tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

有事のドルか、安定の円か

2017年04月12日 16時29分03秒 | 国際経済
有事のドルか、安定の円か
 トランプ大統領は、選挙戦の最中から「アメリカは、もう世界の警察官は止める」と言っていました。
 アメリカの経済を立て直し、雇用を増やすためには、そんなことにまで手を出す余裕はない、ということだったのでしょうか。

  しかし今回のシリアの政府軍基地のミサイル攻撃の報道を見て、「えっ、やっぱり世界の警察官をやる気なんだ」と思った方も多いと思います。
 トランプさんの頭の中では多様な変数が複雑に組み合わさり、結果としてミサイル攻撃という結論になったのでしょう。

 そして、世界の論調も、真っ二つに分かれているようです。アメリカが強くないと困るという人と、アメリカが強いと困るという人がいるということでしょう。本当は、世界が2つに分かれていることが一番困ったことなのでしょう。

 ところで、経済の立場から見ますと、このところ「有事のドル」という印象は薄れ、「とりあえず円」ということで、円が買われることが多かったのですが、久方ぶりに「有事のドル」という言葉がマスコミに登場し、米国債が買われると書かれていました。

 しかし現実には円高が進み109円台になっています。今後どう動くかについては正反対の意見も含めていろいろあるようで、結局は誰にも良く解らないということなのでしょうが、やっぱり「有事のドル」という反応は、かつてとはだいぶ違うようです。

 ということになりますと、結局は「世界の警察官」の役割は、負担は高いが経済的な成果にはつながらない、ということになるのでしょうか。
 トランプ大統領の決断がどのようなものなのか、それがアメリカ経済にどのような影響を持つのか、世界はそれにどのように反応するのか・・・・。
 あまり結果も見えない複雑なパズルに進んでいかないことを願うばかりです。

日本の人口問題、将来予測も逐次改善

2017年04月11日 13時51分16秒 | 社会
日本の人口問題、将来予測も逐次改善
 昨年10月に総務省は平成27年の国勢調査の結果を発表しましたが、国立社会保障・人口問題研究所は昨日、それをベースにした50年後(2065年)の日本の将来人口推計を発表しました。

 マスコミが揃って取り上げているのはいわゆる「中位推計」で、それによりますと50年後の人口は8808万人で高齢化率(65歳以上人口の割合)は38.4%(2015年現在1億2709万人、26.6%)ということです。

 これは前回の推計(推計は国勢調査に合わせて5年ごと)より大分改善しています。
 推計には合計特殊出生率や平均寿命などの要因を予測して計算するわけですが、改善の主要な要因は勿論、このブログでも折に触れて書いていますが、 合計特殊出生率の上昇です。

 前回の推計では合計特殊出生率は1.35人ベースでしたが、今回は1.44人がベースです。勿論上記研究所は中位推計のほかに「高位推計」「低位推計」も発表していて、ちなみに並べてみますと、3つの推計の合計特殊出生率と人口と高齢化率は、
高位推計  1.65人 9490万人 35.6%
中位推計  1.44人 8808万人 38.4%
低位推計  1.25人 8213万人 41.2%
という事になっています。高位推計では安倍政権の目標、人口1億維持に近づきます。

 過去の動きを見れば、合計特殊出生率は、2005年の1.26人、いわゆる「1.26ショック」を底に回復に転じ2015年には1.44人まで回復していて、これには波はなく一貫して上昇基調です。という事は、これは日本社会全体が支えている傾向と考えられ、今後も上昇の可能性が大きいと予想されます。

 人口推計は50年先を見ているのですが、足元の10年で、合計特殊出生率は0.19人上昇という事です。マスコミ論調では、まだまだ高齢化の深刻化といった意見が多いようですが、そろそろ発想を変えてもいいのではないでしょうか。

 折しも、今年の春闘では、労使が共に 高齢化問題を克服、プラスに変えよう、という主張をしています。
 日本人のバイタリティーを、一方で出生率の改善に、もう一方で、人口減でもより豊かな充実した社会の建設に積極的に活用すべく発想の転換をしていくことが望まれる社会なってきているようです。

