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阪神大震災から17年

 今年も1月17日がやってきた。午前5時46分には黙祷をした。あれから17年たった。
 私は、神戸市東灘区で被災した。17年前の早朝、突然、大地が下から蹴り上げられたような衝撃を感じた。これが地震であると判ったのは、一呼吸おいてからだった。あとは、ひたすら上下にガタガタと揺さ振られていた。あれ以来、常に大地が突然揺れるのではないかという恐怖が頭の片隅にある。外を大型車両が通っただけでもビクッとする。
 関西人の私は、それまで大きな地震を経験したことはなかった。神戸には地震はあっても「大震災」は絶対にこないものと思っていた。ところが1995年1月17日以降は、日本に住んでいる限りは「大震災」はまぬがれないと思うようになった。
 このブログを始めてから、毎年1月17日は阪神大震災を回顧する記事を書いてきた。私のごとき市井の一個人が趣味でやっているブログで、何ほどの事が出来るとは思っていない。しかし、せめて、このブログをご覧になっている、読者にだけでも阪神大震災のことを、記憶に留めてもらいたいと思って、1月17日の日記を書いている。
 神戸市民の3分の1が阪神大震災を経験していないとのことだ。17歳以下の子供たちは震災を経験していないことになる。逆に見れば、私もふくめて神戸市民の3分の2があの大震災を経験した。この震災を生きのびた3分の2の大人たちは、あの日のあの朝の衝撃と、その後の壊れた町での生活、また、避難先での生活で得た経験知識知恵を後世に伝えていくのが務めだと思う。
 昨年の1月17日の日記では、私はこういうことを書いている

「阪神大震災以後も、日本で、世界で、大きな震災があり、数多の街が破壊され、多くの人が亡くなった。生きている惑星地球に住んでいる限り、大地の振動たる地震は必ず起きる。特に、マントル対流の太平洋プレートの沈み込みの真上にできた弧状列島に住む、私たち日本人にとっては地震は宿命ともいえる災害だ。
 近代都市が初めて経験する、直下型大地震を身を持って知った、私たち神戸市民は、その経験を後世に伝え、これからも必ず起きる地震の被害を、少なくし、1人でも多くに人命を救う。それが、真の神戸の復興となるのではないか。
 阪神大震災で亡くなった6434人の命は戻らない。しかし、これからの地震で失われるかも知れない6434人は、救うことが可能だ」

 私がこの記事を書いて2ヶ月後に2011年3月11日を迎えた。15843人が亡くなった。2ヶ月後も「後世」なのだ。「大震災」の経験は一時一瞬たりとも忘れてはならない。

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黙祷

ここは神戸市東灘区。
いまは、1月17日午前5時46分。

黙祷。
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千年女優


監督 今敏
出演(声) 庄司美代子、小山芙美、折笠富美子、飯塚昭三、山寺宏一

 傑作。アニメにしか表現できない映像だ。時空を越え、現実と虚構が何重にも折り重なった、めくるめく映像が繰り広げられる。
 引退した大女優藤原千代子が30年ぶりにインタビューに応じる。70歳を越した千代子を訪れたのは、プロダクション社長の立花とカメラマン井田。立花は小さな箱を千代子に手渡す。その箱には鍵が入っていた。
 10代から女優として映画に出ていた千代子には生涯をかけて探していた人物がいる。若いころ、思想犯として官憲に追われている若い画家に出会った。彼はある鍵を千代子に預けて逃亡した。ほんの一瞬の逢瀬であったが、千代子にとって忘れられない人物であった。それから千代子は「あの人」に鍵を返すことが人生の目的となった。
 現実と千代子が出演した映画が、折り重なるように描写され、千代子の一途な愛が描き出される。ある時は戦国時代の姫。落ち武者となった「かの君」を追う。ある時は忍者、またある時は京の舞妓、また、敗戦直後の焼け野原の日本にたたずむ千代子、宇宙飛行士の千代子。どれが現実か、どれが映画か。もう一人の主人公たる「鍵を預けた画家」は名前すら与えられていない。
 いずれの場面にも登場する人物は、千代子はもちろん、先輩女優、官憲の顔に傷のある男。そして立花と井田。立花は必ず千代子を助ける人物として登場する。井田はどんな場面でも必ずカメラを回している。
 実は立花は若いころ、千代子が演技している撮影所で働いていた。そのころの千代子は手の届かぬ雲の上の人。千代子の想いに、立花の想いがオーバーラップしているわけだ。そして、それを冷静に客観的に見ている井田。さらに、それをもっと外から見ている、われわれ観客。何重にも入れ子構造になった、今敏の技巧の限りを尽くした傑作である。惜しいクリエイターを亡くした。
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茶碗蒸し

