エッセイ： うろこが３枚

エッセイ・うろこが３

師走のお掃除が出来ていないのに、スイッチが入らない。取りかかってもすぐに違うこと
を始めて、だらだらとテレビの前から離れられない。

汚い窓ガラスを横目にテレビを見ていたら、いいことを聞いてしまった。

川柳で　「お掃除は　嫌いじゃないの　しないだけ」

そうなの、しないだけなのよと、今まさに、私の心境を当てられた様で笑ってしまった。

私の周りで、膝や腰が痛いと言う人が多い。黒酢がいいとか、ゴマがいいとか、サプリ
メントの名前もあれこれ出てくる。私も以前Ｓというサプリを飲んだことがある。飲みやす
い錠剤で、朝晩、２週間ほど飲んだ。

ある時、靴を履くと片方の親指が痛い。どこかにつまずいたかなと思っていると、もう片
方も痛くなった。何かの病気、と怖くなった。最近の生活を思い返して、変ったことはあ
のＳを飲んだことだと気が付いた、すぐに止めた。
すると２日～３日で痛みはなくなった。
薬を安易に飲むのは怖いことだと思った。
友人にその話をしたら、「それは効いたのよ」と言った。

 鏡をみて驚いた。右目が真っ赤で血の塊ができている、痛みはない。

久しぶりに眼科に行った。待合室で見ていると、高額の治療費を払っている人がいる。
目の治療って大変なんだと気持ちがすくむ。

暗い部屋に通され、目に強い光をあてて検査をした。「水泳をされますか」と聞かれて、
「一昨日、泳ぎました」と言うと「ゴーグはきつくないですか」と言う。
目の周りの筋肉が締め付けられて、内出血をおこしているという。
静かにして目の周りを暖めるといいという。あれっと思った、目の周りは冷やすんじゃな
かったのか、テレビのコマーシャルに洗脳されていた「私の目」から、小さなうろこが、又、
落ちた。