 社会の豊かさ、快適さは、経済成長によって可能になります。一人当たりのGDPが順調に増えることが、元気な社会を作り、人びとは将来に希望を持ち、結果的に出生率も改善するといった方向を日本人が望み、その方向に動き出しているように見受けられます。
 人口、経済、社会、前向きな発想に切り替える時期が来ているのではないでしょうか。

トータル マネジメント システム

2017年04月10日 12時03分21秒 | 経営
トータル マネジメント システム
 4月も10日になりました。新入社員の方々も配属が決まり、職場で先輩に挨拶の時期でしょうか。私の孫の一人も、今年は新入社員です。

 研修の時は「うちの会社はこんな事をしているんだ」といろいろ教えてもらいますが、私の経験では、同期の人たちと仲間づくりが出来たことが一番だったようです。

 月謝を払って勉強する時期から、仕事をして給料を貰う時期へと180度の人生の転換期です。給料は「社会に役に立っていることの証明」です。

 という事で、いよいよ世の為、人の為に頑張るという思いの方々に、「企業はどんな風にして社会の役に立っているのかを、1枚の図 Total Management System にしてみました。



 真ん中に「企業」があります。企業を経営するのは「経営者」です。企業の生産するのは「VA(付加価値=富)」です。企業は「社会の富の生産者」です。

 その企業の中に組織化されているのが、人間(従業員)と資本です。これは左側の箱です。人間と資本はいろいろな活動をしています。人間が資本を活用して活動するのです。
 活動の内容は左側の箱の中に書いてあります「人事管理」「人材開発」「経営参画」「技術革新」「資本蓄積」「労使関係」、そして企業の中で、こうした活動は統合され、「経営計画」として組上げげられ、それに従って生産や販売活動の青い矢印が行われます。

 その結果が企業の付加価値生産となって、社会に貢献します。企業の外部にいるステークホルダーたち(貢献の対象)は、株主、取引先、消費者、政府、社会全体、環境、などで、ステークホルダーたちとの関係の在り方は、それぞれに書いてあります。
 IRは資本提供者への貢献、CSは消費者満足、CSRは企業の社会的責任、その他、公正取引、納税、環境浄化など。

 何時も述べていますように、企業は付加価値を創ることで、社会に多様な貢献ができる多目的組織です。
 新入社員の皆さんの配属先は、こうした多様な活動のどこかに入っています。
 そして、こうした活動はPDCAのサイクル(薄緑のカギ矢印)に従って、毎年より高度なものになって繰り返され、社会貢献は永続していくのです。

 これから新入社員の皆さんはこうした多様の活動を経験されることになるでしょう。より多くの経験とその活動と企業のトータルシステムとの関係の深い理解が、きっとあなたのキャリアアップにつながっていくと思っています。

装平穏? 嵐の中の米中会談

2017年04月09日 12時01分04秒 | 国際政治
装平穏? 嵐の中の米中会談
 世界中が見守った米中首脳会談ですが、平穏裡に終わって、両国とも相互理解の成果を強調しているようです。
 報道の画面では、トランプ大統領は親しめる笑顔で握手を求め、習近平主席は常にソフトな微笑を絶やさずアメリカと中国の穏やかな関係を表しているように感じられました。

 しかし、現実の世界の客観情勢は、一触即発とは言わないまでも、大変に厳しいものです。そして、米中2つの超大国は、それに主要で直接な関係を持っています。

 北朝鮮は、多様な弾道ミサイルの実験を繰り返し、原爆実験も近々行う様相と伝えられ、一方、シリアでは、政府軍の化学兵器の使用が言われ、米中会談の最中にも、アメリカがシリア政府軍の空軍基地をミサイルで攻撃するといったのが現実です。

 その中で、米中両首脳が、極めて平穏に、相互理解を標榜し、会談を終えたことは、両大国の関係そして両「大人」の関係が、物事の平和的解決につながるのではないかという望みをつないだように感じさせたのではないでしょうか。

 誰しもがこう望んでいるところですが、再び現実に帰れば、アメリカについては、アメリカ・ファーストを掲げ、従来の市場開放路線とは一線を画しながら、中国に対しては市場開放を要求するといった矛盾と違和感を感じさせる態度が見えています。