 
 小生も料理を趣味として20年近くたった。料理を始めたころと今を比べると、さすがにアホな小生ではあるが、少しは進歩/変化/向上したのではないかと自分では思う。一番変わったのは、以前は足し算の料理だったのが、今は引き算の料理となった。
 以前は、あれも入れよ、これも入れよ、それ入れたらおいしいのではないか、この手間をかければいいのでは、と、やたらとオプションをつけたがった。最近になって、あれ、これいらないのではないか、これを省いたらすっきりするだろう、こんな余計な手間かけなくてもできるのではないか、と、シンプルにシンプルにと心がけるようになった。
 その典型がこの茶碗蒸しだ。ごらんのようになんにも具は入っていない。小生の茶碗蒸しも最初は、ごてごてといろんなモノを入れていた。やれ、アナゴだ鶏肉だエビだ。銀杏も入れよう。茶碗蒸しにはゆりねは欠かせん。緑の野菜も欲しい三つ葉を散らそう。
 で、アナゴ、鶏、エビを動物性タンパクが三つもいらない。エビを省こう。鶏もいらん。ついでだアナゴも不要だ。こうして順々に省いていって、今のこの形になった。
 考えてみれば茶碗蒸しとは、出汁を卵で固めて食べる料理。上手に出汁を取り、ていねいに卵の処理をして、適切に蒸せば,それで充分においしい。
 だから、昆布と鰹節でちゃんと出汁を取り、卵は箸で溶きほぐし、こし器でこす。充分に蒸気のたった蒸し器に入れ、蒸し器のフタには布巾をまく。こうすることで、水滴が落ちることを防ぐ。蒸し器とフタの間に箸を1本はさんでおく。2分ほど強火で、8分中火で蒸せばできあがり。
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冬の釜めし

 
 季節季節に釜めしを炊いて楽しんでいる。今日のお昼は冬の釜めしだ。まず、ご飯。ご飯はタコ飯にした。タコヤキのタコのように切ってご飯に炊き込むと、さすがに硬いので、フードプロセッサで細かく切る。これを昆布だしに、塩、酒で味付けして、お米といっしょに炊き込む。
 上に乗せるものは、錦糸卵、小松菜と白菜のナムル、カキの天ぷら。錦糸卵は絶対失敗しないいつもの作り方。ナムルは小松菜と白菜を細く切ってゆでる。すりゴマ、醤油、ゴマ油、塩、コショウで味付けして手で和える。カキは片栗粉と塩水で汚れを落として、さっと醤油をくぐらせて、衣をつけて高温の油でカリッと揚げる。
 この3種の具をタコ飯の上にトッピングすればできあがり。釜めしはおいしい。これらをバラバラで食べるよりおいしい。なぜだろう。

 星群の会ホームページ連載の「SFマガジン思い出帳」が更新されました。どうぞご覧になってください。
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二流小説家


