鳥キチ日記

北海道・十勝で海鳥・海獣を中心に野生生物の調査や執筆、撮影、ガイド等を行っています。

140225 十勝沖海鳥・海獣調査

2014-03-10 15:04:27 | 海鳥
Img_9698
All Photos by Chishima, J.
ハシブトウミガラス 以下すべて 2014年2月 北海道十勝沖)


 今年初となる調査を実施しました。午前6時半、水平線よりやや高くを上る太陽を眺めながらの出航です。寒くはあるものの、厳寒期特有の肌を刺すような痛みを伴うほどではありません。港ではなぜか、カモメ類が1羽も見られませんでした。その後、沖合で操業中の漁船に群がったり、操業後の海上で休息するカモメ類が多く見られたことから、早朝から漁船周辺で餌を探しているか、海上で塒を取って港にはまだ飛来していなかったのかもしれません。帰港時(午前10時半)には港でも少数が見られました。

 港を出て20分ほど、穏やかな快晴の中、水深50m付近まで来るとコウミスズメやケイマフリが現れ始め、一同の期待も高まりましたが、水深100m前後から沖では鳥が著しく少なくなったことに加え、真冬には珍しい霧も出て来て視界不良に陥り、あまり成果は上がりませんでした。水深300mで引き返し、やや沿岸域に戻って来てミガラス類やケイマフリ、コウミスズメといったウミスズメ類が現れ始め、更に沿岸ではビロードキンクロ等の海ガモ類やヒメウ、カイツブリ類も観察できました。ただ、あまりにベタ凪のせいか、コウミスズメをはじめ多くの海鳥が、かなりの距離から船の接近を感知して飛び去ってしまい、やや消化不良感の残るクルーズでした。昨年の2月末から3月はじめにはエトロフウミスズメやコウミスズメ、ウミガラス類等がかなりの数見られ、今年も2月に入って流氷が良い感じに南下して来たので過度の期待をし過ぎてしまったかもしれません。こういう年のデータを蓄積してゆくことも、海鳥の分布や保護を考える上では大切と思うこととしましょう。ちなみに今冬は海鳥が少ないと、1、2月に何度か乗船した根室の「歯舞パノラマクルーズ」の船員の方々も話しておりました。北方系の海鳥が少ないということは海水温が高いのかなとも思いましたが、2月中旬の十勝沖における海面水温の平年差は0~‐1℃ということで、特に高いわけでもなさそうです。そんな単純なものではなく、また他の海域との複合的な要因もあるのかもしれません。
 霧に包まれた春のような岸壁から下船後は、番屋でカニやタコ、飯寿司、鮭のアラ汁等海の幸を心行くまで味わいながら歓談し、昼前に解散しました。参加・協力いただいた皆様、どうもお疲れ様でした。


確認種:コガモ スズガモ シノリガモ ビロードキンクロ クロガモ ホオジロガモ カワアイサ アカエリカイツブリ ミミカイツブリ ヒメウ カモメ シロカモメ オオセグロカモメ ハシブトウミガラス ウミガラス ケイマフリ ウミスズメ コウミスズメ エトロフウミスズメ 海獣類:ネズミイルカ


ケイマフリ
Img_9774


ウミガラス
Img_0028


*十勝沖調査は、NPO法人日本野鳥の会十勝支部が日本財団より助成を受けて、漂着アザラシの会、浦幌野鳥倶楽部との連携のもと行われているものです。


(2014年2月25日   千嶋 淳)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