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家族ゲーム


監督 森田芳光
出演 松田雄作、伊丹十三、由紀さおり、宮川一朗太

 ウォルト・ディズニーによって製作された「砂漠は生きている」はドキュメンタリー映画の名作だ。小生も子供のころ観た記憶がある。(確か、力道山のプロレスと交代で放送された「ディズニーランド」という番組で観たはず。思えば、子供のころの金曜夜8時は黄金の時間だった。ウォルト・ディズニーご本人が小山田宗徳の声でナレーションを始めるとワクワクした。また、吉村道明VSリッキー・ワルドーのセミファイナルが終わり、三菱掃除機「風神」がリングを掃除した後。力道山VSジェス・オルテガの試合が始まると、これもワクワク)「砂漠は生きている」は砂漠に生きる動物たちの日常を描いた映画だったが、そのデンでいくと、本作「家族ゲーム」は「都会は生きている」だ。
 都会にはトカゲやヘビはいない。その代わり「ボク」「兄」「父」「母」「教師」といった生き物はいる。本作は、それら、都会の「生き物」たちの興味深い生態を観察した出色の「ドキュメンタリー」映画といえる。
 東京の海の際のマンションに住む沼田一家は家族4人。お父さん、お母さん、ぼく、お兄ちゃん。
 お父さんはぼくに名門高校進学を厳命している。そしてこの家のことはなんでもお父さんが決める。お母さんは自分では何事も決められない。ぼくの高校進学も「お父さんに私が叱られるから勉強してね」中学の担任の先生への進路変更届も自分では行けず家庭教師に代理で行ってもらう。
 お兄ちゃんは、ぼくが目指す名門高校に在学しているが、なんかやる気がない。高校中退しようかなんていっている。
 そんなぼくの家に家庭教師がやってきた。ぼくの家庭教師はこれで何人目か判らない。どの人も思うようにぼくの成績を上げられない。ぼくはクラスでビリから9番目。お父さんは今度の家庭教師に約束した。順位をひとつ上げたら1万円、30番上げたら30万円払う。もちろん決めの月謝とは別にだ。
 教育パパのお父さん、趣味で彫金(版画かな?)をやっている平凡な専業主婦のお母さん。何を考えてるのかよく判らんお兄さん。やる気なく惰性で教師をやってる担任の先生。
 こんな一家に異分子の風変わりな家庭教師がやってきた。二流大学の学生らしい。この先生、ぼくに暴力をふるう。そのかわりにいじめっ子に喧嘩で勝つためにコブラツィストをおしえてくれる。
 どこにでもいそうで、どこにもいない。おかしな所をいびつに強調した家族に、家庭教師という触媒が入った。化学変化が起きてこの一家は変わるか。また、なんら変わらないか。
 その様子を観察して楽しむ映画である。だから、観察しやすいように、顔を密着させて映し、また、真正面から食事シーンを取る。
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