デイヴィッド・ゴードン   青木千鶴訳        早川書房

 タイトルの「二流小説家」とは主人公ハリー・ブロックのこと。ハリーはミステリー、SF,ポルノ、バンパイア小説をいくつものペンネームを使い分けて書いている作家。作品数は多いらしいがまったく本は売れない。
 作中作として、ハリーが書いたSF、ミステリー、バンパイア小説が随所に載るが、いずれもそこそこのモノだ。注文に応じてエンタティメントをいかようにも書き分ける。小生、見る所、ハリーは「二流小説家」というより「職人作家」と見た方がいいだろう。
 そのハリー、小説だけでは食えないから家庭教師のアルバイトをやっている。教え子は女子高生クレア。このクレア、ただの教え子ではない。ハリーのビジネスパートナー。スケジュール管理から、出版社との交渉、執筆の督促、マネージャー兼秘書のような仕事をする。勝気で口が達者で頭の回転も速い。ハリーの家庭教師は必要ではないかと思うほどの、ある意味スーパー女子高生。中年のさえない作家と聡明な女子高生のコンビである。このクレアのキャラクターがなかなか魅力的。
 このハリーに思わぬ人物から執筆依頼が来た。依頼人は連続殺人犯で近く死刑になるダリアン。刑務所に面会に行く。ダリアンにも文通している女性が複数いる。その女性たちにインタビューして、彼女たちを主人公にポルノを書いてくれ。また今までの人生を告白するから、それを本にしてくれ。全米を震撼させた猟奇殺人犯の告白本だ。出せばベストセラー間違いなし。ハリーはクレアにもせっつかれ、ダリアンにインタビューを重ね、文通相手の女性たちとも面会して筆を進める。
 ハリーが告白本の準備をしている最中、また連続殺人事件。それは12年前にダリアンが起こしたとされる連続殺人とそっくりの凄惨極まりない殺人事件だ。ダリアンは刑務所の中。犯人はだれだ。また、その犯人が12年前の真犯人だったとするならダリアンは無罪か。
 死刑直前の犯人は無罪か。だったら真犯人はだれだ。ミステリーとしての定番の興味で、読者をひっぱりつつ、ハリーとクレアの気弱中年男と勝気女子高生のコンビのかけあいの面白さ。元ガールフレンドでハリーの同業者ジェイン、被害者の双子の妹で遺族のダニエラ。ハリーはダニエラと行動をともにする。このダニエラとクレアのハリーをはさんでの微妙な関係。ハリーの母とダリアンの母の対比。人物造形の面白さもさることながら、判ってはいるけどだまされるどんでんがえし。それにアクセントとして挟まれるハリー作の小説。手を変え品をかえて読者のご機嫌を取り結んでくれる。
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桜正宗を飲む

 
 小生は、4月から9月はビールを飲んでいる。エビスを愛飲している。10月から3月までは日本酒だ。オフィシャル酒は桜正宗と決めている。桜正宗をローテーションの柱に、あと、呉春道灌がローテーションで回っている。このローテーションは阪神タイガースの先発投手陣より、よっぽどしっかりしている。桜正宗、呉春、道灌以外に、住吉、小鼓、秋鹿、天狗舞などに浮気することも時々ある。
 ここ神戸は灘の生一本のお膝元。日本一の酒どころだ。菊正宗、大関、白鶴、白鹿、日本盛など大手の酒造メーカーが灘五郷に酒蔵を連ねている。大昔は剣菱と菊正宗を飲んでいたが、桜正宗が小生の口にあった。灘の酒ではずうっと桜正宗を飲んでいる。他に灘の酒で小生の口にあう酒は白鷹ぐらいか。道灌は神戸の地酒だが、いわゆる灘五郷の酒ではない。
 桜正宗を飲むときは専用の徳利を愛用している。お猪口も桜正宗特製のお猪口だ。桜正宗記念館で買ってきたもの。左の利き酒用のお猪口は買ったものだが、右のお猪口は、小生が桜正宗のファンだというと、店の人が非売品だがあげるといってくれたもの。
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阪神 今津

