tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日銀の金融緩和と日本経済

2014年11月06日 12時02分50秒 | 経済
日銀の金融緩和と日本経済
 日銀の金融緩和で世界の株価が軒並み上がった金曜日から2日後の週明け月曜日には主要国の株価は軒並み下げています。

 冷静に考えれば、日銀の金融緩和で円安が進行し、日本は明らかに有利になるわけですが、ヨーロッパアメリカの経済に必ずしもプラスの影響があるとは言えません。
 国際投機資本は此の乱高下を演出し活用したのかもしれませんが、それはマネー経済学の世界で、実体経済は違います。そして、株価も長い目で見れば、実体経済を反映することになるのです。

 今回の金融緩和はいずれにしても日本経済にはプラス要因ですが、それは円安に振れたこと、株価が上がったことで日本経済の「モノづくり力」強化になるという面で、実体経済にプラスだからです。

 前回書きましたように、物価上昇には多分効果はないが、別の意味で、今後要注意(危険性)の面もあるという点について考えてみたいと思います。
 1つ気になったのは、日銀がJ-REITの買い入れ額を3倍にしたこと、そして今回の株価暴騰で、一時、金融機関、不動産の株が注目されたという点です。

 「失われた20年」以前の日本経済をご存知の方は、「そうか」と気が付かれる方も多いのではないかと思います。
 戦後長らく日本にはいわゆる『土地神話』があり、土地はもっていれば値上がりすると考えている人はバブル崩壊後の今でも少なくないようです。

 土地投機は典型的なバブル要因ですが、実体経済が必要とする以上の金融緩和は、マネーの行き所として「投機を選ぶ」可能性を高めます。
 株などはまだいい方で、土地や資源のように、人間の生活、実体経済に必要なものに投機が及んだ時、それは実体経済を傷つけます。

 ¥(円)の場合は基軸通貨ではありませんから、ドルのように海外でバブルを起こすようなことはないでしょうし、国内の不良債権に金融工学を応用してトリプルAをつけて海外に売ったりしないでしょうから、外国に迷惑をかけることはないと思いますが、この辺りの行方には十分注目しておく必要があるように思います。

 土地バブルとその崩壊で、問題は十分解っているはずの日本人です。「羹に懲りて膾を吹く」ぐらいの用心があってもいいような気もします。
 いずれにしても、このだぶだぶマネーが、日銀の当座預金に滞留するのか、あるいはどこかに流れ出すか、流れ出すとすれば、何に流れていくか、これからはまさに要注意ということではないでしょうか。