tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

長期的視点と短期的視点

2022年02月07日 11時49分26秒 | 政治
岸田総理が総裁選の頃に、上場企業の業績の四半期開示のルールは止めたらどうかと言われていたようですが、総裁になってからはそれには触れていないようです。

解説によれば、岸田総理は、四半期ごとの数字を出さなければならないということになるとどうしても、経営が短期的視点に傾くが、経営はもっと長期的視点を確りする事が重要なので、株主への開示もそうした経営政策などの長期の経営目標に関わる重要な点を伝えるようにした方がよいのではないかという考え方をお持ちとことでした。

証券業界の意見などでは、どうせ企業はIR(投資者対応)で四半期データは出すだろうからなどという意見もあるようですが、企業がIRを丁寧にやることはいいのですが、政府が「そうしなさい」とまで言うのはどうかという事なのでしょう。

政府は交通信号ではありませんが、国民にとって大事なルールを決めるのが仕事ですが、その際、政府がやるべき大事なことと、民間に任せてもいいことを確り区別して、なるべく余計な世話は焼かず、民間の創意を生かす方が良いようです。

企業でも現場はカイゼン運動のような細かい点を確りやることが大事で、経営トップの方は、企業の将来をどうするかなど、中長期的な視野で企業全体の構想を考える事が大事なのでしょう。

これは、国の経営でも同じで、内閣や国会は本当は現場の細かい事よりも、出来れば長期的視野で、国家の重要問題の解決の方向を考え議論するべきなのでしょう。

「着眼大局、着手小局」という言葉もありますが、政府は着眼大局で進む方向を確り示し、行政は着手小局で細かい点は着実にやるという組み合わせでしょう。そして大事なことは、着眼大局と着手小局の「整合性」が 確保されていることでしょう。

こんなことを言っては失礼かもしれませんが、アベノミクス時代は政府の着眼大局がはっきりしていなかったようで、行政の着手小局が「忖度」してやったことが誤りで、「モリ・カケ・サクラ」のような事が起き、大局を論ずべき国会で、着手小局の誤りについての議論が賑やかになってしまっていました。

その癖がついたのでしょうか、その後も、長期的視野、着眼大局の議論がなかなかなされないような感じがあります。

コロナ問題にしても、長期、大局としての視点は、先ず日本のワクチン・治療薬開発(科学技術研究開発)を早期に進める事、その目標・見通しの周知でしょうし、現在はいかに生産国からワクチン・治療薬を適切に入手するか、そしてその正確な見通しを国民に知らせるといった順番でしょう。

100万回接種というのはその前段が明確でないと着手小局の方は疑心暗鬼で突っ走ることになり、昨年夏の大規模接種場の開設直後の閉鎖のような事が起きます。

長期的な目標とそれについての明確な視野、視点があり、それに「整合」した着手小局の行動があって、物事はきちんと動いていくのでしょう。

長期的視野を確りしようという方針は、まずは政府の視野をしっかり固めて、国民に周知していただき、国民がそれに整合した動きがやり易いようにして頂きたいと思う事が多いのですが、政府が近視眼的な後追いにかまけることが無いようにお願したいところです。