エッセイ 夏支度
5月の連休明けに、ゴーヤの植え付けをする。
7~8年前から、夏の日差しを遮る緑のカーテンを作っている。
ベランダ2間分に、プランター6個を置く。
最初の頃は欲張って、1つのプランターに苗を3本入れていた。
いつも苗を買う農家の人に入れ過ぎだと教えられて、今は一本にしている。
そこにインゲンの種1粒を埋めて置く。
インゲンは「ジャックと豆の木」の童話のように成長が早い。
葉も茂るが、実もなるので、もぎたてが食べられる。
かなり蔓が伸びたので、ネットを張る。
インゲンの芽も出てきた。
夏の支度に、もう一つすることがある。
そば殻入りの枕を作る。夫が今風の柔らかな枕を嫌うので、手作りしている。
結婚生活を始めた時、夫は、義母の作った手縫いのそば殻の枕を持ってきた。
小さめの可愛い柄のもので「低いのじゃなくちゃ駄目なんだ」と言っていた。
何だか似合わなくて可笑しかった。
作り変える時、私もそば殻にした。それからはそば殻の枕が普通になって、息子たちもそれで育った。
2~3前から、そば殻が手に入りにくくなった。
町の布団店が閉店し、遠くの街で見つけた布団店でも、そば殻は置いてないところが多い。
去年地方に住む弟に頼んで探してもらった。
届いた段ボール箱に、そば殻が一杯入っている。
二年分はある。そば殻で嬉しくなるのだから、時代だなと感じる。
一人暮らしをしている二男の分と、三つ作った。
同じ柄なので、私のは目印になるよう、脇に飾りボタンをつける。
白い枕カバーもできた。
このカバーに付ける、木綿のレースも少なくなった。
枕にかこつけて、二男にメールをしよう。
それともう一つ、頼んでいたラッキョウが木曜日に届く、これも漬けないと。
課題 【夏・自由課題】
先生の講評
夏三題、物に託して生活と家族への愛の日々がある。
過不足ない表現がいい。
つつじのつぶやき ・・・ 褒めていただきました。
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