などなどが鏤められていて、こうした職人的な器用さと強力が音楽的自我が妙に共存しているところが、ティオムキンのハリウッド的センスなんだろうと思う。

 演奏はチャーネズ・ゲルハルトとナショナル・フィルで70年中盤の録音である。このコンビは当時、コルンゴールドを筆頭に黄金時代の作品群を次々にハイファイ録音して(余談だが、後年このコンビよる新作映画のスコア盤は大抵オリジナルより断然音がいいということで評判だった)、かなりのヒットを記録。結果的にジョン・ウィリアムスが「スター・ウォーズ」でもって、往年のハリウッド・サウンドを復活させる、その伏線として役割を果たしたことでも有名だが、このアルバムもそのコンビニよる一連のシリーズの一枚という訳である。
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KORNGOLD / The Waner Bros. Years

2007年06月26日 23時21分46秒 | サウンドトラック
 コルンゴルトといえば、2年ほど前に彼の映画音楽第一作である「真夏の夜の夢」のスコア盤を取り上げたことがありましたけれど、やはりコルンゴールドの映画音楽といえば、30年代中盤以降、ワーナーブラザーズ時代の作品が有名でしょう。ワーナー・ブラザーズにおける彼の作品は自身の映画音楽のキャラクターを確立したのと同時に、いわゆる黄金時代のハリウッド映画音楽のひとつのスタイルの始祖としても有名で、音楽的にはもちろんですが、歴史的にもその価値は非常に高いといえます。このアルバムはそんなワーナー・ブラザーズ時代の作品を、オリジナル・スコアによる再演ではなく、なんとオリジナル・サウンド・トラックで網羅した2枚組のアルバムです。「海賊ブラッド」を筆頭に、「風雲児アドヴァース」「砂漠の朝」「放浪の王子」「ロビンフッドの冒険」「シー・ホーク」「海の狼」「嵐の青春」といった、今では問答無用の有名作品がずらりと並んでいます。

 前に書きましたが、コルンゴルトは20世紀初頭のウィーンでマーラーやツェムリンスキー、リヒャルト・シュトラウスといった当時の大家が瞠目し、10代で神童と呼ばれ、20代には既に大作曲家と目されていたほどの存在だった訳ですが、ナチスの勃興による一連の出来事によりアメリカへの亡命を余儀なくされ、本人は不承不承ながら、次第に映画音楽がメインとなっていくという経緯をたどっています。したがって、彼の音楽はある意味で革新的なシェーンベルクなどより、遙かにドイツロマン派の正統的な後継者という側面もあり、新ウィーン楽派がマーラーの後継だったとすると、彼は明にリヒャルト・シュトラウスの後を継ぐ者という感じで、あっけらかんとしたオプティミズムといささか通俗的なロマン派趣味をこの上なく豪華なオーケストレーションで鳴らす....みたいなところに特徴がありました。コルンゴールドのそうした特徴が実にハリウッド向けだったことはいうまでもないことで、それがいかに素晴らしかったはここに収められた諸曲が証明しています。

 ちなみにこのアルバムは30年代の録音ということで、音質的にはかなり不安を感じましたが、リマスタリングに際して、ノイズの消去や音圧のアップ等をほどこしたのか、ナロウなモノラル録音であることは隠せないとしも、意外なほどクリアですっきりした音質になっているのは驚きです。驚きといえば、1930年代の映画の「サウンド・トラック」がハリウッドのどこかに保存されていた自体、けっこうな驚きではあります(コルンゴルトの破格な扱い故に丁寧に保存されていたということなんでしょうか?)。実のところ私はここに収録された作品のほとんどは、映画自体観たことがないのですが、このレトロな音質で一連の音楽を聴くと、まるでその映画を観ているような感じにとらわれ、最近のデジタルで再録されたクリーンな瀟洒さに溢れた演奏とは、違った独特な趣を感じさせるから不思議です。
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フランシス・レイ/Francis Lai

2007年06月01日 23時14分34秒 | サウンドトラック
 フランシス・レイという作曲家が「男の女」などのサントラで一世を風靡した60年代の後半頃、私は小学生だった。他の小学生に比べると多少音楽の情報量が豊富な環境にあったとはいえ、ルルーシュの映画など観ることもできなかった私が、彼の音楽をなんとなく知っていたというのは、とりもなおさず当時彼の音楽が日本の巷に大量に流れていたとを物語っていると思う。彼の音楽はそもそもフランス的なロマンティックなメロディーに加えて、「男の女」あたりではボサノバのリズムやコード進行を使って、独特な垢抜けたセンスがあったのも印象的で、前にも書いたけれど私はボサノバという音楽をてっきりフランスの音楽だと思っていたほどだ。ともあれ、フランシス・レイの音楽は当時の「おしゃれな音楽」の代名詞的存在だった。

