三嶋大社から白滝公園からまで続く、桜川沿いの約2kmのなだらかな散歩道。
富士山の湧水がわいている菰池や白滝公園を水源とする桜川の透き通った水に感動。
2キロの散歩道に8人の文豪の碑があり、『三島水辺の文学碑』と呼ばれているそうです。
太宰 治
町中を水量たっぷりの澄んだ小川が
それこそ蜘蛛の巣のやうに
縦横無尽に残る隈なく駆けめぐり
清冽の流水の底には
水藻が青々と生えて居て
家々の庭先を流れ縁の下をくぐり
台所の岸をちゃぶちゃぶ洗ひ流れて
三島の人は 台所に座ったままで
清潔なお洗濯が出来るのでした。「老ハイデルベルヒ」
司馬遼太郎
この湧水というのが、
なんともいえずおかしみがある、
むかし富士が噴火してせりあがってゆくとき、
溶岩流が奔って、今の三島の市域にまできて止り、
冷えて岩盤になった。
その後、岩盤がちょうど人体の血管のように
そのすきまに多くの水脈をつくった。
融けた雪は山体に滲みいり、水脈に入り、
はるかに地下をながれて、
溶岩台地の最後の縁辺である三島にきて、
その砂地に入ったときに顔を出して湧くのである。
「裾野の水、三島一泊二日の記」より
若山牧水
宿はずれを清らかな川が流れ、
其処の橋から富士がよく見えた。
沼津の自分の家からだと
その前山の愛鷹山が
富士の半ばを隠してゐるが、
三島に来ると愛鷹はずっと左に寄って、
富士のみがおほらかにあおがるるのであった。
克明に晴れた朝空に。
まったく眩いほどに その山の雪が輝いてゐた。
「箱根と富士」(大正九年)より
読みながら歩いていると白滝公園に着きました。
湧水がある本当に素敵な水の公園です。