エッセイ テレビ 課題 【お気に入りの芸能・芸術】 2017.11.10
テレビの録画をやっと使いこなせるようになった。
買った時に使い方をきちんと説明してもらったのに、二、三度でつまずき一年近く録画ができなかった。
保証期間が一年とあったので電気屋さんに来てもらった。
太った青年は汗を拭きながら「本体の故障は一年保証ですが、使い方の保証期間はありません」と早口で言う。
今度は相手のペースに巻き込まれないようゆっくり復習し、説明書にメモした。
録画でいいことは、好きな時間に見られることと、コマーシャルは早送りにし、とばして見られる。じっくり見たいドキュメンタリー番組やドラマ、映画など、録画のお陰で退屈な時間を過ごさなくていい。
最近、映画を見るようになって気づいたことがある。
テレビドラマでいつも違和感があった本当らしくないことだ。
特に時代劇の中で、長旅をしてきた人が折り目の付いた着物を着て、真っ白な足袋を穿いている。着替えらしきものも背負っていない。そんなにきれいな訳がない。
また、長屋のおかみさんの髪も乱れていないし、子供たちは洗いざらしの着物も着ていない。木綿は毎日着ていると体にそった皺があるはずだ。道も平坦、ぬかるみも泥道もない。
言い出したらきりがない。
衣装や小道具、背景、時代考査がとてもおろそかだ。
そう感じながらテレビドラマを見ていると白けた気分になってくる。
何にも予定がない午後、録画の映画『油断大敵』をみた。
老練な泥棒と新米刑事が出てくる二〇〇四年の作品。
テレビドラマの刑事ものは事件現場やパトカーが走り回るお決まりのものが出てくる。
しかし、映画の中では、刑事の普通の暮らしの様子や日常が丁寧に描かれている。
自白させる場面では、長いカットで二人の表情を追う。
眼の動き、頬の震え、「あぁ、そうだろうな」となんの違和感もなく見入ってしまった。
役者の細かい表情が見られる映画はいい。
多分舞台劇ではそういう細かなところは見られないだろう。
ドラマを見るなら私は映画がいいなと思う。
先生の講評
テレビドラマの薄さがよく伝わる。
ビジュアル表現として一番細かく完成されているのは映画だろう。
舞台は完成度は落ちるが、生の一回だけの独特な迫力はある。
つつじのつぶやき
演劇評論家の先生は舞台の良さも熱く語ります。
先生は朝日新聞、隔週?木曜日に演劇評論を書いています。
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