識の世界・２０

識の世界・２０


谷津根「そんな状態のお前に何て言ったんだ」

透明「あははっ師匠らしい考えなんだけど」


～・～・～・～・～・～・～・～・～


師匠「おっまえ勿体ない考え方してるなぁ～」

透明「えっ」

師匠「お前のその心の内にある黒い感情は、

　　　今までお前が視て失望してきた人間達と

　　　違いはあるのかなぁ～」

透明「」

師匠「人間は心の内にある想いも含めて人間てな

　　　どんな想いがあるにせよ、人は必死で生きている、

　　　それはお前も同じなんじゃないのか」

透明「・・・・それは・・・。」

師匠「くくくっ・・・あはははははっ」

透明「」

師匠「捨てちまえ捨てちまえ

　　　そんなくだらんもんは」

透明「くだらないって」

師匠「黒い気持ちというのは、思った以上に

　　　お前の心や頭を満たしてしまう

　　　お前の心の中に残していても

　　　キャパがもったいないだけだ

　　　これから沢山の事を学び、実りのある

　　　人生を歩むお前は、頭と心のキャパを

　　　空っぽにしてもらわんと私が困る

　　　お前には頭空っぽにして沢山詰め込んで

　　　もらいたいことが山積みだからな

　　　ということで私の為に捨てといてくれ」

透明「そ、そんな簡単に」

師匠「良いじゃないかぁ～

　　　私が困るからヨロシク」

透明「み、身勝手ですか」

師匠「あはははははっ身勝手上等

　　　私の身勝手に巻き込まれた人が幸せになれたなら

　　　それは身勝手でも許されると思わんか

　　　だから私は、自分の身勝手にも自信を持ってるんだ

　　　どうだ凄いだろう」

透明「・・・くくくっ何ですかそれ

　　　でも・・それって・・・良いですね」

師匠「だろ～」

透明「自分のしたいことで人が幸せになる・・・。」

師匠「人が幸せになる時、そこには表も裏も無くなるからな

　　　いちいち今みたいに悩む必要もない

　　　ということで早速、お前は頭を空っぽにして

　　　修行開始だ～」

透明「ええ～～～っ

　　　切り替え早すぎですよ～～～」


～・～・～・～・～・～・～・～・～・～


谷津根「あはははははっ相変わらずだなぁ～

　　　　しかし、お前の師匠には敵わんな」

透明「でしょ～

　　　まっ、ということで、私は無理をして

　　　気持ちを押し込めているわけじゃなくて、

　　　その記憶が深層にあったとしても

　　　それを含めて自分だと言い切れるから

　　　そんな感情には流されないと思うよ

　　　でも逆に識の世界というものを侵食されたことで

　　　その記憶が蘇ったという可能性はあるのかもしれない」

谷津根「まあ、この仮説は私の取り越し苦労だったようだな」

透明「心配してくれてありがとう」

谷津根「しかし、そうなると・・・。」

透明「ねぇ識の世界を発見して思ったんだけど

　　　もしかして、私達の根本的な解釈が

　　　１８０度違ったりしてないかな」

谷津根「どういうことだ」



　　　　　　　　　　　続く・・・。

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