tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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日本銀行、慎重に金融正常化に動く

2024年06月15日 15時43分14秒 | 経済

今回の政策決定会合で日銀はいよいよ金融正常化に向けて動くサインを明確に出したという事でしょうか。具体的行動は7月です。

国債買い入れの減額、日銀のB/S圧縮を言いつつも具体的な措置が遅れる様子という事で、国際投機筋は、動き出すまで円安を仕掛けてビジネスチャンスを作るという狙いでしょうか円安は158円まで進んだりしています。

借金まみれの政府が金融正常化の進行を恐れるのは当然でしょう。しかし金融正常化は日本経済にとって必須なのです。

黒田日銀が政府の意向を受けてか一貫して異次元緩和策を取り続けた後を受けて、金融正常化を目指す植田日銀ですが、政府の意向を受けてでしょうか動きは慎重です。

しかし日銀には日銀の役割があります。経済学者の植田総裁は、何とか金融正常化を果さなければならないとの使命を負っていうのでしょう。

今の状態というのは、当面の円安が消費者物価の上昇を齎し、実質賃金の赤字が継続する事を恐れながら、本格的な金融正常化(引締め)で円高になる事の恐ろしさとの間で、日銀に「何とか巧い政策を」と頼むのが政府の立場、何とか応えようと、国債買い入れ減額にも気を使って柔軟性を持たせ、不用意に円高を招かない微妙な政策を強いられる日銀、その間で短期のキャピタルゲインを狙う投機筋、消費者物価の上昇に敏感な消費者などがそれぞれに入り乱れた意識で行動しているという事でしょうか。

そして現実にやっている事は、政府は経済政策についての定見も定かでなく、支持率の低下を心配、更には次の選挙を如何に裏金で戦うかという政治資金(実は選挙資金)問題に躍起、国民は賃上げ促進と消費者物価の安定を望み、国際投機筋は常にキャピタルゲインのチャンスに虎視眈々なのでしょう。

日本経済、国民生活にとって、誤りなく、本気で真面目に取り組んでほしいという国民の願いに取っては、まさに日銀だけが頼りといった事になっているようです。ここは本当に、日銀に頑張ってもらわなければなりません。

林官房長官は、日銀の決定について「決定内容の詳細などについてコメントは控えるが、日銀には、引き続き政府との密接な連携のもと、経済、物価、金融情勢を踏まえつつ、適切に金融政策運営が行われることを期待している。」と言っているそうですが、「適切」とは「政府と密接な連携の下」という事なのでしょうか。

植田日銀の、慎重すぎるほどのきめ細かい、国債買い入れ、長期金利、短期金利の調整、本格的利上げの時期などについての戦略の在り方と。政府が国会でやっている政治資金規制法改正案の中身の粗雑、杜撰さと比べると、政府の政策と、日銀の政策ではこんなに開きがあってもいい物なのだろうかとの念が強まります。

今の政府は、日本経済・社会の問題よりも、何としてでも政権の座にしがみついていたいという自分や自分たちの都合の方が、何よりも優先すべきものという意識がギラギラして見えるというのが、世論調査に見る、内閣支持率の数字なのではないでしょうか。

それだけに、日銀に対して、金融政策の正常な機能を国民経済の正常化・健全化のために着実に活用するという中央銀行の役割を、国民のために思い切って貫いて頂きたいと願うところです。


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