tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日銀の金融追加緩和の功罪

2014年11月02日 22時16分11秒 | 経済
日銀の金融追加緩和の功罪
 アメリカが異次元金融緩和の終結のために、薄氷を踏む思いでテーパリングをやり、現時点では何とかなりそうだと終結宣言に踏み切った所で、日本は異次元緩和の拡大に打って出ました。
 さて、これはどう見て、どう判断すべきでしょうか。
 
 恐らく、日本経済は今回の金融緩和策がなくても徐々ながらきちんと回復の道を辿って行ったと思います。黒田総裁も多分そう思っておられただろうことはこれまで「日本経済は回復基調」との発言、さらには「金融はこの程度、後は政府の仕事」という趣旨の発言などからも感じられたところです。当然、金融緩和は予想されていませんでした。

 黒田総裁は、今回の緩和に際して、「2パーセントのインフレ目標の実現のため」と繰り返していますが、1パーセントでも、1.5パーセントでも、2パーセントでも本質的にどうこうという問題ではないように思われます。2パーセントに固執するのにはそれなりの理由があるのでしょう。
 
 マスコミは今回の金融緩和については一様に「サプライズ」と評していましたが、まさにサプライズとしての金融緩和をすることが目的だったように感じられます。
 このサプライズの結果起こる(起こった)ことは何でしょうか。
・株価の急騰
・円安の更なる進行
が「サプライズ」のもたらす主要な効果でしょう。

 この2つが「図った通りに」起こったということはまさに狙い通り巧く行ったということでしょう。
 しかも、その影響が日本経済と余り関係ない様な国々にまで波及し、世界中の国々で株価が上昇し、下がったのはロシアだけ、という現実は、今のマネー資本主義に覆われた世界経済の実態をはしなくもあらわにしたように感じられます。

 円安は、円建ての輸入物価の上昇につながるでしょう。同時に、日本の景気という面では「ものづくり」のコスト低下による日本経済のポテンシャルの向上、当面の為替差益の拡大といった意味で、プラス効果は小さくないでしょう。
 しかし、これで「ホームメイドインフレ」が促進されるかというと、多分その効果はごく小さいように思います。
 株価上昇は、日本経済の雰囲気の改善には効果あると思いますが、社会的には所得・資産格差の拡大につながるでしょう。

 この「サプライズ」に踊らされた国際投機資本が、次第に冷静になって、いかなる行動を取るか、それによって、日本経済・世界経済の今後にどんな影響があるか・・・。
それを見極めることが、我々に新たな種々の教訓を与えてくれそうです。