 一方中国の方は、北朝鮮の核開発問題のが深刻さ、その阻止に向かっての協力で合意しながら、その内容は報道されていません。
 中国が金正恩体制を善しとしているとは思えませんし、関係悪化があれば、核の脅威は当然問題ですが、中国にはあそれなりの事情があるのでしょう。

 こうした問題の専門家の方々の解説を聞いていますと、いろいろな事情が推測されますが、一国経済社会の安定発展の基本という問題に立ち帰ってみれば、歴史的にも、領土と資源をいかにして獲得するか、という命題に帰するように思えてなりません。

 そして、今でも多くの国、そのリーダーは、領土と資源に固執しているように思われるのです。

 一方、国の存続発展に、領土や資源は基本的な要件ではないという実証は、第二次大戦後、着々進んで来ています。
 日本は、国土が狭くなり、無資源と言われながら、世界随一の成長を遂げました。ルック・イーストと言いながら経済建設を進めたシンガポールは、人間の働きだけで、いまでは1人当たりGDPは日本を越えています。
 領土や資源に固執する国が減るだけ、世界は本当に平和になるのではないでしょうか。

最近の企業統計から見えること

2017年04月07日 14時07分24秒 | 経営
最近の企業統計から見えること
 このブログは、付加価値の生産と分配の問題を基本において、経済、経営を考えることが主題です。付加価値こそが、社会を豊かで快適なものにするのに役立つ経済的原資だからです。

 この所、株価は国際的な不安定感などからでしょうか冴えませんが、先日の 日銀短観に見るように、企業経営は底堅い動きのように感じられます。

 そんなことで、少し企業の数字を追ってみました。
 使ったのは、財務省の「法人企業統計」で、「年報」ではなく速報性のある「季報」です。最も基本的なものという事で、この2年間ほどの「売上高」と「付加価値」の動きを見ました。

全産業の売上高、付加価値、付加価値率 など

    資料「法人企業統計季報」、売上高・付加価値単位:千億円、円レート単位:円

 売上高は2014年度(円安が進んだ時期)がピークで、その後落ち込み、16年度に入って徐々に回復という所です。
 2014年は日銀の異次元金融緩和で、アベノミクス大成功と言われた時期ですが、その後は円高に振れ、アベノミクスの行き詰まりと言われるようになりました。

 企業の方はしかし、着実に、体質改善、生産性向上策、収益性向上のための方策は取ってきたようです。
 ここでは統計の制約上、付加価値は、人件費、経常利益、支払金利の合計となっていますが、賃借料、租税公課がなくても特に問題はないと考えます。

 2015年から16年にかけて、日本経済は、どちらかというとさえない動きでしたが、付加価値の動きは売上高より、いくらか回復が早いようです。
 売上高で付加価値を割った「付加価値率」の動きは、着実に回復の方向を示しているようで、2016年度第1四半期、売上の最も落ち込んだ時に、一時20%を超え人件費も利益も前期比増というのは、企業の合理化策(生産性向上)の結果でしょう。

 2016年度第3四半期には人件費も利益も、好調だった2014年の数字を抜いて、付加価値率も20%を超えていきそうな動きです。
 付加価値率は、企業のバイタリティーを示す指標と言われ、これが高まることは企業の元気さ、勢いの強さを示しています。

 一部に大企業な破綻などもありましたが、企業全体的には、体質強化、生産性向上、付加価値率改善の動きがみられるようにい思います。
 この辺りが、日銀短観にも反映しているのではないでしょうか。



組織風土と忖度、あまりに日本的な?

