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2018年4~6月期のGDP :企業活動の片肺飛行

2018年09月10日 12時19分26秒 | 経済
2018年4~6月期のGDP :企業活動の片肺飛行
 今日、内閣府から2018年4~6月期のGDP統計第二次速報が発表になりました。
第一次速報については、8月11日の当ブログで書いていますが、その時点での数字から見たところは、今年に入って、矢張り経済は減速基調か、というものでした。

 第二次速報で違った点は、企業設備の伸びが第一次速報より大幅に伸び、経済成長に貢献したという所でしょう。企業活動の積極さは増しているようです。
 このブログではいつも対前期の短期的な増減よりも、多少長期のトレンドを重視していますが、昨年度の企業収益の好調を受けて、この4~6月も企業の設備投資はかなり活況を維持しているようです。これがをうまく生かすような経済政策が望まれます。

 具体的な数字を見ますと、4~6月の対前年実質成長率は、第一次速報より0.3ポイントプラス修正です。これは全面的に企業活動によります。
 以下は昨年の4~6月期から今年の4~6月期前での5四半期の「対前年向期比のGDP伸び率」で、全て実質値です(物価の変動が入った名目値ではありません)。
 
主要なものを拾ってみますと(第一次速報の数字と修正点)
<GDP成長率> 1.6% 2.0% 2.0% 1.0% 1.0%
の最後(2018年4~6月期)の1.0%が1.3%に上方修正されています。

<家計最終消費支出> 1.7% 0.6% 1.0% 0.1% 0.1%
は変わっていません。

<民間企業設備> 2.7% 3.8% 3.2% 2.9% 4.0%
の最後の4.0%が6.4%に「上方修正」です(これが成長率を押し上げ)。 

 あとは、公的部門(政府)に数字にかすかな変化があった程度で変わっていません。勿論第一次速報と対二次速報があまり変わらないのは、正確性という面からは結構なことでしょう。

 結局第二次速報をこの1年の動きというトレンドで見ますと、個人消費は相変わらず伸びず、経済成長への貢献はほとんどなく、頑張っているのは企業の設備投資ばかりという事がハッキリすることになります。

 企業が 内部留保をため込んで経営が積極的でないなどとよく言われますが、現実には企業が投資に、それなりの積極性を持っていることで日本経済はなんとか伸びているということになるようです。

 しかし、設備投資は需要(消費)を前提したものですから、基本的な経済原則の通り、消費も伸びてくれないと、投資だけでは経済は片肺飛行です。
 国内需要が伸びなければ輸出でと言っても、最近のトランプさんの発言ではありませんが、それでは必ず問題がおきるでしょう。

 安倍さんは、3選されたら憲法論議と言っているようですが、日本経済の消費と投資バランスの悪さを置き去りにしたのでは国民生活の足元が揺らいできます。
 過日は 自然災害の犠牲の急増傾向の問題を提起しましたが、国民が今何を一番心配し、いかなる政策が必要と考えているかを政策の第一に掲げてほしいものです。