エッセイ:コーヒー
渋谷は駅を中心に、すり鉢型の地形をしているので坂道が多い。
昔、勤めていた会社は、渋谷駅の南口、東急プラザというショッピングセンターの
横を通り抜け 、坂を登った所にあった。
この道は、途中急な曲がり角がある坂道で、気取っては歩けない道だった。
一時期ぽっくりのような、底の厚いサンダルが流行ったことがある。上り坂では、サ
ンダルは歩きにくい上に、横にこける事があり、友人は足首をくじいた。上るのも大
変だが、踵の高い靴を履いて下りてくる時は、何となくそっくり返った姿になる。
会社の帰り、友人達と話をしながら坂を下りてくると、何故か、立寄りたくなる喫茶
店があった。
東急プラザの横腹にある薬局が経営している喫茶店で、店の脇から入る地階にあ
った、確か「ディスカス」と言ったと思う。
急な階段を下りて店に入ると、地階特有の、ひんやりした空気とたばこの煙、そし
てコーヒーの匂いが、よどんだように漂っていた。
ここの支配人は、一寸変わっていた。
体格の良い女性だったが、髪を短く刈り上げて、ワイシャツに黒のベストにズボン
姿、一見すると男性のようだった。階段ですれ違う時など、「いらっしゃいませ」と
低い声で挨拶をするが、笑顔を見た事がない。
ボーイさんは、学生のアルバイトのような人が多く、よく顔ぶれが変わった。
席に着くと、たいてい、飲み物はコーヒーを頼んだが、時々はホットドッグかサンド
ウイッチを頼む。
常連のわがままで、ホットドッグにはからしを少なめにしてとか、レタスは入れない
でとか、サンドウイッチには、あれとこれとをと、いろいろな注文をする。
慣れないボーイさんの困った様子や、賑やかな席のやり取りを聞いていても、支配
人は余り口出しはしない。かすかにうなずいて、面倒な注文を受けてくれた。
そういえば、あんなに通ったのに、親しく話をした覚えがない、気軽に話しかけにく
い、何も聞いてくれるなと言う雰囲気の人だったと思い出した。
課題:コーヒー・紅茶
作中のディスカス繋がりで国立喫茶店「EAST SIDE」にお
邪魔しました。美味しいコーヒーとケーキを頂きながら、蓄音機から
流れる懐かしい音楽を聞かせていただきました。
又、是非お邪魔したいお店です。
先生の講評
ロケーションの説明(冒頭部分)と支配人描写の関連は?
東急プラザというショッピングセンターの横を通り抜け の部分は要らない。
支配人の人物描写が鮮やかでよい、生き生きしている。
国立の小説家・山口瞳さんは、エッセイは小説のように書き、小説はエッセイのように書くとうまくゆくと生前語っていました。
肩のこらない、オシャレなエッセイをこれからも期待しています。
また、遊びに来てください。レタス抜き・ソーセージ抜きで、パンだけ・・と、オーダーいただくと、店主は喜んじゃうでしょうね。
レタス抜き、ソーセージ抜き・・・パンだけなんて考えていなかったので、思わず笑ってしまいました。
さすがオーナーですね。
お暇なとき、覘いてみてください。
なつかしい名前を拝見
はるか昔 私も渋谷に勤めていました。
時々友と勤め帰り ディスカスによりました。
その頃は
コーヒーを飲まなかったので、私はコーンスープを
飲みました。
青春時代がよみがえりました。
ハイセンスなページ、楽しく拝見しました。
ご無沙汰しております。
ポチさんも渋谷にお勤めしていたのですか?
私は昭和40年代でした。ディスカスはもう無いそうです。
ディスカス繋がりで、国立の素敵なお店のオーナー、ノリさんのお店にお邪魔できました。
コメントを有難うございました。
「小さなことでも、毎日書いていきたいな」
が、目標のブログですが、直ぐに怠けてしまいます。
お暇なときに覘いてみてください。
今後ともどうぞよろしく!
ゴールデンウイーク、あちこちで楽しめました。
清さんのブログと共に楽しませて頂いております。