2017年04月05日 13時03分16秒 | 社会
組織風土と忖度、あまりに日本的な?
 最近「忖度」などという難しい言葉がマスコミにも結構頻繁に登場し、日本人の国語力の向上に貢献したなどといわれます。

 この言葉が使われた事件そのものが良く解らない事が多く、この言葉も何か後ろ暗いイメージで使われているようです。
 然し、本来「忖度」は日本人に特有な人間関係(人間と組織の関係)の在り方を表すもので、他者の思いを理解する意味を持つ美しい言葉ではなかったでしょうか。

 忖度を、和英辞書で引けば surmise と出てきます。推測、推量するといった程度の意味で、忖度の意味の深さとは些か違うように思われます。

 忖度とは「他者(通常は目上の人)の気持ちを密かにおもんぱかって(慮って)、人間関係(人間と組織との関係)の平穏や安定を維持しようとする意識(行動)」とでもいう事でしょうか。
 勿論、他者との個人的な関係がもともとですが、所属する組織に関わる問題になると忖度の度合いが一層強くなるのが、よく見られることのように思われます。

 人事管理の教科書に、経営者が「うちは従業員に不満があるといけないからと苦情処理委員会を作ったが、苦情などは全く無いんだよ」と言ったら、どう判断するか?というのがあります。
 答えは「苦情はあるけれども、経営者や上司の意向を忖度して、言えない雰囲気の企業です」といったことになっています。

  今春闘で、 クロネコヤマトでは、労働組合が、経営権に関わるようなことまで要求として発言し、経営側はまともにそれに応えています。過度の忖度は必要なかったようです。
 組織の健全性、風通しの良さにこのブログも感銘して取り上げたところです。

 解っていても、内部からなかなか声があげられない雰囲気、酷ければ「強圧」の世界、ソフトなら「忖度」の世界という事でしょう。
 忖度は、日本人にとっては、本来「美徳」としての意味を持っていたように思います。しかし、忖度が美徳から外れる境目は曖昧で往々行き過ぎるようです。

 コンセンサス社会と言われる日本の中では、個人と組織の関係は、欧米などより組織に重心が偏る気配があります。メンバーがいろいろと忖度してくれれば、リーダーはやり易いことは明らかです。
 しかしそれに安住しすぎると「権力の横暴・腐敗」が始まります。

 そうならないためには、リーダーが、メンバーの意見を常によく聞くことが大事なのでしょう。
 聖徳太子の十七条の憲法の 第十七条に見ますように、昔から、智者・賢人はそれに気付いています。

 「忖度」という言葉が、何か卑しい(いやらしい)感じで受け取られず、本来の「美徳」としての意味で受け取られるような組織や社会にしたいものです。

2016年度下半期のテーマ(逆順)

2017年04月04日 12時16分33秒 | お知らせ
2016年度下半期のテーマ(逆順)
<2017年3月>
エンゲル係数上昇の主因は?   ヒヨドリとムクドリ、争いから共存へ   痛ましい表層雪崩事故に思う   年齢階層別貯蓄に見る日本経済の姿   個人金融資産1800兆円で過去最高   サプライチェーン全体への適正な付加価値配分   家計調査から消費動向指数へ   トランプ効果の行方   東芝の自己資本比率   ヒメリュウキンカ(姫立金花)   「保護主義に対抗」を削ったG20   「教育勅語」昔と今   クロネコヤマト春闘に見る労使交渉の姿   アメリカは利上げ決定、日本は?   主体性確立のチャンスを逸した労使関係   国際貢献の役割を大切にしよう   仲介役(触媒)の重要性   「言葉」の重さを考える   労使の主体性奪回に期待:労働時間問題が契機!   地域の銀行は地域経済発展の旗手に   クロネコヤマト料金改定の意味するもの   移民・難民問題と人類社会のガバナンス   移民、難民、経済問題から見る国境問題   異次元金融緩和の副作用に要注意   上昇に転じるか、消費者物価   1兆ドル必要はトランプのアメリカの話、日本は・・・   トランプのアメリカ、予想される今後は?