 
 阪神今津駅である。阪神間には3本の鉄道が東西に並行して走っている。北から、阪急、JR、阪神。この一番北の阪急と南の阪神は、東西のターミナル、大阪は梅田と、神戸の三宮は、JRを間にはさんで接近しているが、それ以外で阪急と阪神が最も接近しているのが、この今津駅だろう。今は双方の今津駅とも高架となって、きれいな通路で結ばれているが、少し離れている。
 昔は、阪神阪急とも地上の駅で、金網のフェンスを隔てて南北に隣同士であった。戦前は線路がつながっていたらしい。かんべむさしの「決戦日本シリーズ」は、この今津で、阪神阪急の電車が双方の線路に乗り入れる。阪神タイガースと阪急ブレーブスの日本シリーズで勝った方の電車が、負けた方の線路に乗り入れ、沿線にべろべろばーをしながら車内でどんちゃん騒ぎするという話だった。阪急ブレーブスがあったころは、神戸高速鉄道がなかったので、今津で乗り入れるしかなかったわけだ。
 実は、西宮市今津は小生の本籍地である。小生の両親はこの今津で暮らしていた。小生を身ごもり母は実家の西宮市川添町で出産。だから小生生誕の地は西宮市川添町ということになる。天変地異が起こって、もし小生が横溝正史のような作家になると、西宮市川添町に雫石鉄也生誕の地の碑が建つかも知れない。川添町には今も母の実家の本家がある。出産を終えた母は今津で暮らし、小生が3歳のとき神戸に引っ越した。それからずっと神戸で暮らしている。
 自分の本籍地だから、正確な所番地も知っているが、実はまだ行ったことはない。神戸と西宮だからいつでも行けるし、現にこうして今津まで駅の写真を撮りに来ているのだから、少し足を伸ばせばいいのだが、なんかめんどうで。機会があれば行こうと思っている。こんなことをいっているうちは行かないか。
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えべっさんに行ってきたで


 えべっさんに行ってきたで。ワシもワシの母も西宮の生まれやから、十日戎のお参りは欠かせん。ワシも母の胎内におるころから毎年欠かしたことがあらへん。いつものこっちゃけど、お守りも買って、一年分の願い事をこの日にまとめてえべっさんにお願いする。

震災復興、原発収束、世界平和、景気回復、一願成就、身体健康、夫婦円満、家内安全、福徳艶福、満願全席、富籤当選、文筆上達、阪神優勝、藤井男前、能見快投、鳥谷残留、巨人低迷、美味満腹、面白落語、 奇想天外、波乱万丈、
気宇壮大、美味満喫、公募入賞、長寿長命、不老不死、日食観察、映画鑑賞、隼太活躍、空想科学、金満裕福、財産無限、一汁一菜 貧乏退散、質素倹約

