識の世界・２１

識の世界・２１


谷津根「どういうことだ」

透明「私達は、今回の事象を心配しすぎて

　　　悪い方向に捉えすぎてしまっている

　　　かもしれない・・・。

　　　少し整理してみてもいいかな」

谷津根「」

透明「さっきの恐れ・悲しみ・繋がりを考えれば

　　　もう一つメッセージをつなげることもできる

　　　繋がりを見直し、恐れや悲しみに立ち向かえ

　　　というイメージにも取れないかな」

谷津根「」

透明「師匠が昔よく言っていたんだけど、人間って

　　　良くも悪くも自分の都合の良い方向へ

　　　物事をシフトさせることができる強さがある

　　　って言っていたんだけど、確かにその力は

　　　理解できるから、今回のようなメッセージでは

　　　その人その人の都合に合わせた解釈が起こると思わない

　　　だから世界の言葉自体をそこまで懸念する

　　　必要は無いのかもしれない」

谷津根「ふむ・・・一理あるな・・・。」

透明「それよりも懸念されるべきは、

　　　今回のように、世界の言葉が深層の

　　　５階層と６階層の間にあった

　　　識の世界に侵入したという事実が

　　　問題な気がするんだよ」

谷津根「どういうことだ」

透明「つまり、私がそうであったように、

　　　識の世界には今まで培ってきた知識や

　　　経験という人間にとって最も大切なものが

　　　仕舞われていて、それを世界の言葉に

　　　破壊される恐れがある・・・。

　　　そこには、その人の怖れや後悔、自責の念

　　　などに対抗し乗り越えてきた体験や学びも

　　　仕舞われていると考えたらどうだろう」

谷津根「・・・つまり、今回新しく発見された

　　　　識の世界に、何らかの理由で世界の言葉が

　　　　入り込み、今まで自分を支えてきた知識や

　　　　それを乗り越えてきた経験を破壊したことで

　　　　精神に異常が起こり始めていると考えられるのか

　　　　その為に、五階層にある怖れや後悔、自責の念が

　　　　呼び起こされ、幻聴や幻覚にも繋がって行く

　　　　うむっ腑に落ちる・・・。」

透明「そう考えれば、この桜の木がどの経路を通って

　　　私の識の世界に侵入してきたのか

　　　そして、識の世界に侵入させない

　　　ようにするにはどうすれば良いのか

　　　を先ずは考える必要がある

　　　世界の言葉は、第五階層に入る分には

　　　願望にしか張り付かないと想定すれば、

　　　解決の緒は識の世界にあるんじゃないかなぁ」

谷津根「透明もう一度、桜を探るぞ」

透明「そうだねもしこの想定が正しければ

　　　これから起こる災いを防ぐ手立てにも

　　　なるかもしれない」


私達は、もう一度桜の木をくまなく調べることに・・・。



　　　　　　　　　　　続く・・・。

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