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白鳥、発見!

2016-01-07 | 日記・エッセイ・コラム

 

 北海道に戻ったその年の冬、近くの帯広川で白鳥の群れを見て驚いた。

 それから毎日のように夕暮れ、雪の中を歩いて、氷点下の大気の帯広川河川敷で、寒風のなか突っ立って、その白鳥たちを眺めているのが、長い冬の、唯一の心の安らぎだった。

 だが、翌年から河川工事がはじまって、流れがすっかり変わってしまった。白鳥たちの群れていたよどみは、広く浅い速い流れになって水草も無くなってしまった。

 当然そんな浅い急な流れの中に白鳥は立っていたくないだろう。翌年冬じゅう、そこにまったく白鳥の姿が無かった。

 しかし、かならずどこかこの流域で越冬しているはずだ、と思い、次の冬は、雪の堤防を歩いてずいぶん探しまわった。

 山歩きが好きだから、一日じゅうでも雪の中を歩いていたい。だが、父親の徘徊が怖い。昼間はあまり長時間家を空けられない。

 その冬も、次の冬も白鳥は見つからず、もう今シーズンは諦めていた。

 

 だが、しかし、なんと嬉しいことに白鳥たちを見つけた。

 山女魚のぴん子でも釣ろうか、と、帯広川の支流、帯広三条高校の北側を流れる小さい川に出かけた。『つきみばし』という橋のところが今日のポイントだった。何度か、散歩の途中に橋の上から眺め、その細い流れはどうも山女魚の匂いがする。と、思っていて、ついに今日、竿を持って出かけた。

 すると、そこ、わたしが竿を差そうと思っていた、そこに、白鳥たちがいた。