<2017年2月>
RCEPの議論に注目   クロネコヤマト異例の春闘   小鳥の巣箱、今年はどんな展開に   トランプ政権はドル・レートをどう見ているのか   同一労働・同一賃金:政府案の不思議   企業における人件費支払能力測定の実務:最終回   企業における人件費支払能力測定の実務:第8回   第7回   第6回   第5回  第4回   第3回   第2回  2016年10-12月期GDP速報:変化の兆し?  企業における人件費支払能力測定の実務:第1回   外交にも欧米流と日本流? トランプ・安倍会談   2017春闘、労使と政府に期待したいこと   経常収支黒字21兆6000億円、9年ぶり高水準   アメリカの利上げ遠退く、日本は?   アメリカの混迷はどこまで行くのか   日米首脳会談:安倍総理の手土産と忘れ物 (つづき)   日米首脳会談:安倍総理の手土産と忘れ物   キリギリスの逆襲   消費性向の回復:政府に期待したい政策   

<2017年1月>
「人口減少をプラスに!」労使がともに主張:2017春闘  消費性向の回復:企業の労使で出来ることは何か   消費性向低下の要因を整理すると   消費性向低下:どんな要因が考えられるか   消費性向の引き上げのために   トランプ大統領のアメリカ:それでもアメリカを大切に   トランプ大統領のアメリカ:経済政策は矛盾の集積   トランプ大統領のアメリカ:被害者意識が基調   トランプ大統領就任演説、概要と雑感   平成29年度「政府経済見通し」閣議決定   アメリカが最強の為替操作国に?   自立を要請される日本経済と労使の対応   ポピュリズムの本当の恐ろしさ   刀狩り、銃砲刀剣所持等取締法と核兵器禁止問題   ジャパンシンドロームは消えたか?   消費支出と日本経済の関係を数字で:前回の補足   自力での経済成長を考える時   2017春闘の判断基準を考える   核兵器禁止条約の交渉開始に日本は反対   暴走気味のトランプ発言   えてきた・・・? トランプ経済政策の問題点   平和国家日本の原点の記録を見て(2017/1/4朝日新聞朝刊)   日本はこんな方向を目指すべきでは   来年度(平成29年度)の政府経済見通しを見る   明けましておめでとうございます

<2016年12月>
今年も1年間有難うございました   今年と来年: 混迷の安倍経済政策   広島、そして真珠湾、寛容、和解、友情、信頼、不戦   変わらぬ節約志向、消費者物価と消費支出   道遠い財政再建、国債金利は上がらない?   支払能力シリーズ14: 中間まとめ   官製春闘の中身と同一労働・同一賃金   同一労働・同一賃金: 賃金より「雇用」に視点を   非正規雇用増加と同一労働・同一賃金同一労働・同一賃金と日本的経営   バブルは起きている? バブルの見分け方   支払能力シリーズ13: 教育訓練費をどう考えるか   ロシアの思惑、日本の対応   支払能力シリーズ12: 生きてくる日本の労使関係   FRB:12月の利上げは決まったが・・・   支払能力シリーズ11: 分配と成長の基本的関係   支払能力シリーズ10: 労働側から見た適正労働分配率   支払能力シリーズ9: 人間と資本と労働生産性   ホタル飼育の副産物   トランプ氏とアメリカの再生   支払能力シリーズ8: 適正労働分配率:単に労使間の分配か?   財界はどんな日本経済を目指すのか   支払能力シリーズ7: 適正労働分配率:貢献度対応か将来志向か   支払能力シリーズ6: 適正労働分配率に関する考え方   支払能力シリーズ5: 適正労働分配率へのアプローチ  安倍政権はそんなにカジノが欲しいのか  

