局の道楽日記

食道楽、着道楽、読書道楽  etc
生活色々を楽しんで暮らしている日々の記録です

頑張って欲しい

2010-10-27 22:21:02 | 着る
月組 観劇感想を書こうと思っていたが気になるニュースがあったのでその前に一つ書いておこう。

奄美大島のこのたびの大雨。映像から見ても九死に一生を得た方はどんなに恐ろしい思いをされたことか、まだ体育館に避難してる方たちもいるし、また台風がきているみたいだし、早く落ち着かれることをお祈りしております。

今朝のNHKでもこの奄美大島の大雨の被害に関するニュースをやっていた。

その中で 大島紬の工房の被害の映像が出てきた。

ある工房では建物が半壊して 機械(締機か高機か?)にも水に漬かりその被害額が1000万円だとか。
決して大きな組織でなさそうだし、この損害を取り返すのは大変であろう。
もっと心配だったのは 田んぼの被害である。 知られているように大島紬っていうのは テーチキという草木で染めた糸を田んぼの泥を媒染料として発色され この織物特有の色合いを出す織物である。
この地方の田んぼの黒い土に含まれる鉄分が草木染料を あの独特の色合いに発色するらしい。

その田んぼに雨とともに赤土が大量に入り込んでこの染めができないような状態になってしまったらしい。

機械だったらお金と時間でどうにかなるかもしれないが、こういった自然が長い時間をかけて独特の風土の中で作り上げた環境ってものはこういった災害で破壊されて元通りになるものなのだろうか?

赤くにごった水の中から黒い土をすくってそれを痛ましそうに眺める大島紬職人さんの表情が忘れられない。


私自身、ある程度の年がいってから着物を着るようになって 一番よかったなと思うのは ハレとケで言う ケの着物を知ったことである。
若い頃は成人式にしろ友人や自分の結婚式などの行事にしろ 振袖とか訪問着とかの晴れ着として着る機会が殆どだった。

普段と違うという晴れがましさや華やかな想いも満喫できてそれはそれで嬉しかったのだけど、美容師さんに思い切り締め付けられた紐類で食べるのも存分に食べられなかったりとか、絹の重さがずっしり肩にかかるは胸高く締められた帯がきゅうくつだったりとても日常の衣類として認識はできなかった。

しかし 紬類 特に大島紬を着てみてその「着物が苦しい」と言う認識が変わった。

何よりありがたいのはその軽さとしなやかさ。
友禅のつややかさとはまた違うんだけど奥深い艶もあって それが自然に身体にまとわりついてくれる。紐から逃げることなくすんなりと収まるところに収まるから衿元やおはしょりもきちんと決まる。大島を着たとき 「綺麗に着てるわね」と褒められることが多いのは私の着付けの実力じゃなくて この織物が着付けしやすいことだと思う。
そして さらにありがたいのは水に強いこと。 その成り立ちから何回も水にくぐっているから、濡れても縮みにくい。いざ雨となっても少しの雨粒なら表面を滑ってしまうようなすべらかさに救われる。縮緬のように 雨を吸いこんで自身が縮んでしまう心配が少ない。
そして日本人の顔色に合いやすいあの色のラインアップ。あの渋めの色のため、そう悪目立ちせずに気軽に着ていけるし、明るめの帯や帯締めを合わせればいくらでも華やぐようにもできる。

だからちょっとお出かけで着物を着たい時に手が伸びるのは大島紬が多くなってしまう。三枚持ってる大島の着物は母のお下がり、道行は祖母のお下がりなんだけどね。
祖母のお下がりの道行きはおそらく着物を仕立て直したものだから多分60年以上前に染められ織られた品。



奄美のどんなところで、どんな職人さんが作り上げたのか今となっては知る由もないけれど良いものは時間を経ても大事にしたい、できれば娘にも着て欲しいと思える品の一つである。

今度の奄美の災害で、もちろんまず救済するべきは災害にあった方たち。その方たちの普通の生活を取り戻すことであろう。
それからはこの地方で育ったこの伝統の技、それがこの災害で途絶えることのないように 然るべき機関 国でも県でもが復興の手を差し伸べて欲しいと思う。

一度途絶えたら再開するのはおそろしく大変なのだろうから。

ニュースを見ていて救いだったのは 「必ず復活します」と静かに語った職人さんの強い意志を感じられる言葉だった。

頑張って! と、大島紬ファンとして秘かに応援を送りたい。



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2 コメント

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ナナママです~♪ (⑦パパ)
2010-10-28 08:55:39
私は、、、嫁入り道具として、
大島買ってもらいました。
お祖母ちゃんと伯母のお下がりもあります。
あまり、高価なものではないそうですが。
でも、はんなりと且つ、しっかりしています。
奈々が着れるように、
大切にしたいと、、、思いました。
でも、自然は怖いです。

悪目立ちっていう言葉、
すごく、私個人的に、納得しました。

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ナナママさん (朱鷺局)
2010-10-29 20:59:53
いわゆる晴れ着じゃないんだけど高いですよね、大島。
着物の会でその作り方を勉強したら なるほど これだけ手間がかかってるなら
高くて当たり前だな~ と思いました。

娘が居ると着物をとっとき甲斐がありますよね。
ウチのダンサー娘は着てくれるかどうかは疑問ですが
奈々ちゃんは似合うと思いますよ~
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