tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

政労使が一堂に会するといいですね

2022年02月14日 21時59分50秒 | 労働問題

昨日のNHKの日曜討論には、政府と労使の代表が揃って出席し、かなり忌憚のない意見交換がされたので驚きつつそれなりに楽しく視聴しました。

今の経団連会長の十倉さんという方は、拝見する所かなりリベラルな考え方の持ち主のようで、このことは、このブログの1月10日の「2022春闘を占う:新しい動きが出るか?」でも触れましたが日曜討論でもその通りでした。

いわば日本の経済界、経営者の重鎮という立場で出て来られた経団連会長が、大変ざっくばらんな態度で発言されたことが、昨日の労使間の問題も含めた春闘論議を大変和やかにしていました。

最初は緊張していた連合の初の女性会長である芳野会長も時に笑顔で発言するなど、深刻になる春闘問題を、和やかな協力関係もあり得るようなものしていました。

労使の間を調整する政府代表の山際経済再生相も、随分リラックスできたようでした。

アメリかのように、労使は敵対的でなければならないなどという考え方のない日本の労使関係ですから、1980年代まで春闘華やかなりしころも、労使は対立点は主張しつつも、協力できることは積極的に協力するという極めて理性的、合理的な態度で、優れた産業社会を創るパートナーとしての相互信頼関係を築いてきていましたが、そんな昔を髣髴させる所もほの見えたような感じでした。

基本的には、十倉経団連会長が、賃金引き上げはすべきものという点を明確にしたこと、それに、大企業と中小下請け企業の関係を力関係でなく合理的なビジネス関係にすべきだといいう点を明確に発言したことが極めて重要で、連合にしても、勿論政府にしても、それならまともな議論ができると感じたことが良かったのでしょう。

連合の芳野会長の主張する「定期昇給相当分とベースアップをふくめて4%」をベースにする賃上げ要求は、最近の輸入インフレ含みの経済情勢の中では極めてモデストなもので、連合のバランス感覚を示していました。
山際再生相のいう3%程度はベースアップ分のつもりでしょうから、政府の賃上げへの多少の焦りが感じられるところですが、介入という印象はありませんでした。

山際再生相の、労使のおやりになることですから、政府はそれがやり易くなるような条件整備をするという視点は、それこそ真面なものと感じるところです。

関連して山際再生省は中小企業が輸入原材料の価格上昇を納入価格に適正に上乗せできるようにして、中小企業の賃上げを可能にするという発言は、経団連の視点とも共通するものですが、望むらくは、政府がそう言う場合には、理論的根拠をしっかり説明して、価格転嫁が適正に行われることは商取引上必要な事といった明確な根拠とあるべき論を、政府の立場として明言することが環境づくりとしては重要だったのではないかと思っているところです。

敢えて改めて書かせて頂きますが、海外で資源価格などが高騰して、日本でも輸入インフレが起きる場合には、それは日本と外国との関係で起きることで、日本国内では対処のしようがないものだという事を政府が明確に指摘し、それは日本全体で「適切」に負担することが大事であり、「適切な負担」というのは、輸入物資の値上がり分をそのまま顧客(納入先、販売先)に価格転嫁し、最終消費者がそれを支払うようにする以外に適切な方法はないという説明を政府が全国の企業、消費者に徹底することが必要でしょう。

話がそれましたが、昨日の日曜討論から感じたのは、政労使の三者が、和やかにそして、率直にモノを言い合えるといった状態を作っていくことが、当面する経済社会問題解決への近道ではないかという思いでした。