 このアルバムはいつごろどこで購入したのかさっぱり覚えていないのだけれど、フランシス・レイのベスト盤である。ジャケのセンスなどからして、駅のワゴン・セールで並べてあるような海賊盤すれすれ編集盤だと思うが、一通り彼の代表作が収録されていることから、購入したものだと思う。今はそうでもないだろうが、昔はフランシス・レイのベスト盤というのはほとんどみなかったように記憶しているし、個々のサントラというのもほとんど廃盤状態だったから、そういう意味でも便利な作品だったはずだ。
 そんな訳で、収録曲は有名なものばかりだけれど、やはりルルーシュ作品がいい。「男と女」もいいが、個人的には「パリのめぐり逢い」が優雅さが好きだが、またイタリアっぽい「あの愛をふたたび」の叙情も捨てがたい。ルルーシュ以外では「さらば夏の日」の青くて碧い南仏の空が思い浮かぶようなパースペクティプもや「栗色のマッドレー」のそこはかとない叙情も捨てがたい。また、私の世代だと「白い恋人たち」という今となっては気恥ずかしい曲も実は忘れががたかったりする。

 ちなみに私は前述の理由によって、彼の音楽、特にルルーシュ系の「男と女」や「パリのめぐり逢い」といった音楽は、長いことサントラではなくキング・レコードから出ていたセブン・シーズ原盤のフランス・イタリア系のイージー・リスニング・オーケストラの演奏で親しんでしまったため、実をいうとここ収録された「本物の演奏」より、そちらの方が懐かしかったりもする。オーケストラ名とかすっかり忘れてしまったのだけれど、もう今はあの手の演奏はもう忘れられてしまったのだろうか?。原曲の優雅さを増幅したような趣は、あれはあれでけっこうよかったんだけどなぁ。
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HERRMANN / PSYCHO-Hitchcock Movie Thrillers

2007年05月15日 23時44分23秒 | サウンドトラック
 こちらは先日レビュウした「Great Hitchcock Movie Thrillers」の再発盤です。このアルバムは一番最初に購入したのはアナログ盤でしたから、結局2回買い直した訳で、私のこのアルバムに対する愛着が知れようというものですが(笑)、この再発盤はジャケが刷新されたばかりでなく、追加曲としてスタンリ・ブラック指揮ロンドン・フェスティバル管弦楽団の「白い恐怖」が収められているあたりが特徴となるんでしょう。ただし、残念ながらこの追加曲はハーマンの自作自演集というアルバムの体裁を損なってしまうことになるので(「白い恐怖」はミクロス・ローザの作品)、個人的にはあまり歓迎できませんし、ジャケのセンスも前の方がはるかによかったので、自分の中ではとりあえず買ってはみたけれど、ほとんど忘れがちなアルバムです。

 そんな訳でこのアルバムの注目すべき点があるとすれば、リマスターによる音質アップということになるんでしょう。この再発盤は92年、先にレビュウしたのが87年の発売ですから5年ほどの間隔があった訳ですが、この間にリマスター・ブームのようなものがはじまったおかけで、その恩恵を賜ったというところだと思いますが、とにかく音の鮮度が上がり、元々高解像度だったこの録音が更に見通しが良くなったのは収穫です(近年のリマスターのように無理に音圧を上げているようなところがないのもいいです)。
 ちなみに、「白い恐怖」は主題曲だけでなく、映画中の名場面の音楽をピックアップした小組曲風な構成ですが、なにしろイージー・リスニング・オーケストラ畑のスタンリー・ブラックの演奏ということで、かなり甘口なアレンジが施されているのが気にかかりました。まぁ、今となっては貴重な演奏かもしれませんが。
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HERRMANN / Hitchcock Movie Thrillers

2007年05月09日 23時58分57秒 | サウンドトラック
 バーナード・ハーマンが担当したヒッチコック・スリラーの中から特に傑作を集めたアルバムです。指揮はハーマン自身、オケはロンドン・フィルという組み合わせですが、ハーマンは「き裂かれたカーテン」でヒッチコックと決別して以来、イギリスに移り住み、なかば悠々自適な生活の傍ら、自作その他の指揮活動をしたりして60年代後半~70年代前半あたりを過ごす訳ですが、その中の一枚がこれという訳です。ハーマンの作品はここ20年くらいくらいの間、再評価の機運が高くかなり作品がサントラ起こしやスコア再演という形でCD化が進みましたが、思えば60年代からこうした形で再録をしていたところをみると、ほぼリアルタイムで揺るぎない評価を得ていた人なのだなぁ....と改めて思ったりします。

 収録されている作品は、「サイコ」「マーニー」「北北西に進路をとれ」「めまい」「ハリーの災難」の5作品で、「北北西」だけはメイン・テーマしか演奏していませんが、他は10分以上のスペースをとり映画の主要な部分を集めた組曲という形で再演されていますから、聴き応えはありますし、作品の概要を知るには十分なものがあると思います。私はハーマン/ヒッチコックの作品というと、確かこれが最初だったと思いますが、このコンビによる作品を入門するには絶好なアルバムであり、まさに幸福な出会いだったと思います。当時の私は映画オタクでしたから、ヒッチコックの作品はけっこうな数みていましたが、「めまい」や「ハリーの災難」は当時まだ未見でしたので、おそらく映画音楽の方を最初に聴いてしまい、その後に映画を観るというパターンを経験したのはこれが初めてだったと思います。

 ことに「めまい」の方は、そもそも音楽そのものが「トリスタンとイゾルデ」を思わせるロマンティックな音楽だったせいもあって、映画を観る前から音楽だけでも十分に楽しめたですが、なにしろ映画そのものが私のベスト1ともいえる作品だったせいで、音楽の相乗効果も相まって、例のキム・ノヴァクが幻のようにかつての姿になって登場する後半のハイライト・シーンでは、それこそ身体がぶるぶると震えるくらい感動したものでした。ともあれ、この後、「めまい」を筆頭にバーナード・ハーマンと名が付けば、なんでも買いあさる日々が来る訳ですけど、とにかくそのきっかけになったのがこの一枚なんですね。

 ちなみに2年ほど前にレビュウしたサロネンのハーマン集も選曲的にはこれをベースにして他の作品をプラスしていたという感じでしたが、サロネンが今風に流れるように演奏していたのに比べると、さすがにこちらは本家本元だけあって、非常にドラマチックで重厚、とても濃い演奏です。また、フェイズ4によるデモ効果満点の音質もあって、今聴いても古びてないですから、このアルバム、これまで何度も再発されてきましたが、おそらくこれからも長い生命を保つのではないでしょうか。
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LUIS ENRIQUEZ BACALOV / Quien Sabe ?

2007年04月23日 20時27分58秒 | サウンドトラック
1966年に制作されたマカロニ・ウェスタンのサントラです。私はこの映画を多分観ていませんし、このジャンルそのものが苦手の範疇なのですが、おそらく10年以上前に気紛れて購入してきたものだと思います。映画そのものは、メキシコ革命を舞台にした、政府を奪った武器を、革命軍に売りつける群盗を中心としたドラマのようで、主演はジャン・マリア・ボロンテで、クラウス・キンスキーなども出ているようですが、このあたりから察するに、この作品どうやら「荒野の用心棒」みたいなヒーロー型のドラマではなくで、もうちょっとダーティーなアクション編みたいな仕上がりのようです。監督はダミアーノ・ダミアーニで、この人も昔はその名前を頻繁に聞きましたが、彼が演出のタッチは全く記憶にない....。

 さて、肝心の音楽ですが、担当したのはルイス・エンリケ・バカロフという人。今調べてみたら、この人最近でも現役で1994年の「イル・ポスティーノ」でなんとオスカーを受賞して今やすっかり大家となってしまったようです。昔はイタリアの映画音楽家の中でも知る人ぞ知るという感じだったように思いますが、その知名度が急激上がったのはやはりニーノ・ロータの死後、フェリーニの「女の都」なども手がけるようになったあたりからでしょうか。もっとも彼はそれ以前からアレンジャーとしてカンツォーネやロックと関わりをもったりして、いろいろな活動をしていたようですが....。
 ともあれ、これはおそらくエンニオ・モルリコーネの後塵を配したB級映画音楽家といったとポジションで作られたものでしょう。音楽的には非常にユニークで、これはおそらく彼がアルゼンチン出身という影響が強いのでしょうが、まずはメイン・テーマできこえるハープを効果的に使ったエキゾチックで鄙びたムードが独特の印象を残していますし、アコスティック・ギターをフィーチャーした叙情的な作品も良い味を出しています。また、かなりモダンに処理されたオーケストレーションも特徴的で、7曲目では「ペトルーシュカ」そっくりな響きが出てきたりして、けっこう楽しいものがあります。

 それにしても、ルイス・エンリケ・バカロフという人、前述のとおりオーケストレーションはユニークだし、イタリア的なところとエキゾチックなところが妙に入り交じった旋律もおもしろいし、けっこう看過できない存在かなぁ....と思い始めました。とりあえずオスカーを受賞したという「イル・ポスティーノ」でも聴いてみようかな。
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ヘンリー・マンシーニ/モア・ミュージック・フロム・ピーター・ガン

