tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

いろいろと「ハラスメント」が気になる日本ですが

2024年06月26日 21時29分25秒 | 経済

最近いろいろなハラスメントが増えてきて、きちんと説明を受けないと中身がわからなようなこともあります。

記憶を辿れば、大分前の話になってしまっていますが最初にデビューしたのは「セクシャル・ハラスメント」だったでしょうか。

それまではジェンダーに関わることでも気軽に口にしていたり、挨拶代わりにポンと異性の肩を叩いたりでしたが、それが相手に不快感を与えれば、それは「セクシャル・ハラスメント」といってこれからは許されなくなるんだそうだなどといわれて、「こりゃ大変な世の中になったかな」と思うと同時に「まあね、親しき中にも礼儀ありだから、気を付けるべきですね」と思ったりしたものでした。

ハラスメントというのはもともと「相手を困らせる」という意味ですから、人間関係の常識として、相手を困られるようなことはしない方がいいのだと考えれば、それでいいのかもしれません。

しかし、その後もいろいろなハラスメントが生まれました。そしてそれらは、意図的に相手を困らせる言動という意味が強くなっているように思われます。

パワハラ=パワー・ハラスメント(権力で威圧)

モラハラ=モラル・ハラスメント(反道徳的な威圧)

マタハラ=マタニティー・ハラスメント(相手の妊娠に関わる不快な言動)

カスハラ=カスタマー・ハラスメント(顧客が店員などを困らせる言動)

などなどです。

こうしてみますと、急造のせいかあまり確り出来ていないものもありますが、いずれにしても相手を困らせる言動だという事は明らかです。

昔から日本人は、人間関係の機微には敏感で、どちらかというと礼儀正しいと言われていたのですが、改めて、カタカナ語で、いかにも日本人は欧米人に比して、他人に(思わざる)迷惑をかけることが多いから気をつけろといったメッセージが必要になったのかと思っています。

おそらく背景には、この所日本社会では、生活に不満感を持ったり、何かと不愉快だったり、いらいらしている人が増えているという事があるのでしょうか。

確かに格差社会化が進んで貧困家庭が増えたり、企業の現場で働き方に余裕がなくなったり、政府不信で、政権党への支持が戦後最低と言われるほど落ちたりという現実があります。

そして、その背後には、世界でもベストテン常連だった日本の一人当たりGDPが40位近くまで落ちたり、この所は月々の実質賃金が2年以上連続で前年を下回ったりという日本国自体の零落が進んでいるという紛れもない経済不振そして政治不信の現実があるわけです。

それと同時に、人権尊重の時代が進むと共に、人々の権利意識が次第に強くなり、しっかり自己主張をするようになると同時に、一部に行き過ぎた権利意識、自己中心意識が強まり、「女に振られりゃ泣きまする」という歌の文句が常識の中で、「女に振られりゃ殺しに行く」という現実が時に報道される時代になっています。(学校教育のせい、家庭教育のせい、それとも・・・)

いずれにしても日本社会の中に、トラブルメーカーが増えてきたという意識が、多様なハラスメント問題の形をとりつつ、「トラブルメーカーになるのはやめましょう」という社会的なメッセージを広めるための動きを見せているように思われてなりません。

このブログでは「トラブルメーカーとトラブルシューター」「加害者と被害者」といった問題も取り上げてきましたが、人間の住む社会が誰にとっても快適なものでなければならないという事を考えれば、トラブルメーカーを出来るだけなくし、トラブルシューターを育てること、加害者をなくし、その結果として被害者をなくするといった気持ちをみんなで持つことが大事というのが人々の希望でしょう。

残念ながら、最近の日本社会が、かつてに比べて、快適な社会、安定した人間関係の面で劣化していることが、上記のような種々のハラスメントについての適切な留意を普遍化させようという機運を生んでいるとすれば、われわれは反省とともに、より良い社会を作っていくために真面目に取り組まなければならないでしょう。 

もともと礼儀正しいと評価されていた日本人です。カタカナ語がお嫌いならば、伝統的日本語で「他人様にご迷惑になることはやめましょう」で、すべてのハラスメントは解決するはずです。

日本社会をより快適にするために、日本人はもうひと頑張りしてもいいのではないでしょうか。


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