tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2021年12月、年末の消費も振るわず

2022年02月08日 15時42分01秒 | 経済
今日、昨年末12月分の「家計調査」の結果が総務省から発表になりました。

デルタ株が予想外の沈静化を示していたこともあるので、家計の消費支出も少し活発になったのではないかと思って早速見てみましたが、予想は当たらず、家計は矢張り引き締め基調を維持していました。 

以下、家計支出の名目値について、対前年比の伸び率を中心に見ていきます。消費者物価はあまり動いていませんし、家計支出の感覚は主に名目値で実感されるものですから、数字は名目値の対前年同月比(%)でとっています。

2人以上所帯の消費支出は、デルタ型の中心の第五波のピークだった8月から、マイナス3.5%、マイナス1.7%、マイナス0.5%、マイナス0.6%、プラス0.7%(12月)とずっと前年同月より減少で、年末だけ多少頑張ってみたといった感じです。

年末商戦の12月がの値が1%以下ですがやっとプラスというのが、デルタ型の感染の沈静化と年末(忘年会?)を象徴しているとも思えますが、まさに控えめな消費増です。

この辺りは、オミクロンもあるし、ポストコロナを見据えても、単純に景気が良くなるとは期待できないという最近の日本人の将来を警戒する感覚の表れのような気がして、やはり消費不振の克服は容易ではないなといった感じがするところです。

この点は収入と支出の双方が見られる2人以上勤労者所帯についても言えそうです。
勤労者世帯の昨年8月から12月の収入と消費支出(名目値)の対前年同月比を並べてみます。

       8月  9月 10月 11月 12月
実収入    4.7% 2.7% 0.5% 1.8% 5.5% 
消費支出  -3.4% -2.8 0.1% -0.4 3.1%

勤労者世帯の実収入はずっと対前年で増加です。12月5.5%増はボーナスが前年より多かったのと配偶者の収入が増えたことが大きいようです。

しかし消費支出は常に実収入の増加を下回り、実収入が増えても消費支出を減らしている月が目立ちます。
コロナのせいだけではない消費抑制、将来不安(老後不安)に備えるといった意識は相変わらず強いといった感じです。

結果として12月の2人以上勤労者所帯の「平均消費性向」も前年12月の38.6%から、37.3%に下がっています。

今年の春闘では賃上げ幅は多少大きくなるという予想が多いようですが、それで(GDPの最大の構成要素である)個人消費支出が増えるだろうという単純な発想では今の消費不振の解消策にはならない可能性が大きいような気がします。
また1月からの平均消費性向の動向も、確り見ていきたいと思います。