tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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金融緩和第二弾と財政の健全化

2014年11月24日 18時00分31秒 | 経済
金融緩和第二弾と財政の健全化
 今回の選挙の最大の争点は「景気の回復」だそうですが、もっとはっきり言えば、「消費増税を延ばすことで景気を良くしようという政策選択」についての賛否でしょう。

 安倍政権は、消費増税を延ばすことで、アベノミクスは失敗だったという批判を躱し、1年半後には「景気弾力条項」をやめて、何が何でも消費増税を実施するということで、財政健全化論者に迎合するということを考えたようです。
 消費増税は政権の基盤を揺るがすというトラウマは強烈なのでしょう。

 アベノミクスなどと中身のよく解らないことを言わずに、2回の超金融緩和による円安効果、1ドルが80円から120円近い円安状態の日本経済への影響と財政の大盤振る舞いによる景気振興策と消費増税の関係というように「通常の経済政策」の言葉で言えば、争点ももっと解り易いでしょう。

 円安の力は絶大です。短期的には日本経済に大きなウィンドフォール・プロフィットを齎し、国際的に見た日本の物価を3割以上引き下げ、国際競争力を強化し、デフレを終わらせました。今や日本の物価は国際的に見て安い方で、買物客が沢山来ます。
 すでに日本経済の健全な成長の基盤は整ったのです。

 ただしその基盤をどう活用していくかは、これからの日本人の知恵次第です。
 理由は、円安はトータルには大きなプラスですが、酒の醗酵と同じで、時間をかけて掻き回してやらないと均質の醗酵にならないのです。

 円安によるウィンドフォール・プロフィットは輸出部門に厚くなり、株価の上昇は金融、証券業界や富裕層に厚く、格差社会化が起きます。これを腕のいい杜氏が、時間をかけてかき回して、全体が巧く醗酵するようにするのが、今必要な経済政策でしょう。

 政府がそんなに巧い政策を取れなくても、多少邪魔になっても、ある程度の時間の中で、日本経済は、2パーセントの消費増税などは吸収して、経済成長を進めるでしょう。
 200万社近い日本の企業が変わるのですから時間はかかります。しかしその動きは見えていますし、10-12月期から来年にかけて、徐々にその動きは統計数字に見えて来るのではないでしょうか。

 政府はいざという時、民間の手助けが出来るように、財政健全化に取り組んだほうが現状ではまともな政策選択だと思います。
 黒田日銀は、「折角財政健全化のために応援の金融緩和をやったのに、目先の虎と馬(トラウマ)に脅えて、消費増税を先延ばし、選挙で政治の空白期間を作り、900億円も無駄遣いするとは、嗚呼。」と嘆いているのではなどと勝手に想像しているtnlaboです。
 安倍さんは、この先、景気が回復すると「消費増税を延ばした選択は正しかった」というのでしょうか。