5月まで上がり続けた米価ですが、6月に入ってやっと変化が出てきました。
昨日、総務省から発表になった消費者物価指数は5月分ですから、小泉農水相の登場で状況変化が起きる直前の月の実態がそのまま反映されています。
このブログでは毎月の消費者物価の動きを追跡してきていますが、その中から見えてきたのは、政府の米価政策の失敗が、日本経済再生を目指す努力に対し、マーフィーの法則ではありませんが、最も悪いタイミングで露呈し、その収拾策がまた大変な難事になってしまったようです。
まず、消費者物価指数の原指数の動きを見てみましょう。
エネルギー価格の動きに対しての政府の補助金などで、時々折れ曲がった線ですが、傾向的に昨年夏あたりから総合、生鮮を除く総合、生鮮とエネルギーを除く総合が揃って上昇の角度を上げているようです。
中でも生鮮を除く総合の赤い線が上げていますが主役は米です。生鮮食品はこのところ下がってきているのです。
そのあたりは、下の対前年上昇率を見るとはっきりします。
物価の基本的な動きを示す「生鮮とエネを除く総合」は昨年夏に、日用品の波状一斉値上げの波が収束し1.9%まで下げましたが、その後の上昇は、コメの値上がりが反映されています。
昨年の生鮮食品の急騰と、最近の値下がりは電力・ガスの補助金や高校の授業料無償化など共に青い「総合」の線に反映しています。
生鮮食品の上昇が反転した値下がりの動きが反映されない「生鮮を除く総合」は上がりっぱなしで、主役は米の値上がりでしょう。
昨日の総務省発表の資料で特徴的なものを見ますと。生鮮食品を除く食料は、前年同期比7.7%上昇と「総合」の二倍以上の上昇率、中でもコメは101%の上昇率(2倍強)です。
一方生鮮食品はマイナス0.1%と値下がりで、生鮮野菜-4.7%、キャベツは-39.2%、それに授業料等-9.5%となっています。
市場の価格決定機能に任せれば、価格は上下しますが時間がたてば安定します。生産者と消費者もそれに対して柔軟に対応するからです。
政府が、価格の上下を小さくしようと政策介入しますと、生産者も消費者も市場価格に対して適応する必要がなくなります。これは経済発展にマイナスです。
日本のコメ政策は、消費需要の漸減傾向に合わせて減反などをやり一昨年までコメの価格は殆ど一定でした。大変上手く行ったと思っていたのかもしれませんが、それでは生産農家の変化への対応能力が付きません。
行き詰まって、コメ価格を上げようとしました。どの程度上げていいかわかりません。放置したら2倍に上がりました。家計は対応出来ません。令和のコメ騒動です。
コメは日本人の主食です。コメ価格は直接、間接にいろいろな物価に影響します。小泉農水相はこれからも大変です。