Photo by Chishima, J.
(雌雄のコオリガモ 2011年3月 北海道厚岸郡厚岸町)
少し前に調べ物をしていて気付いたのだが、2012年にコオリガモがIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストでVU(絶滅危惧Ⅱ類)にリストアップされている。バルト海の個体群が1990年代以降に激減し、分布域の多くで湿地環境の悪化や油汚染、混獲、ハンティング等の脅威に曝され続けていることによるもののようだ。同じランクの日本産鳥類がアホウドリ、カラシラサギ、ズグロカモメ、カンムリウミスズメ、ルリカケス等であることを考えると驚きを禁じ得ない。同リストではクロガモもNT(準絶滅危惧)に指定されている。30年くらい前の道東の海では、海ガモ類の群れが帯になって切れ間なく見えたと言う人もいる。そこまでではないが、自分が北海道に来た20年前にも今よりは余程いた。現状が殆ど調べられないまま、消えようとしているのかもしれない。広域的な海ガモ類のモニタリング体制の確立と関係者間の情報共有が必要だ。画像のコオリガモのペアを撮影したのは3年前の今日、午後の陽射しが柔らかな厚岸港だった。日本が平和で安全な国と思えた最後の日だったかもしれない。
(2014年3月10日 千嶋 淳)
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