Photo by Chishima, J.
(エゾアカガエルと卵塊 2009年4月 北海道十勝郡浦幌町)
(FM JAGAの番組 KACHITTO(月-木 7:00~9:00)のコーナー「十勝の自然」DJ高木公平さん)
この時期、太陽の暖かさに誘われて散歩していると、水辺から「キャララ、キャララ…」と甲高い声が合唱のように聞こえてくることがあります。長い冬眠から覚めたエゾアカガエルが、産卵のため水辺に集まってきたのです。
エゾアカガエルは5~7cmほどの土色のカエルで池や沼、湿地などの水の中に卵を産み、山の方では雪どけでできた水たまりを利用することもあります。適切な環境があれば緑ヶ丘公園や農業高校の林など、帯広市街地周辺でも生息しています。
昼夜問わずの大合唱に近付いてゆくと、カエルは鳴き止んで水に潜ってしまい、今までの大騒ぎが嘘のように静かになります。でも、しばらくじっと待っていれば一頭また一頭と顔を現し、大合唱が再開されることでしょう。数百から1000以上の卵が球状の塊となって産まれた卵塊(らんかい)や、もう少し遅い時期には小さなオタマジャクシも見られるかもしれません。
エゾアカガエルは、学名をラナ・ピリカといいます。後半のピリカは、「美しい、きれい」を意味するアイヌ語から付けられました。昔はヨーロッパや朝鮮半島のアカガエルと同じ種類と考えられていたのですが、1991年に別種であることがわかり、新たに命名されました。早春を告げるこの身近なカエルは、世界でも北海道と北方四島、サハリンだけに分布する貴重な動物なのです。
(2015年4月13日 千嶋 淳)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます