tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

骨太の方針を支えるのは骨太の人材

2024年06月11日 15時33分51秒 | 政治

今後6年間の「骨太の方針」についての記事が多くなっています。6月中には「骨太の方針」、正式名称は「経済財政運営と改革の基本方針」を策定する「経済財政諮問会議」を座長である岸田総理が開くのでしょう。

これまでも「その骨子」が報道されていますので、このブログでも取り上げてきました。財政の基本には2025年に「プライマリーバランス回復」が掲げられるようですが、辻褄合わせに終わりそうです。これから国債の金利も高くなるでしょう。ゼロ金利だからと国民から借金して(外国から借りていないからまだいいのですが)来ましたが、まともな金利が付いたらどうするのでしょう。

物価を上回る賃上げ(実質賃金の上昇)も大きな目標のようですが、日本の実質賃金を引き上げるには日本経済の実質成長が必須です

賃上げは企業がするのですから、企業の成長がなければできません。そして企業総体の成長があって、その積み上げが経済成長になるのです。

その経済成長については先日、実質1%以上という方針だと報道されていました。「実質1%以上」では「骨細」ではないかと書きました。

最終案では多分修正されて実質2~3%になるのではないかと思われますが、これだけ真面目に勤勉に働く国民を持っちながら、実質1%以上でいいと言いうのは、如何に一国の経営陣(総理以下大臣たち)の経営手腕が拙いかを政府自らが告白しているようなものではないでしょうか。

もともと、この30年ほどで、国民一人当たりのGDPを国際ランキングを、ベスト5辺りから40位近くまで落として、その反省もなく、なお政権に留まっている政権党ですからそんな発想が出て来るのかもしれませんが「国民が選挙で選んで呉れた結果です」で済むのでしょうか。

今日は「骨太の方針」として労働経済分野の報道が出て来ました。基本は、経済の成長する分野へ労働力を移せば経済成長が高まるという事のようで、そのためには、「リスキリング(学び直し)」が大事という事のようです。ここで何でカタカナが出て来るのが解りませんが「産業訓練の新展開」の方がよほど解り易いでしょう。

先ずは、教育訓練の行き届いていない非正規労働者の徹底再訓練が出て来るのかと思いましたら、不況期の教育訓練欠如の欠如には触れられていないようです。

確かに、新しい産業分野が生まれ、それが伸びる、そこに人材を配置する事は大事でしょう。かつて日本自身がそれを世界が注目する程上手くやって、アメリカの脅威に迄なるといった実績を上げて来ているのです。

その日本がなぜ今、カタカナの「リスキリング」なのでしょうか。「カタカナを使から失敗する」という人もいます。聞いてすぐ中身が解る方が効率がいいのです。

日本の教育訓練は、現場で仕事をし、給料を貰いながら高度技能・技術を身に着けるという方式です。これは人間だけではありません。企業自体も進化、変身するのです。

従業員は基礎技術を現場で身に着け一專多能の多能工になり、企業は意欲的に新産業分野に進出し、育てた従業員を活用して技術を革新し先端企業に脱皮するのです。

政府は職務中心の欧米流人事制度崇拝のようですが、そこでは一専多能な従業員は育ちません。企業の仕事、特に先端分野などでは、人間が協力して新しい仕事を設計するのです。

そこでは個人の能力と、優れた能力の人間の協力があって、はじめて新たな企業、産業活動が成功するのです。そこでは日本流の人間集団の威力が大きい事は産業人なら皆知っています。

もともと日本の企業は人間集団が基本なのです、職務があって、そこに人間を 当てはめるという欧米流の人事システムは、日本産業の衰退を齎すことですから、産業界代表は、政府関係者を徹底説得すべきでしょう。

「骨太」の6か年計画が実のあるものになり、日本経済社会が再生する事を切に願うところです。