2007年04月02日 23時56分58秒 | サウンドトラック
 タイトル通り、昨日取り上げた「ミュージック・フロム・ピーター・ガン」の続編です。前作の翌年、つまり59年に収録されたものですが、サントラで続編が出るというのは、例えば「2001年宇宙の旅」とか「アマデウス」とか、後年に例がない訳ではありませんが、そうそうないような気がします。いずれににせよ、当時いかにこれが受けたか推して知るべしといったところでしょう。全体としては、前作のタイトル曲や「ドリームズヴィル」といった有名曲が見あたらないのはやや残念ではありますが、内容的にはほぼ前作の音楽を忠実に敷衍したものとなっています。では、主要な曲を拾ってみましょう。

 1曲目の「ウォーキン・ベース」は文字通りブルージーなベースのリズムが印象的な作品で、都会の裏路地が似合いそうなサウンドは、その後「ピンク・パンサー」などにも受け継がれていきます。2曲目の「ティモシー」はその後のマンシーニのある部分を予見するようなマーチ風なテーマをもっています。もっとね中間部ではソロをフィーチャーしたスウィンギーな展開となりますが....。3曲目「ジョアンナ」は「ドリームズヴィル」を思わせるトミー・ドーシー風なサウンド。4曲目「マイ・マン・シェリー 」はシェリー・マンをフィーチャーしたリズミックな作品。6曲目「オド・ボール」は軽快なビッグ・バンドをフィーチーし、ソロ・パートではヴァイブ、トランペット、サックス、フルートなど多彩なソロが彩りを添えます。
 7曲目「ブルー・スティール」は更にテンポを上げたグレン・ミラー風なビッグ・バンド・サウンドです。9曲目の「スプーク!」はジャズというよりドゥーワップ風な異色作。10曲目の「クワイエット・ガス」は前作路線のシアリング風なサウンドをフィーチャーしたスローな作品。12曲目の「ブルース・フォー・マザーズ」はテッド・ナッシュのアルト・サックスとジョン・ウィリアムスのピアノをフィーチャーしたちょっとアーシーでムーディーな作品で、やはりシアリング風なユニゾンがいかにもオシャレな雰囲気を醸し出しています。

 という訳で、このアルバム、前述のとおり基本的には前作の延長線とは書いたものの、じっくりと聴くと、音楽的なパリエーションがかなり拡がり、ジャズ色も多少濃厚になって前作以上に多彩なソロがフィーチャーされていることに気がつきます。このあたりは「続編」ということで、マンシーニがアレンジャーとして腕の振るいどころだったポイントなのかもしれませんね。あと、シェリー・マン参加でリズムをタイトになっているのも注目です。 
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ヘンリー・マンシーニ/ミュージック・フロム・ピーター・ガン

2007年04月01日 23時54分42秒 | サウンドトラック
 「ピーターガン」はヘンリー・マンシーニの実質的なデビュウ作です。彼はこのテレビ映画の音楽を担当する前にもパラマウントで、いくつかのアレンジなどもこなしていた訳ですが、作曲も含め独り立ちした作品といえば、やはり「ピーターガン」ということになるんでしょう。このアルバムはタイトルからも分かるとり、一応、サントラというよりは「映画で使用されたテーマを使ったジャズ・アルバム」ということになるようです。当時の映画音楽のレコードは、純粋なサウンド・トラックとは切り離して制作される場合も多かったので、これもそのヴァリエーションというべきかもしれません。ついでにいえば、ヘンリー・マンシーニの場合、このアルバムのように「ミュージック・フロム....」などとタイトルが付かなくても、いわゆるサントラ盤は実際に映画に使われたサウンド・トラックと別録音、別テイクが非常に多いです。

 さて、このアルバムですが、その後、「ピンク・パンサー」などで長い付き合いとなるブレーク・エドワーズ監督によるTVドラマの音楽ですが、ドラマ自体は見たことないので分からないものの、一種の探偵物だったらしく、音楽の方はあまりに有名な主題曲に象徴されているように、ギャング映画風というか、キャバレー・ミュージック風な音楽が多くなっています。主題曲の他に有名なものとしては、4曲目の「ドリームズヴィル」ですかね。トミー・ドーシー風なブラスがとてもムーディーな雰囲気を盛り上げる曲ですが、ピアノを弾いているのはその後映画音楽の大家となるジョン・ウィリアムスです。
 後、気に入ったところでは、3曲目の「ナイト・クラブの事件」は途中のシアリング・サウンド風なユニゾンがマンシーニらしいオシャレなセンスを感じさせてくれます。シアリング・サウンドといえは、6曲目の「ソフト・サウンズ」、8曲目「放浪者」、11曲目「ブリーフ・アンド・ブリージー」あたりは全編その路線です。ちなみにウィリアムスとユニゾンをとるヴァイブはヴィクター・フェルドマンというのもけっこう凄いですが....。7曲目「フォールスアウト」は小気味よい主題曲のヴァリエーション。一方、9曲目の「スロー・アンド・イージー」は「ドリームズヴィル」のヴァリエーション的なところもある作品。