<2016年11月>
 混迷深まるトランプ劇場、世界情勢、日本   2017春闘の連合の賃上げ基準   矮小化し混迷する年金論議   何故円安で株高、解ったようで・・   この節、日本には柔軟な思考が大切   日本の覇権機構も同様(コスト高)だった?   覇権国という役目は割に合うか   インフレと賃上げ、為替レート、生産性の関係   円高の可能性がもたらす不安と賃上げ問題   賃上げと消費者物価の関係の正確な理解を   トランプ効果、円安、株高、さて賃金問題は?   GDP 2016/7~9月速報瞥見   アメリカで最低賃金引き上げ競争か?   やっと「メジロ」の巣を発見   安倍政権は変化に巧く対応できるか   トランプのアメリカそして日本   トランプ大統領のアメリカ   円レートの推移と企業収益の動向   CNF(セルローズ ナノ ファイバー)に期待   あらためて日銀の物価観を考えてみる   人件費支払能力の基準:付加価値の配分との関係(支払能力シリーズ4)   人件費支払能力の基準: 名目値? 実質値?(支払能力シリーズ3)   世界経済は当面小康状態を維持?   消費者物価7か月連続マイナスの中身   日本経済の人件費支払能力(支払能力シリーズ2)   過労死自殺で見過ごされている点   ゼロサム社会のマネー移動の結果は   日銀、2%物価上昇目標先延ばしへ   付加価値からの所得と振替による所得   経済学と付加価値   付加価値を創るビジネス創らないビジネス   TPP雑感:環太平洋の大国、小国共栄の道?   CO2の原材料化さらに進展   リーダー(基軸通貨国)の混迷は世界を混乱させる   喫緊の課題は格差社会化の阻止  財政政策、金融政策を越えて   平家ボタル順調に生育中   金利と為替レート:日本経済復活のカギ?   金利と為替レート:マネー資本主義の手先に   金利:「経済→金利」から「金利→経済」へ   「金利」:金利水準に影響する要素は   「金利」:本来の意味を考えてみれば   2016年度上半期のテーマ   日銀短観(2016/9月):企業、円高に苦しむ?   経済財政諮問会議:「2%インフレ」が至上目標?

日銀短観(2017年3月):企業の現状は強気

2017年04月03日 12時13分48秒 | 経済
日銀短観(2017年3月):企業の現状は強気
 今日、3月現在の日銀「短期経済観測」が発表され、マスコミは2期連続の改善と報道しています。
 短観の目玉は、まさに現時点という速報性、それに3か月毎という頻度、そして誰にもわかりやすいという点でしょう。
 現時点での景況はどうですかと企業に聞いて、答えは「良い」「さほど良くない」「悪い」のどれかを選択、「さほど良くない」を抜かして「良い」から「悪い」(答えた企業全体を100にした%)を差し引いて「結果」ということになります。

 今回ですと製造業大企業の場合、「良い」19、「さほど良くない」74、「悪い」7(計100%)ですから、19-7=12で前回の10に比べて「良い」が2%増えた(17、76、7で17-7=10)という事です。

 非製造業の大企業は、前回が18、今回が20、「良い」と答えた企業の割合は製造業よりだいぶ高いようです。

 大企業だけでなく、中堅企業、中小企業もやっていますので、それぞれの前回と今回調査の結果数字を見てみましょう。

<製造業>大企業10→12、中堅企業6→11、中小企業1→5
<非製造業>大企業18→20、中堅企業16→17、中小企業2→4
という事でそれぞれ改善です。

 前回の12月には、漠然としたトランプ期待といったものもあったかもしれませんが、今回はそれも消えつつあるはずで、逆にトランプの危険も言われています。

 しかし日本経済の現状は、求人状況もそうですが、かなり底堅い様相が見えています。円安で復活した日本経済が、為替差益に浮かれる時期を過ぎて、さてこれからなにをやるかを積極的に考え始めたのではないでしょうか。

 国会は混乱の極で(それでも予算を早く通す良識はあった)、何とも情けない話ですが、国民も企業も、確りとやるべきことをやっているからこそ、こうした結果が出ると自信を持ってもいいのではないでしょうか。

 産業別にみると、製造業では素材関係、化学、機械、自動車などに数字の高いものが見られ、非製造業では、建設、通信、情報サービス、対事業所・対個人サービスなどに高いものが見られます。今後の日本経済の進路を暗示するのでしょうか。

 為替レートさえ激変がなければ、日本経済は着実に前に進んでいきそうな気配を感じるところです。

2017年春:シジュウカラの巣作り順調?

2017年04月02日 11時05分39秒 | 環境
2017年春:シジュウカラの巣作り順調?



