tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

金融政策は放置でいいのか

2018年09月20日 13時13分29秒 | 経済
金融政策は放置でいいのか
 日本銀行は、これまでの金融緩和政策を未だ続ける方向のようです。
昨19日の金融政策決定会合の後の記者会見で黒田総裁から、金融緩和政策を続ける旨の発言がありました。

 黒田さんの発言では、7月に長期金利の変動幅をプラス・マイナス0.2%幅に広げたが、余り動きがない、時間をかけてみていく、景気が良くても物価は相変わらず上がらない、日銀は2%上昇を目指しており、それが達成されるまでは、金融緩和を変えるつもりはないとのことです。

 2%インフレ目標は取り下げたかと思ったのですが、また復活してきたようです。日銀にとって出口戦略の言及することはタブーなのでしょうか。
 一方安倍さんは、総裁選の中で、3選されたら次の3年の内に出口戦略に道筋をつけたいといったようですが、借金漬けの政府にとっては金利は安い方がいいのでしょう。
 
 しかし現実問題としては、ゼロ金利の影響はますます深刻になっていて、金融庁の発表によれば、地方銀行の約半数が銀行本来の役割である預貸業務で赤字だそうです。
 金融庁は指導を強化するそうでうですが、もともとゼロ金利で利ザヤがないのですからどんなにしても預貸業務で利益が出るはずはありません。

 本来、地方銀行は、地方経済を支える中核としての役割を果たさなければならないのですが、これではとても役割は果たせないでしょう。
 金融は経済の血流ですから、これが巧く流れなければ、経済活動は健全性を欠いてきます。
 
 景気は好調ですから資金需要はあるのです。銀行から借りなくてもクラウドファンディングでもなんでもあるよという事かもしれませんが、矢張り堅実な企業経営をしようというのであれば、金融機関との安定した関係が大事な事は誰でもわかっているはずです。

 安倍さんは金融問題など素人ですから、3年のうちに道筋をなどと言っていますが、金融の正常化が遅れれば遅れるほど、日本の金融市場の歪み、それによる金融機関の不振、経済の活性化の喪失が進むことになるでしょう。

 消費者、家計のサイドから見ても、一生懸命将来不安に備えて貯蓄をしても、金利がつかないという現状が、家計の消費行動を歪めていることは明らかです。

 ゼロ金利という事は、経済学的にはお金に価値がないという事です。現実にはお金に価値はあります。それを、政府と日銀の勝手で「価値がない」という基準で経済を運営しようというのですから、大変不自然なことで、あちこちに無理が出るのは当然です。

 バーナンキさんが緊急避難としてやったことを、真似したのはいいですが、緊急避難をこんなに景気が回復しても続けようというのでしょうか。真似るなら、形ではなく本質も確り理解して真似てほしいものです。