 という訳で、この作品イタリア系のマンシーニらしいラブリーな旋律はまだ登場しませんし、サウンド・トラックというよりは、やはり「イージー・リスニング・ジャズ」として楽しみたい作品というべきですかね。事実、そういう「売れ方」で、この作品は大ヒットして、結果的にマンシーニの出世作となる訳ですから....。ちなみに「イージー・リスニング・ジャズ」といっても、これは58年の音楽ですから、多用されるシアリング・サウンドを持ち出すまでもなく、基本的なカラーは50年代のジャズという感じがします。
 ついでに書くと、60年代の「イージー・リスニング・ジャズ」はヴァーブ、そのヴァーブは70年代に前後してCTIに引き継がれ、その後はフュージョンに収束することになる訳ですが、これってメインストリームではないにしても、立派なジャズの系譜のひとつですよね。 
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Classics Scores From Hammer Horror / various

2007年03月26日 23時40分26秒 | サウンドトラック
 こちらはジェームス・バーナードを中心としたハマー・フィルムの・プロダシクョンのドラキュラ物のコンピレーションです。こんなのいつ購入したんだろう?。どうも、さっぱり覚えてないのですが(笑)、おそらく4,5年前に大昔みた一連のドラキュラ物が懐かしく購入したんでしょう。ジェームス・バーナードという人は、ブリテンの弟子とのことですが、作曲活動としてはどうやら映画をメインにしていたようで、あまりシリアス・ミュージックの分野でも作品は残してないようです。ハマー・フィルムの一連のホラー映画の音楽など、おそらくこの人の代表作となるんでしょう。レーベルはイタリアのサントラ専門レーベルであるシルヴァ・スクリーン社で、演奏はニール・リチャードソン指揮のフィルハーモニア管弦楽団で、89年に収録されたようです。

 アルバムは全部で5作品が収められていますが、前述の通りジェームス・バーナードの作品がメインとなっていて、「吸血鬼ドラキュラ(`58)」と「凶人ドラキュラ(`66)」のハイライト部分で構成された「ドラキュラ組曲」、「帰って来たドラキュラ」からフィナーレ、そして「ドラキュラ/血の味(`70)」から組曲と計3作品を占めています。いずれも、おどろおどろしい、聴く者を不安に陥れるような音楽ですが、昨日のフランケルに比べると管楽器のグロテスクな響きにせよ、緊張感を誘う弦楽器のトレモロにせよ、同じ新ウィーン楽派の影響が感じられる音楽であることは共通してますが、もう少し通俗的かつ派手に作られているようですね。格調高さではフランケル、大向こうに受ける賑々しさでバーナードといったところでしょうか。
 あと、クリストファー・ガンニングによる「切り裂き魔の手(`71)」と デヴィッド・ホイテカーが担当した「吸血鬼サーカス団(`72)」ですが、前者はバーナードとフランケルの中間いくような作風で、エレガントな旋律も美しくなかなか器用にまとめています。後者はティオムキンを思わせるダイナミズムとバルトーク的な緊張感とエキゾシズムが特徴となっていますが、どちらも70年代という後発組の音楽だけあって器用にまとめているという感じです。

 ちなみに「ドラキュラ」映画といえば、子供の頃に大抵の作品はテレビで観ているはずですが、この5曲とも「あぁ、これこれ」と子供の頃に観た記憶を思い出させるような音楽ではなかったのは残念でした。むしろ多分観ていない昨夜の「吸血狼男」の方が、「これこれ、こういう雰囲気なんだよね~」とか思いだしたくらいです。このあたりは自分のもっている音楽的なヴァイブレーションみたいなものが、多分関係あるんでしょう。有り体にいえば、これらの音楽はその良否はともかくとして、自分の琴線に今一歩触れてこないといったところかもしれません。まぁ、聴きこんでみれるとまた違った印象を持つ可能性もありますが....。
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ベンジャミン・フランケル/「吸血狼男」他

2007年03月26日 00時36分25秒 | サウンドトラック
 ベンジャミン・フランケルという人は初めて聴く人ですが、今さっきネットで調べてみたら映画音楽の本業ではなく、戦前から戦後にかけて多数の交響曲や弦楽四重奏曲を残したイギリスのシリアス・ミュージックの作曲家らしいです。ただし、戦後の映画隆盛期には本業と平行してたくさんの映画音楽も手がけていたようで、なんでも百本以上のスコアを書いていたとのことです(この時期に活躍した作曲家は、食い扶持だったのかもしれませんが、兼業として映画音楽を作っている人かほんとに多いです)。さて、ナクソスの「Film Classic」シリーズの一枚として発表されたこのアルバムは、そんな彼が戦後に担当した映画音楽を集めたもので、メインとなるのは「吸血狼男」と「ザ・プリズナー」の2作品となり、いずれも世界初録音とのことです(演奏はカール・デイヴィス指揮、ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団)。