 ちょっと欲どしかったかな。
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家族ゲーム


監督 森田芳光
出演 松田雄作、伊丹十三、由紀さおり、宮川一朗太

 ウォルト・ディズニーによって製作された「砂漠は生きている」はドキュメンタリー映画の名作だ。小生も子供のころ観た記憶がある。(確か、力道山のプロレスと交代で放送された「ディズニーランド」という番組で観たはず。思えば、子供のころの金曜夜8時は黄金の時間だった。ウォルト・ディズニーご本人が小山田宗徳の声でナレーションを始めるとワクワクした。また、吉村道明VSリッキー・ワルドーのセミファイナルが終わり、三菱掃除機「風神」がリングを掃除した後。力道山VSジェス・オルテガの試合が始まると、これもワクワク)「砂漠は生きている」は砂漠に生きる動物たちの日常を描いた映画だったが、そのデンでいくと、本作「家族ゲーム」は「都会は生きている」だ。
 都会にはトカゲやヘビはいない。その代わり「ボク」「兄」「父」「母」「教師」といった生き物はいる。本作は、それら、都会の「生き物」たちの興味深い生態を観察した出色の「ドキュメンタリー」映画といえる。
 東京の海の際のマンションに住む沼田一家は家族4人。お父さん、お母さん、ぼく、お兄ちゃん。
 お父さんはぼくに名門高校進学を厳命している。そしてこの家のことはなんでもお父さんが決める。お母さんは自分では何事も決められない。ぼくの高校進学も「お父さんに私が叱られるから勉強してね」中学の担任の先生への進路変更届も自分では行けず家庭教師に代理で行ってもらう。
 お兄ちゃんは、ぼくが目指す名門高校に在学しているが、なんかやる気がない。高校中退しようかなんていっている。
 そんなぼくの家に家庭教師がやってきた。ぼくの家庭教師はこれで何人目か判らない。どの人も思うようにぼくの成績を上げられない。ぼくはクラスでビリから9番目。お父さんは今度の家庭教師に約束した。順位をひとつ上げたら1万円、30番上げたら30万円払う。もちろん決めの月謝とは別にだ。
 教育パパのお父さん、趣味で彫金(版画かな?)をやっている平凡な専業主婦のお母さん。何を考えてるのかよく判らんお兄さん。やる気なく惰性で教師をやってる担任の先生。
 こんな一家に異分子の風変わりな家庭教師がやってきた。二流大学の学生らしい。この先生、ぼくに暴力をふるう。そのかわりにいじめっ子に喧嘩で勝つためにコブラツィストをおしえてくれる。
 どこにでもいそうで、どこにもいない。おかしな所をいびつに強調した家族に、家庭教師という触媒が入った。化学変化が起きてこの一家は変わるか。また、なんら変わらないか。
 その様子を観察して楽しむ映画である。だから、観察しやすいように、顔を密着させて映し、また、真正面から食事シーンを取る。
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スペアリブと大根の中華煮込み


 冬の野菜の代表といえば大根だろう。大根は結構な野菜である。いかようにも料理できる。自分自身もおいしいが、大根が真価を発揮するのは、良き相棒と出会った時だ。相棒の旨味を大根が吸収して、いやがおうにもおいしくなる。定番はブリと会わせたブリ大根だ。出会いものである。海のブリと陸の大根が鍋の中で出会うのである。ブリの旨味をたっぷり吸った大根は冬のごちそうだ。ブリ以外にも、牛スジ、鶏手羽などと共演させても大根は良い演技をしてくれる。大根役者などというが、大根は冬の野菜の名優だ。この冬の名優大根の今日の相手は豚のスペアリブに務めてもらった。
 スペアリブは炒めて表面に軽く焦げ目をつける。大根を切る。別に下ゆでは不要だろう。鍋にスペアリブ、大根、長ネギ、しょうが、にんにく、八角、水を入れて煮る。最初は何も調味料は入れないで水だけで煮る。スープである必要もない。
 15分ほど煮れば砂糖、紹興酒といった甘みのある調味料をいれる。さらに30分たったら醤油、塩で味付け。ここで味見。薄いなと思えば、スープの素を入れるのもいいだろう。五香粉で香りをつける。火を止める。そのまま半日ほど置いておく。味が染みておいしくなる。
 軟らかく煮えた大根がスぺアリブの旨味を吸ってまたまた名演技。もちろんスペアリブも上手い/旨い。
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七草がゆ

 
 七草がゆでございます。おかいさんです。1月の7日です。この時期、お腹に優しいおかいさんを食べるのは、結構な風習でございます。
 どちらさまにおかれましても、いろいろなお正月をお過ごしのことと思います。なかには飲みすぎや食べすぎで、胃を傷めておられるムキもおられるかと存じます。そういう時は、胃に負担がかからないおかいさんは、身体に優しいです。
 春の息吹を感じる、春の七草を食するのは、一年間の無病息災を期してのことでございます。
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2011年に観た映画ベスト5

 あんまり映画館に行かない小生だが、近ごろは時々行くようになった。「午前10時の映画祭」という実に結構な企画があったから。第3回目が開催される。ところがラインナップは2回目と同じ。新たな選定は行わないとのこと。残念なり、もっと観たい映画もあるのに。でも、2回目で観ていない作品もあるので、それを観に行くとしよう。
 さて、2011年の小生が観た映画のベスト5は次の通り。これは小生が2011年に初めて観た映画が選考対象である。

