鳥キチ日記

北海道・十勝で海鳥・海獣を中心に野生生物の調査や執筆、撮影、ガイド等を行っています。

ホオジロガモ(その2) <em>Bucephala clangula </em>2

2012-01-19 23:55:32 | 海鳥写真・アビ目、カイツブリ目、カモ目
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All Photos by Chishima,J.
(以下すべて ホオジロガモ 2012年1月14日 北海道十勝川中流域)


 先の記事に引き続き、厳冬の十勝川中流で撮影した飛翔画像を紹介する。オス成鳥はこのように上面がはっきり見える角度であれば、翼上面の広い白色部と合わせて肩羽の細長い白線もよく目立つ。首が短く、胸から腹にかけて膨らみのある独特の体型も本種の重要な特徴。「Flight Identification of European Seabirds」(ヨーロッパの海鳥の飛翔識別図鑑)では、本種の総合的な印象をcompact and chubby(ぎっしり詰まって、丸々と太った)と表現しているが、実に的確といえる。
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 オス(上)とメスの飛翔。オスでは首から腹にかけての下半身が純白で非常に白っぽい印象を受けるのに対して、メスは上面の暗灰色が胸まで広がり、全体的に暗色な感じがする。オスほどではないが肩羽には白っぽいラインが入る。メスの翼上面の白色部は2本の暗色横帯によって分断されるが、前方(中雨覆)のラインの方が太い。


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 メス成鳥の斜め下からの外観。頭部の褐色と胸の暗灰色との間にある白い「首輪」は、この角度からも顕著。翼下面はすべての羽衣で次列風切以外は暗色で、このように光がよく当たっても黒っぽく見える。


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 メスの成鳥(左)と幼鳥。幼鳥は上面や虹彩が暗色で、「首輪」は不明瞭。翼上面は中雨覆がやや暗色なため白色部が狭く、それを分断する暗色線も1本のように見える。


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 逆光気味の下方からのメス2羽。光が透過する次列風切以外の白色は目立たず、順光下よりも更に暗色な印象を与える。このような条件では、色そのものよりシルエットが識別の手がかりとなる場合もある。


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 オス成鳥(最左)とカワアイサのオス3羽。大きめの河川中・下流部や湖沼、漁港等では同所的に見られることがあり、飛翔時の全体的な配色にやや類似点はあるものの、大きさや体型、嘴の形状等が大きく異なるため、混同することは少ないだろう。カワアイサはアイサ類特有の全体的に、特に首が細長い体型と鉤状の細長い嘴を持つ。


(2012年1月19日   千嶋 淳)


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