 まず「吸血狼男」ですが、これは1959年制作された英国のハマー・フィルム・プロダクションでの一作で、おそらく「吸血鬼」や「フランケンシュタイン」とかいった、ハマー・フィルムらしいホラー作品と思われます。音楽的には新ウィーン楽派、特にベルクに極めてよく似た音楽で、12音的の技法を駆使した不安を誘うダークなオーケストレーション、突如大音量で炸裂する不協和音、ニューロティックな音のダイナミズム、キャバレー風なジャズ風味などなど、ほとんど「ルル」か「ヴォツェック」かという世界です。私は20代の頃、新ウィーン楽派の音楽を初めて聴いた時に、「まるで怪奇映画のサントラのようだ」などと思ったものでしたけど(笑)、新ウィーン楽派の音楽が今のように古典化する以前、まずはホラー映画の音楽手法として、リスナーの耳に無意識に一般化していたという歴史があったことが、これを聴くとよくわかります。

 一方、「プリズナー」の方は、詳しいことはわかりませんが、どうも宗教絡みの洗脳に関わるようなお話のようで(アレック・ギネスが出ているらしい)、音楽の方もニューロティックな心理状態を思わせる不安げな音楽に、宗教的な厳粛さがちらほらするような仕上がりになっています。ハリウッド映画のようなわかりやすい旋律はあまりなく、時に12音の技法をまじえつつ、かなりシリアスな表情を持っています。まぁ、このあたりはフランケルというより、英国映画の特質なのかもしれませんけどね。
 その他「ザ・ネット」という作品から1曲「愛のテーマ」はピアノをフィーチャーした既視感を誘うような美しい作品。もう1曲「ソー・ロング・アッ・ザ・ファー」は小組曲で、こちらは比較的牧歌的な風情ある英国的センスが良くでた作品となっています。 
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PIERO PICCIONI / Ti ho sposato per allegria

2007年03月22日 22時31分00秒 | サウンドトラック
イタリア映画のサントラである。どんな経緯で購入したのか、さっぱり覚えていないのだが、このジャケのデザインからして、ピチカートVあたりが口火となったモンド・ミュージック発掘の走りとして、復刻されたものではないだろうと思う。このCDのとなりには、これと前後して購入した、有名な「女性上位時代」のサントラなどがも並んでいるから、購入したのは10年くらい前ということになるんだろうか。映画そのものも不明である、検索してみたところ、1970年に公開された「ゆかいな結婚」というラブコメディらしいことが分かった(日本未公開)。裏ジャケにはタバコを加えた女優が写っているが、これはモニカ・ビッティだったという訳だ。昔はこういうことを調べるには、個人の力だとキネ旬の資料本を何冊も取り出してきて、それのあちこちをめくって、やっと分かるかどうかというところだったのだが、今はインターネットでけっこう簡単に分かってしまうから、便利になったものだ。

 さて、音楽はピエロ・ピッチオーニという人で、この映画そのものもそうなのだが、どうもイタリアのB級映画専門という感じで活躍していたらしい(ヴィスコンティの「異邦人」なども担当しているが)。音楽的にはいかにも60年代のラブコメディのサントラという感じで、ヨーロッパ風におしゃれなメロディーでつくられたテーマを、ボサノバ・サウンドや女声スキャット・ボーカル、更にはジャズ・ロック風、キャバレー風なアレンジなど、様々なヴァリエーションで演奏している。こういうスタイルはおそらくフランシス・レイの「男の女」あたりをルーツとするもので、50年代から映画音楽を無数に作っているピッチオーニとしては、そのスタイルをそのまま踏襲して、手堅くまとめたというところなのだろうと思う(60年代後半から70年代前半にかけてのイタリア映画にはこの手のサントラがおそらく無数にあったんだと思う)。ともあれ、このい南仏の風景がいかにも似合いそうな、60年代ヨーロッパ風におしゃれなサウンドは、ラウンジ風なモンド・ミュージックが好きな人にはたまらないものなはずだ。

 かくいう私も80年代、YMOや大貫妙子、萩田光雄あたりが時折みせたこうしたセンスが好きで、この手の音楽を探していたクチなのだから、こういうのは大好きなハズなのだったのだが、これに出会った時には既に年を取り過ぎていたのか(笑)、いざこのサントラのような「そのもの」に出会ってみると、意外に底の浅い刹那的な音楽であったことが。わかってけっこう拍子抜けしたのも事実なのであった。この手の音楽は、刺身のツマとか隠し味で入れるからこそ良いのであって、全面的にやられてもなんだかなぁ....みたいに感じてしまい、しらけてしまったというところであろうか。以来、この手の音楽はモンド・ミュージック的の一分野として、いろいろ発掘されたようだけど、結局あまり追いかけなかったのはそのせいである。
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私家版「マンシーニ・グレイテスト・ヒッツ」