1位 オーケストラ! 監督 ラデュ・ミヘイラアニュ
  出演 アレクセイ・グシュコブ、メラニー・ロラン
 小生の大好きな「男の復権ドラマ」かっては天才指揮者と呼ばれた男が、劇場の掃除係をやっている。ひょんなことから、ボリショイ交響楽団になりすまし、昔の仲間を集めてパリへ演奏に行く。「七人の侍」+「砂の器」+「スウィングガールズ」

2位 告白 監督 中島哲也
  出演 松たか子、岡田将生、木村佳乃、
 傑作エンタティメントではあるが、非常に不愉快な映画である。あと味も悪い。ただし、観終わった後は爽快だ。不思議な映画といえる。この映画に比べれば、ウィリアム・フリードキンの「エクソシスト」は児戯だ。

3位 ホテル・ハイビスカス 監督 中江裕司
  出演 蔵下穂波、余貴美子、照屋雅雄、平良とみ
 おてんば、元気、強気、わんぱく、勇気、気迫のスーパー小学生美恵子の大冒険。インターナショナルな民宿「ホテル・ハイビスカス」の子、美恵子がおとうさんに会うため、遠出する。主役の穂波を観る映画。彼女は素人だが、かわいいだけの「人気子役」なんかふっとばすパワーを発揮する。

4位 わたしを離さないで 監督 マーク・ロマネク
  出演 キャリー・マリガン、アンドリュー・ガーフィールド
 イギリスの緑豊な田園地方にある寄宿制の学校ヘールシャム。そこは普通の学校ではない。そこの生徒には「提供」の通知がくる。3回「提供」すると「終了」する。カズオ・イシグロの傑作SFを映画化。「スターウォーズ」も好きだが、こういう静かなSFもいい。

5位 阪急電車 片道15分の奇跡 監督 三宅喜重
  出演 中谷美紀、宮本信子、戸田恵梨香、南果歩、芦田愛菜、谷村美月
 かわいらしくって、いとおしい映画。ハッピーでふんわかした画面を小豆色の阪急電車が走る。できれば西宮北口から宝塚まで阪急電車に乗ってから鑑賞することをお勧めする。小林(おばやし)で途中下車することをお忘れなく。

次点 レスラー 監督 ダーレン・アロノフスキー
  出演 ミッキー・ローク、マリサ・トメイ
 ランディ・“ザ・ラム”・ロビンソンは、かってはMSGを満員にした花形プロレスラーだった。歳を取り落ちぶれて今はドサ周り。心臓を傷めたため医者からはプロレスをするなといわれている。それでもプロレスを止められない。かっての好敵手と久しぶりに試合をすることになった。 
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2011年に読んだ本ベスト5

 2012年に、小生が読んだ本ベスト5は以下のとおり。小生は本好きではあるが読むスピードは遅い。もっとスピードアップして量を読みたいと思っている。
 SFマガジンを月に2冊読んでいる。最新号と、星群の会ホームページ連載「SFマガジン思い出帳」のために1970年代の古いSFマガジンを読んでいるわけ。この企画、本当は創刊号からやりたいが、小生が生まれて初めて買ったSFマガジンは1967年9月号№98。それ以前は古本屋でぽつりぽつり買っていたが、小生には古書蒐集の趣味はなく、以前の号をコンプリートしようなんて気はまったくおきない。だから№98以前は揃っていない。従って、「SFマガジン思い出帳」は1967年9月号から始まって、最新は1971年5月号№146。今出ているSFマガジン2012年2月号は№671。月に1冊づつだから、小生が死ぬまでやっても追いつかない。
 では2011年のベスト5を。

1位 ジェノサイド 高野和明 角川書店
「このミス」をはじめ、各種の年間ランキングでベスト1になっている。やはり面白いからだろう。小生も面白かった。「巻を措く能わず」とはこの本のためにある言葉だ。
 昨年亡くなった小松左京の「××××」と思わせておいて、実は「××××××」と同じテーマの作品と判る。

