All Photos by Chishima,J.
(湖岸のカワウ 手前はオオセグロカモメ(左)とウミネコ 以下すべて 2009年8月 北海道中川郡豊頃町)
前夜からの大雨は午前の早い時間に上がったが、風は引き続いて強かった。風向きを考えると、ウミツバメ類やトウゾクカモメ類など外洋性の海鳥が接岸しているかもしれない。淡い期待を胸に海岸を目指した。海に近付くに連れ風は強さを増し、期待は一層膨らんだが、漁港にも河口にもそうした海鳥の姿は無かった。時化具合が足りなかったか。それでもウミネコをはじめとするカモメ類は普段より明らかに多く、数千羽が沿岸で羽を休めていた。
海跡湖の一つで、数百羽のウミネコとオオセグロカモメが群れており、その一部は風波で撹拌された湖面での採餌など面白い行動を示していることから、しばらくぼおっと眺めていた。気が付くとすぐ目の前を1羽のカワウが泳いでいた。10年前には迷鳥だったこの種も、十勝川下流域では春から秋にすっかり普通の鳥になった(十勝のカワウについては「分布を変える鳥‐十勝のメジロとカワウ」 、「十勝のカワウその後」などの記事も参照)。まだ若い鳥のようだが、体がずいぶん水中に没している。一見すると水面から細長い頸だけが、潜望鏡の如く突き出しているようだ。カワウは水面を駆け、宙に浮き上がったが飛び去りはせず、近くの湖岸に降り立った。
体の大部分が水中に没したカワウ
降りてすぐ頭掻きを何度かした後、両の翼を大きく開いた。そしてそのまま10分近く、ほとんど体勢を変えることも無く、開き続けた。太陽こそ出ていないが雨上がりの陸上で風に晒すことで、翼を乾かしているのだ。ようやく乾いたと思われる翼を畳むと、今度は風切から尾羽まで一枚一枚の羽を入念に羽づくろいし始めた。しばらく後、私がそこを離れる時にもカワウは羽づくろいを続けていた。
羽づくろいに熱心なカワウ
水鳥の多くは尾羽の付け根にある尾脂腺から出る油を体に塗ることによって撥水性を高め、水中に没しないようになっている。カモやハクチョウが頻繁に羽の手入れをしているのもそのためだ。ところがウ類は尾脂腺が未発達であり、羽毛はよく水を吸う。その結果親水性が高くなり、水の抵抗を少なくしたい潜水には向いているのだが、長時間その状態が続くと体は沈んでしまい、また体温も奪われてしまう。ゆえに定期的に羽毛を乾かす必要が出てくるという訳だ。
このカワウも昨晩は叩きつける強い雨に悩まされたに違いない。そして体力も消耗して雨も上がった今朝、増水した十勝川を避けて湖に採餌に来てはみたものの、撥水性の失われた羽毛では満足に泳ぐこともできず、まずは翼を干すことから始めるのを余儀なくされたといったところだろう。彼(?)の前を別のカワウが泳いで行く。そちらは何処かで既に羽毛を乾かしてきたのか左程沈んでもおらず、上陸することなく、潜水を繰り返しながら視界の外に消えて行った。海からの強風が吹き飛ばした雲の切れ間から陽の光が差し込み、一気に気温が上昇するのが感じられる。
翼を干すカワウ
(2009年8月23日 千嶋 淳;観察は同21日)
ウトナイでもウを5,6羽見かけるが遠くて分からない 北大研究林に若いカワウが1羽いたのでウトナイのもカワウと思う
もうムシクイ、マミジロは去ってしまった感じだな
ムシクイはエゾはもういない感じで、センダイは月末あたりまではちょこっと囀ることがあるような。メボソも入って来ますね。マミジロ、コルリあたりは大方渡ったのでしょうかね。