2007年03月15日 20時07分53秒 | サウンドトラック
 あれから、けっこうあれこれ試行錯誤を繰り返して、私家版「マンシーニ・グレイテスト・ヒッツ」が完成。出来上がった「各4曲×5ブロック=20曲」の構成は以下の通り、けっこう凄いかも。まぁ、多少例外はあるけれど、ほぼ鏡面構造ともいえる整然とした曲順なりが、いかにも私らしいとはいえる。とはいえ、なにも「整然とした構造」を目的とした訳ではなくて(笑)、あくまでもアルバムとしての緩急、起伏をつけつつ、アルバム全体が楽しく自然に流れていくということを考慮しての結果だ。

 頭の額縁は当初の目論見通り、「ティファニーで朝食をのテーマ」をイントロに「シャレード~酒とバラの日々~ムーン・リバー」という黄金の3曲で、「アルティメイト・マンシーニ」から、ほぼオリジナル通りなんだけどちょっとひねってある演奏を収録。スティービー・ワンダーのハーモニカとTake6のコーラスをフィーチャーした「ムーン・リバー」が泣ける。前半はグルーシンのアルバムからジャジーな4曲。ど真ん中の4曲は「アルティメイト・マンシーニ」と「グレーテスト・ヒッツ」からマンシーニの代表曲をほぼオリジナル通りに....。後半は再びグルーシンでジャジーに4曲。結びの額縁はマンシーニ晩年の傑作映画「テン」からラブリーな「Its Easy To Say」をイントロに、今度はぼオリジナル通りの演奏で黄金の3曲を楽しむという趣向。

 という訳で、ひとまずは満足できる仕上がりかな。マンシーニの音楽はある程度定期的に聴きたくなる「私的スタンダード」なので、夜のドライブでも自室のリラックス・タイムでも、とりあえずマンシーニを聴きたくなったら、これをとりだしてくれば事足りるはず。これで「もっと、もっと」となれば、オリジナル・アルバムでも、マンシーニ御大のサントラでも取り出してくればいい....という訳だ。もちろん、そのうちこちらの嗜好が変わってきて、もっと違った構成、選曲にしたくなるんだろうけど、しばらくは楽しく聴けそう。でも、実をいうと「グレーテスト・ヒッツ」の「いつも2人で」を11曲目に入れてもよかったかも....などと、既に思っていたりもするんだな、(笑)。



01 ティファニーで朝食を  -E.Kunzel & Cincinnati Pops
02 シャレード          -Ultimate Mancini
03 酒とバラの日々        -Ultimate Mancini
04 ムーン・リバー(*)         -Ultimate Mancini

05 ドリームスヴィル   -D.Grusin
06 ミスター・ラッキー    -D.Grusin
07 その日その時       -D.Grusin
08 酒とバラの日々       -D.Grusin

09 ピンク・パンサーのテーマ   -Ultimate Mancini
10 It Had Better Be Tonight(**)   -E.Kunzel & Cincinnati Pops
11 その日その時             -E.Kunzel & Cincinnati Pops
12 ミスター・ラッキー        -Ultimate Mancini

13 ピーター・ガン        -D.Grusin
14 いつも2人で        -D.Grusin
15 暗闇にさようなら    -D.Grusin
16 雨の中の兵隊    -D.Grusin

17 Its Easy To Say(**)   -Ultimate Mancini
18 シャレード        -E.Kunzel & Cincinnati Pops
19 酒とバラの日々    -E.Kunzel & Cincinnati Pops
20 ムーン・リバー(*)  -E.Kunzel & Cincinnati Pops


* ティファニーで朝食を
** ピンク・パンサー
*** テン
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カンゼル&シンシナティポップス/マンシーニ・グレイテスト・ヒッツ

2007年03月12日 22時02分49秒 | サウンドトラック
先月、ヘンリー・マンシーニのボックス・セットをレビュウしてから、なんとなくヘンリー・マンシーニに私家製ベストを作りたくなってここ一ヶ月くらい考えるともなく頭の中で曲をリスト・アップしたりしている。私はマンシーニのことを映画フリークだった20代の頃から好きサントラなども多少買い込んでいたから、実はベスト盤といってもカセットテープやMDと何回も作っていているだが、どうもう納得いく形で作れた試しがない。サントラとカバー演奏の組み合わせが気に入らない、レコードやCDに持っていないので肝心の曲が入らない、好きな曲だと何回も入れてしまいバランスがとれない....などの理由で、どうも「これで決まり!」みたいな出来にならないのである。

