tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

非正規雇用vs. 日本的経営・人材育成

2014年11月28日 11時56分47秒 | 経営
非正規雇用vs. 日本的経営・人材育成
 今、日本の労働問題の中で最も重要な解決すべき課題の一つは「非正規社員の増加」でしょう。
 選挙戦の前哨戦、TVの政党代表の論戦でも、与党が「雇用が大幅に増加した」と言うと野党側から「増えたのは非正規雇用が殆どではないか」といった指摘が出ます。

 雇用が増えてもその大宗が非正規雇用、雇用労働者の37パーセントが非正規で、なかなか下がらないという状態は戦後日本が築き上げて来た雇用文化から見れば、明らかに異常で望ましくない状態です。

 政府は、派遣(非正規)でもいいじゃないか、派遣労働者の環境を整えれば派遣制度は良いものになるということでしょうか、派遣法の改正に熱心です。

 社員の中にも一社に留まっているより、色々な会社で仕事をしたい人もいるでしょう、そういう人が働きやすい制度があってもいいでしょう。しかしそれは雇用の中ではマイナーで「大々的に法律で」などと言うものではありません。本人と会社が話し合ってやればいいことです。

 日本的経営は、「人間中心」と「長期的視点に立つ」の2つが基本です。この2つには人を育てるのには時間がかかるというという接点があります。
 会社経営だけではありません、個人にしてみても、何時も行き当たりばったりでいいという訳には行きません。長期的に、自分の進むべき道を考えて人生を歩むのが本来の生き方でしょう。

 何か自分の技を極めるために、武者修行に出て、いろんなところで他流試合をするというのも一つの生き方かもしれません。しかしより多くの人は「一所懸命」と言われるように、自分の好きな企業文化の中で、自分の人生を極めていくことを選びます。

 ここで大事なことは、企業の在り方です。便利に派遣労働を使おうという職務中心、部品(人間)取り換え型の企業は欧米型で、本来職務給です。日本の企業では伝統的に、社内で人を育て、人を育てることで企業も発展するという行き方が主流で、属人給型です。

 実はドラッカーなども、日本企業の研究の結果、この方式に軍配を上げ、多くの著作で、経営における「人を育てることの重要性」を説いています。

 日本の企業が安易に改正派遣法の活用などを考えることはないと思いますが、コストカットだけがサバイバルの条件と言う「デフレ時代」は終わりました。
 最近、企業の使う人材育成のコスト(実は投資)は随分増えてきました。日本経済の新しい展望の源泉です。