tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

北方領土問題:政府の本音は何処に

2018年09月11日 13時09分05秒 | 国際経済
北方領土問題:政府の本音は何処に
 個人の家屋敷の問題でも、隣家との地境の問題になると、何故かこじれにこじれるのがよくあることです。国と国の地境の問題になるとこれはさらに難しいでしょう。

 安倍さんはプーチンさんとウラジオストックでの首脳会談を終えました。共同記者発表ではプーチンさんから、領土問題では「ロシア、日本両国民が受け入れられるような決着を模索する用意がある」との発言があったと報道され、その中身は兎も角、具体的問題として(日本の)北方領土での共同経済活動の工程表をまとめたとのことです。

 領土の主張はともかく、共同経済活動ではwin=winの関係を作り出すことは可能でしょうから、海産物養殖や苺などの野菜の温室栽培などで日本の技術で協力し、双方にプラスになる事業展開が出来れば大変結構だと思います。

 ロシアが、国後、択捉の軍事基地化を進めたり、専守防衛の日本のイージスアショアの導入を問題視するのは、未だに国際関係は軍事優先と考えるお国柄を示すものでしょうが、軍事優先にも、それなりの経済的な裏付けが必要です。

 客観的に考えれば、ロシアが国後島や択捉島に住むロシア人にとって、そこが住みやすい素敵な場所にするのにはかなりコストのかかる仕事でしょう。そのコストを、出来れば北方領土問題解決を言いながら、日本との協力によって稼ぎ出そうという気持ちが大きいのではないでしょうか(下司の勘繰りですが、私だったら当然そう考えます)。

 しかし、それはそれで良いのではないでしょうか。日本としては、具体的な共同作業になかで、取るものを確り取り、経営・経済としてなり立つだけの付加価値を稼ぎ出せれば、続ける価値はあるでしょう。

 何時か政権も時代も変わり、友好親善が本物になる時期が来るかもしれません。
 領土問題というのは、そういう状況の中でないと、言い募れば募るほど、感情的対立があらわになり、解決が遠くなることは誰しも経験から理解しているところでしょう。

 願わくば、ロシアが、国際関係は軍事優先などといった好戦的な時代を卒業し、世界の友好親善が第一と考えるような国になることに、ほんの僅かでも貢献できればそれは意味ある事でしょう。

 戦前に、 石橋湛山が「日本は満州進出をやめ、韓国、台湾は独立させ、中国は支配するのではなく経済発展に協力し、経済発展した中国と貿易をしたほうがずっと優れた政策」と、国際関係の本質を見抜いた発言をしていますが、日本も、そしてロシアも、民生の安定発展に貢献するのかを政策の中心に置くような国になっていく日を願いながら、当面の win=winの関係を着実に進めていくことが出来れば、そしてそれが何かの出発点になればと思いつつ今後の展開を見つめていきたいと思います。