 で、今回はいつもとは違いサントラを全く用いないで、カバー演奏のみで70分前後のベスト盤を作るという足かせをしてベスト盤を作ろうと思いついた。何故かというとここ10年くらいの間に比較的良質で、かつそれぞれに狙いの明確なカバー・アルバムが3種類ほど出たからである。その三枚とは昨年2月に取り上げた「アルティメイト・マンシーニ」、デイブ・グルーシンの「酒とバラの日々」、エリック・カンゼルとシンシナティ・ポップスの「マンシーニ・グレイテスト・ヒッツ」で、この3枚からベストを作ろうという訳だ。実はこれの他にもサラ・ボーンのマンシーニ・アルバムというのをつい最近入手したり、楽曲単位で探せばジャズの方にマンシーニのカバーはけっこうありそうなのだが、あまり対象を拡大すると逆に手に余って、「そのうちやるか」みたいになってしまいかねないので、今回はこの3枚に限定することとし、とりあえず、今夜はその下準備として、カンゼルの「マンシーニ・グレイテスト・ヒッツ」を聴いてみた。

 内容だが、エリック・カンゼルだからポップス・オーケストラによるマンシーニ集である。ただしジャケ写真からも分かるとおり存命中のマンシーニがスーパーバイザー的に制作に関わっているのか、いつも通り一遍な感じの編曲、演奏が多いこのコンビとしては、スコアはオリジナルもしくはそれに準じたもの使用、コーラスには本家ヘンリー・マンシーニ・コーラスを起用という具合に、元祖直伝的な信頼感とがあるのがうれしいところ。実際、演奏も全体的にやや早めであっさりとした歌い回しではある他は、妙な違和感もなくヘンリー・マンシーニらしい、ウォームでメロディック、そしてラブリーな世界が満喫できる。しかも、レーベルがテラークなだけに、オリジナルのサントラのさすがに今聴くといささかプアといわざるを得ない音質とは、まさに別次元なHiFi録音でマンシーニが楽しめるというのもポイントが高い。

 さて、このアルバムがベスト盤に組みこむ曲だが、まずは「シャレード」「酒とバラの日々」そして「ムーン・リバー」の三大名曲は問答無用で決定。私がマンシーニのベスト盤を作る時はたいていアルバムの額縁として、この3曲をアルバムの最初と最後に入れることにしているのだが、今回もそのパターンを踏襲することになるのはほぼ間違いないだが、聴いているうちに、今回はこの3曲の前にオープニング・ナンバーとして「ティファニーで朝食を~テーマ」を入れることを思いついた。うん、なかなかいいかも(笑)。あとはラテン・フィールをとりいれた「イット・ハド・ベター・ビー・トゥナイト」は個人的に好きな曲なので確定。「その日その時」「ニューヨークの恋人」「いつも二人で」も落とせない曲....ということで、このアルバムからはとあえず以上の8曲がエントリー、ちと多すぎるかね(笑)。
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マーラー/ベニスに死す

2007年02月19日 01時09分27秒 | サウンドトラック
 映画「ベニスに死す」を観たついでにサントラの方もひっぱりだしてきました。私がヴィスコンティに入れ込んでいた80年代前半頃は、このサントラは確か出ておらず、欲しい欲しいと駄々っ子のように思っていたのですが、15年くらい前にヴァレーズ・サラバンデから復刻され、当方もめでたく昔年の願いを成就できたという訳です。しかし、復刻されまでの間、アルバムのメインとなるマーラー第5の第4楽章、通称「アダージェット」については、本家クラシックの方の優れた演奏をあまりにも沢山聴いてしまったせいで、初めてサントラを聴いた時は、「サントラってこんな内容だったのかぁ」....と少々がっかりしたのを覚えてます。

 アルバムのメインになるのは、演奏はヴィスコンティ映画の常連、フランコ・マンニーノ指揮のサンタ・チェチェリア・アカデミー国立管弦楽団による「アダージェット」(2分に編集したエンドタイトルも)と第3番の第4楽章で、その他に劇中音楽として流れるベートーベンの「エリーゼのために」、ムソルグスキーの「子守歌」、あとフィルムから起こしたと思われる、ホテルで庭で流しの芸人が歌ういかにもイタリアっぽい通俗歌が入ってます。音質的にはイタリアのサントラによくある高めの音圧でオケが眼前に展開するタイプ、悪い音ではないですが、クラシックのバランスに慣れた耳には少々異様な感触があります。

 さて、オーケストラの演奏についですが、映画で聴く分にはなんの違和感もないものの、素で聴くとどうも歌い回しが、前のめりな印象だし、オケもパラけた感じでがして、どうも落ち着いて聴くことができません、その他の曲については、ムソルグスキーの「子守歌」がなかなか聴き物ですが、あの大道芸人の歌まで収録するのはどうかなぁと思いますね。フィルムを起こしてこれを入れるくらいなら、セリフが入ってもいいから、ピアノで弾く「アダージェット」のところとか、ホテルでのBGM「メリー・ウィドウ」なんかも入れて欲しかったところであります。なにしろ、アルバム全体の長さは30分くらいしかないですから....。
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