2位 華竜の宮 上田早夕里 早川書房
 久しぶりに読んだ和製本格SF。小松左京「日本沈没」に眉村卓「司政官」をプラスして、大アイデア小アイデア、いっぱいオプションをくっつけてある。
 登場人物は多いが、みんなが魅力的。近ごろガツンとくるSFが少ないとお嘆きの貴兄に。

3位 鋼の錬金術師 荒川弘 スクウェア・エニックス
 優れた漫画が備えなければいけない二つの条件。ストーリー、作画の双方とも極めて高いレベルに達している。広げに広げまくった大風呂敷。あっちこっちに張りまくられた伏線。大丈夫かいなと思うけど、見事に閉じて回収する。

4位 ねじまき少女 田中一江・金子浩訳 パオロ・バチガルピ 早川書房
 海面上昇、石油枯渇、環境破壊、疫病蔓延、困りごとのデパートとなった世界。タイは比較的マシだ。そのタイの灼熱と動乱のバンコクを、毛穴を持たない日本製ねじまき少女エミコが走る。スチームパンクというより、ねじまきパンクの傑作。

5位 サトリ 黒原敏行訳 早川書房 ドン・ウィンズロウ
「シブミ」の主人公で、囲碁の達人にして日本の古武道を身に付けたニコライ・ヘルの若いころの話。殺人の嫌疑をかけられGHQに囚われているヘル。釈放を報酬にCIAが仕事を依頼してきた。建国直後の人民共和国中国に潜入してソ連の要人を暗殺せよ。
「シブミ」とはうって変わって本格冒険小説。亡くなった内藤陳さんの感想を聞きたかった。  
「シブミ」「サトリ」ときたから、次はぜひ、ジェフリー・ディーバーあたりに「ゲダツ」を書いてもらいたい。

次点 悪の教典 貴志祐介 文藝春秋
 教育熱心、英語堪能、頭脳明晰、人気抜群なイケメン教師。ところがこいつがとんでもない化けもんだった。究極のわがまま男が、ショットガンをぶっ放して大量殺人。サイコホラーの傑作。
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お正月さま

 目が覚めた。どこかでドンドンと大きな音がしている。なんの音だろう。枕から頭を持ち上げようとした。ウッ。吐き気がする。頭がボーとしている。大晦日の忘年会ということで、少々飲みすぎた。と、いうことは今は元旦か。枕元の携帯電話を見ると午前3時40分。あたりは暗い。
 ドンドン。元旦のこんな早朝に近所迷惑だ。どうせ、昨夜のメンバーのだれかが泊めてくれと、やってきたのだろう。
「はいはい。今開けるから静かにしてくれ」
 吐き気をがまんしながら、布団からはい出して玄関に行く。ドアを開けた。見知らぬ男が立っていた。
「明けましておめでとう。上がらしてもらうよ」
 でかい男だ。180センチ以上あるだろう。筋骨隆々たる大男で、体重も100キロを超えているだろう。でかい頭にでかい顔で、そのでかい顔の半分は真っ黒いヒゲで覆われている。声もでかい。両手に一升瓶をぶら下げている。
「どうした。せっかく我輩が来たのだ。上げてくれよ」
 こんな男は知らない。
「あの、どちら様でしょう。部屋のお間違えでは」
「あんた、小川和男だろ」
 確かにぼくは小川和男だ。いくら考えても、こんな男は思い出せない。
「あの、ぼくはあんたを知らないんですが」
「がははは。我輩は正月だ」
「正月というと、門松を伝って降りてくるという神様のお正月様ですか」
「そうだ」
「でも、ウチはこんなマンションだから門松なんてしてないし、お正月様は目に見えないのではないですか」
「門松なんぞいらん。我輩の姿は普通は人間には見えんのだが、あんたには特別にこうして姿を見せてやって来たのだ」
 大男のお正月様はずかずかと上がりこみ、どっかと座った。
「さあ、飲もう」
「昨日さんざん飲んだので、もう飲めません」
「我輩は神様だぞ。神様の酒は飲めんのか」
 大男が本当に神様かどうか知らないが、逆らいがたい迫力がある。背中に背負っていた大杯になみなみと酒を注いだ。
「さあ、飲め」
「お正月様」と二人で二升空けた。元日は一日中寝込んでいた。

