tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

財政再建は棚上げですか?(つづき)

2018年12月25日 00時34分52秒 | 経済
財政再建は棚上げですか?(つづき)
 財務省は2017年度末の「国全体のバランスシート」を発表しています。中身は日本政府のバランスシートです。
それによりますと、(株)日本政府の資産は673兆円で、負債は1222兆円となっています。差額の549兆円は、赤字国債の額に相当すると注書きされていますが、企業で言えば債務超過です。

 通常の企業ならとっくに倒産ですが、国民(銀行も含みます)がカネを貸してくれている(国債を買ってくれている)から倒産をまぬかれているわけです。
2017年末の国債発行残高は853兆円です。しかし国民もそんなに買えないので、 日銀が市中から国債を427兆円も買い上げ政府が国債を発行しやすくしているのが現状です。

  という事で政府は国債をどんどん発行できますから、税収が足りなくても、国家予算を増やせることになり、歯止めが利きにくくなってきます。

 しかし、本当は健全財政が大事な事は解っているわけですから、国債発行額は国債費(国債の借り換え分と国債利息)に抑える、つまりプライマリー・バランス(PB)均衡(経常経費は経常収入=税収等で賄う)を2020年に達成すると言っていたのですが、予算が年々膨張するので、それを 2025年に伸ばしたわけです

 しかし現実は厳しいようです。2010年から2020年までは、リーマンショックからの回復期で、税収も法人税などを中心に増えたようですが、その時期にも出来なかったことを5年延ばせば出来るのでしょうか。

 財務省の試算によれば、「2015年から2020年」までの国・地方計のPB赤字のGDPに対する比率の試算は「3.0,%、3.7%、3.4%、2.5%、2.3%、1.9%」となっていて、2020年のBP達成はダメですが、この試算の数字も2018年から急に小さくなっているようで「?」マークがつきそうです。

 上の数列で、2019年は2.3%となっていますが、金額では13.7兆円です。2019年のPBの赤字は今度決まった国家予算だけで10.4兆円ほどのようですから(軽減税率導入で増えた結果)この試算は大甘のようです。

 PBが赤字の間は公債残高はその分だけ増えていくのですから、改善は容易ではありません。特に、今はゼロ金利政策で支払金利が少なくて済んでいますから何とかなっていますが、トランプさんがゼロ金利政策に文句を言う可能性もありそうですし、いずれにしても、 今後5年間もゼロ金利 とはいかないでしょう。金利が上がればPB赤字は増えます。

 こう見て来ますと、2025年度PBバランス達成もまた2020年の時と同じ様に反故になりそうです。
 政府は英語で「ガバメント」ですが、同じ語源の「ガバナンス」の方はどうなっているのでしょうか。