 2月に、庭の豊後梅の枝に架けた小鳥の巣箱の掃除をしたことは書きました。
 綺麗に掃除した巣箱にどんな反応があるか、朝食の時などできるだけ気を付けてみていました。

 3月の初めまで、シジュウカラはほとんど姿を見せませんでした。豊後梅の枝に来るのはヒヨドリとムクドリばかり。
 大きめの鳥が来るので、シジュウカラなどは怖がってこないのかなと思っていましたが、3月の中旬以降、ヒヨドリやムクドリのいない時を狙ってシジュウカラが来るようになりました。

 先ずは一羽でした。一羽できたときは、巣箱の周囲を検分するだけで、なかを覗いたり入ったりません。2~3日すると2羽で来るようになりました。最初に1羽来て、続いてもう1羽が来ると、どちらかがスッと巣箱に入ります。
 残った1羽は上の枝を渡りながら、恐らく見張り役をしているのでしょう。どちらが雌なのか雄なのかはわかりません。

 数日前から、頻繁に巣箱に入るようになり、嘴に何かくわえていますから、いよいよ本格的に巣作りに入ったのでしょう。
 
 昨年は立派な巣をつくりながら、途中からスズメに占領され、中断に至ったことも書きましたし、その後、占領したスズメは隣家の雨樋の端に移転し、強者スズメの横暴で何とも不本意な結果となったことも書きました。

 巣箱の入り口の直径は28mmとスズメ用の30mmより狭く、シジュウカラ用になっているので、今年は初手からスズメは諦めて、シジュウカラの巣作りが順調にいくかと思って期待していたところです。

 ところが昨日、一羽のスズメが巣箱の上に飛来、巣箱の周りをチョンチョンと回っていました。家内は、「あのスズメは細型だから入るかもしれませんよ」などというので、これはまた去年の事態の再来かとの懸念が生じ、とりあえずと、今日の報告になりました。

 幸い、スズメはそのまま飛び去り、その後再来はないので、何とかこのまま平穏無事で、初めての雛の巣立ちまで順調に行ってほしいと思いながら、小鳥の行動の世界を見守っているところです。
 変化があれば、また報告したいと思います。

雇用構造の改善徐々に進む

2017年04月01日 15時24分50秒 | 労働
雇用構造の改善徐々に進む
 先月末に総務省は2019年2月の労働力調査を発表しました。マスコミでも失業率が久方ぶりに3%を下回り、2.8%になったことを中心に、正社員の増加傾向も報じています。

 労働需給は益々タイトになってきているようで、これは否応なしに雇用構造を含む雇用条件の改善への力になるでしょう。このマーケットの圧力を背景に、労使の賢明な判断と話し合いが、日本経済・社会をより良いものにしていくことを望むところです。

 振り返ってみれば、バブルの崩壊までは、日本の失業率は2%台の低い方が当たり前でした。世界にも稀な低水準で、日本はその中で健全な経済社会を作ってきました。
 この状況が続けば、企業の人を大事にするという意識が本格化し、ブラック企業には厳しいことになるのでしょう。

 こうした環境の中で、このブログの念願でもある 非正規社員の正規化も徐々に進み始めた様です。
 2017年2月の「労働力調査」で、前年同月比の数字を見てみますと、
  正規の雇用者  51万人増加
  非正規の雇用者 10万人減少
となっています。

 正規従業員の増加は男女ともに25万人ですが、非正規の雇用者は男性17万人の減少、女性7万人の増加です。男性の正規化が目立ち、女性は非正規を含め雇用者の増加が目立ちます。
 雇用者に占める非正規の比率は37.1%で昨年の2月の37.6%から0.5%ポイントの減少で、遅まきながら、いよいよ減少のプロセスに入ったようです。

 昨年4月に、労働省の「就業形態調査」で、いわゆる 「不本意非正規」が減少したという数字を見ましたが、その後この調査は発表されていないようで、不本意非正規の減少という形での把握が出来ずに残念です。

 ただ労働力調査には「世帯主の失業数」が出ていて、それによれば、今年2月は39万人で、前年の2月比で7万人減少となっていますので、重要な世帯主の就業・雇用状況が改善していることは確実でしょう。

 労働市場では、雇用改善に追い風が吹いているのです。改めて、労使の賢明な話し合い努力で、改善が一層積極的に勧められることを期待したいと思います。
 これは単に雇用問題にとどまらず、「失われた20年」で劣化した 日本の経済社会の復元・改善の重要な要素だからで、この点は、格差社会化阻止も目指して、日本国民が一様に望んでいることではないでしょうか。