「もうし、ちょっとここをおあけ」
 夜中、トイレで用を足して出ると、外に誰かが来た。女性のようだ。時計を見ると午前3時40分。昨日は大晦日の忘年会だった。こんな元日の早朝にだれだ。
 ドアを開けると、そこに大輪の花が咲いていた。若い女性だ。俺が生まれてから会った事のある女性で、今、目の前にいる彼女が最も美しい女だろう。
 20代後半。肩までの黒髪で、きれいな卵型の顔で、潤んだ黒目がちな切れ長の目がじっとこちらを見つめている。非常に日本的な美人だ。着物を着ている。薄い着物だ。元日の午前3時40分に、ウチの前に絶世の美女が立っていたという驚愕の事実が大前提にあるから、若い女性が真冬に薄い着物を着ていることなど、驚くに値しないだろう。
「だれだ。お前」
「わたくし、正月でございます。どうかここをお通しくださいまし」
「正月というと、あの、もういくつ寝ると、の正月か」
「はい。わたくしが、その正月です」
「お前、人間ではないのか」
「はい。わたくしは神でございます。こうして、これはと、想い定めた殿御を訪ねておりまする」
「その正月が俺になんの用だ」
「そつじながら、夜伽のお相手をつかまつりまする」
  女はそういうとスーと部屋の中に入ってきた。
「失礼いたしまする」
 腰紐をほどき、着物の前をはだけた。その下はなにも着ていない。彼女の肩から着物がスーと流れ落ちた。輝くような裸身が現れた。
 俺はソッチの方はかなり自信を持っている。たいていの女とやっても、先にイクのは女の方だ。一晩で5人とバトルを繰り広げたこともある。その時でも6人目が現れてもお相手するスタミナは残していた。
「正月」を自称する女は化け物だった。彼女がいうとおり人間ではないのかも知れない。俺は何度イッたか判らない。
 元日は一日中腰を抜かしていた。

「ちょっとここ開けるアルネ」
 夜中に目が覚めた。昨日の大晦日の忘年会ではあまり食べられなかった。私は幹事だったので、なにかと気を使って食べるヒマがなかった。小腹がすいたので、何か食べようと冷蔵庫を開けようとした時、表で声がする。もう年が改まっただろう。まだ夜だ、何時だ、午前3時40分。
 こんな時間にだれだ。扉を開けると中年男が一人たっていた。手に中華鍋と中華料理で使う鉄のお玉を持っている。肩には大きなクーラーボックスをぶら下げている。
「あのこんな夜中にだれですか」
 小柄で小太り。40代後半と思われる男だ。細い目でネズミのような前歯がのぞいている。ほっぺにドジョウのようなヒゲを生やしている。
「ワタシ、正月アルネ。あんた台所に案内するヨロシ」
 そういうと男はズカズカと上がってきた。
「台所どこネ」
「ちょ、ちょっとなんですか人の家に。警察呼びますよ」
「ワタシ泥棒と違うアルネ。ワタシ正月アルヨ」
「正月って」
「アナタ正月を待っていたアルネ。だからこうしてワタシ来たヨ」
「その正月が私になんの用だ」
「あんたお腹すいてるね。ワタシあんたに料理してアゲル。おお、ここが台所ね。材料も持って来たよ」
「正月」はクーラーボックスから肉、魚、野菜を出して、持って来た中華鍋を振るって、あっという間に満願全席をこしらえた。天上の味だった。食べても食べても食べられた。
 元日は一日中ゲップをしながら、お腹をさすりながら寝ていた。

 みなさん、明けましておめでとうございます。みなさんの所に来たお正月はどんなお正月ですか。
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